「R1250GS やめとけ」というキーワードを目にして、憧れのバイクであるはずなのに、なぜ否定的な意見が存在するのか疑問に思っていませんか?
その背景には、多くのライダーが直面する現実的な問題が隠されています。この記事では、R1250GSはやめとけと言われる経済的な理由、例えばR1250GSは高すぎる維持コストや、買ってはいけないとまで言われるほどの高額な修理費用、そしてそもそもR1250GSは高すぎて買えない現実について、専門的な視点から深く掘り下げて解説します。
さらに、中古市場でBMW GSが安い理由とは何か、R1250GSを長期所有して後悔する理由にも迫ります。
性能面においても、R1250GSはやめとけ!と言わざるを得ない性能面での重大な欠点、具体的には重すぎて危険という声や、車体がでかいのに悪い乗り心地、一部の状況下でR1250GSがツーリングに向かない理由、そしてBMW GSの燃費が悪すぎる実態まで、あらゆる角度から検証を進めます。
実際に乗ってる人の口コミ・感想レビューも交えながら、最終的に「結論:やはりR1250GSはやめとけ」という意見は正しいのか、その真偽をあなたの目で確かめてください。
- R1250GSの維持費が高額になる具体的な要因と詳細なシミュレーション
- 性能面で「やめとけ」と言われる重大な欠点とその技術的背景
- 中古市場の価格実態と、購入で失敗しないためのプロのチェックポイント
- 購入後に後悔しないための、あなた自身の状況に合わせた最終的な判断基準
R1250GSはやめとけと言われる経済的な理由
- R1250GSは高すぎる維持コスト
- 買ってはいけない高額な修理費用
- R1250GSは高すぎて買えない現実
- 中古市場でBMW GSが安い理由とは
- R1250GSを長期所有して後悔する理由
R1250GSは高すぎる維持コスト
R1250GSの購入を検討する上で、避けては通れないのが、その高すぎる維持コストという現実です。
これは単なる噂やイメージではなく、具体的な数値としてオーナーに重くのしかかります。
国産リッターバイクの感覚でいると、購入後に「こんなはずではなかった」と後悔する最大の要因となり得ます。その主な内訳は、「ディーラーでの正規点検費用」「高品質かつ高価な純正部品・消耗品代」「専門知識を要する整備工賃」の三本柱で構成されています。
まず、正規ディーラーでの点検費用について見ていきましょう。BMW Motorradでは、バイクの性能を最適に保つため、12ヶ月点検や24ヶ月点検(車検)を推奨しています。
特に車検時の費用は、国産バイクのそれとは一線を画します。法定費用(重量税、自賠責保険料、印紙代)はどのバイクも同じですが、問題は点検整備費用です。
私が多くのオーナーから聞く話では、特別な交換部品がなくとも、基本的な点検と油脂類の交換だけで10万円から15万円程度になるケースが一般的です。
もし、ここでブレーキパッドやタイヤなどの消耗品交換が重なれば、費用はあっさりと20万円を超えていきます。
想像を絶する高額な消耗品
次に、消耗品費です。これは日常的なランニングコストとして、じわじわとオーナーの財布を圧迫します。特にタイヤはその代表格です。
R1250GSの巨体と136PSというハイパワーを受け止めるためには、相応の性能を持つタイヤが必須となります。
多くのオーナーが選択する有名ブランドのタイヤは、前後セットで交換すると工賃込みで8万円から10万円にもなります。
寿命も走り方によりますが、1万キロ前後で交換時期を迎えることが多く、年間走行距離が多いライダーにとっては大きな出費です。
また、エンジンオイルもBMWが推奨する高品質な化学合成油が指定されており、水平対向エンジンはオイル容量も多いため、オイルフィルターと合わせた交換費用は1回あたり2万円近くになることもあります。
これらのコストが積み重なり、ある試算によれば、年間の維持費(税金・保険・ガソリン代を除く)が年間15万円から20万円に達することも、決して大げさな話ではないのです。
このように、車両本体価格という初期投資だけでなく、所有し続ける限り発生する継続的なコストの高さは、R1250GSというバイクの魅力を享受するための「入場料」とも言えます。
しかし、その金額はあまりにも高く、多くのライダーにとって「R1250GSはやめとけ」という結論に至る、最も現実的で説得力のある理由となっているのです。
購入前には、ディーラーで具体的な維持費のシミュレーションを依頼し、ご自身の経済状況と照らし合わせて冷静に判断することが絶対に必要です。
買ってはいけない高額な修理費用
R1250GSを所有する上で、維持費と並んで、あるいはそれ以上に深刻なリスクとなるのが、万が一の故障時に発生する目を疑うような高額な修理費用です。
これは、単に「輸入車だから高い」というレベルの話ではありません。
R1250GSに搭載されている先進的かつ複雑なメカニズムが、一度牙を剝くとオーナーの経済状況を一変させるほどの破壊力を持っているため、「買ってはいけない」という極端な言葉が使われることさえあるのです。
その筆頭格が、高度な電子制御システムです。現代のBMW Motorradのバイクは、もはや「走るコンピューター」と言っても過言ではありません。
特に、走行状況に応じて減衰力を自動調整する電子制御サスペンション(Dynamic ESA)や、コーナリング中も安全なブレーキングを可能にするABS Pro(コーナリングABS)、さらにはTFTディスプレイと連携する各種センサーユニットなどは、その中核をなす技術です。
これらのシステムは、快適で安全なライディングに大きく貢献する一方で、非常にデリケートな精密機器の集合体でもあります。
私が過去に扱った事例では、Dynamic ESAのセンサー異常により、ユニット一式を交換せざるを得なくなったケースがありました。
その際の修理費用は、部品代と工賃を合わせて実に40万円を超えました。もし保証期間が終了していれば、この費用は全てオーナーの自己負担となります。
ABSユニットの故障も同様で、こちらも数十万円単位の出費を覚悟しなければなりません。
これらの修理は、BMW専用の診断コンピューター(ISTA)がなければ原因の特定すら困難であり、事実上、正規ディーラーに依頼する以外の選択肢はないのが現状です。
部品供給の遅れという、さらなる追い打ち
高額な費用に加えて、オーナーを苦しめるのが部品の供給体制です。
R1250GSの特殊な部品は、国内に在庫がない場合、ドイツ本国からの取り寄せとなります。
これが何を意味するかというと、修理完了までに数週間から、場合によっては1ヶ月以上の長い期間を要する可能性があるということです。
あるオーナーは、TFTディスプレイの不具合で部品を待つ間、1ヶ月以上も愛車に乗ることができず、ツーリングシーズンを棒に振ったと嘆いていました。
ユーザーレビューや各種フォーラムを調査すると、「日本製バイクでは考えられないような電装系のマイナートラブルが多い」との指摘が一定数見られます。
(参照:Webikeコミュニティ R1250GSオーナーレビュー)
スイッチ類の接触不良や、キーレスライドの認識エラーなど、走行不能に陥るわけではなくとも、所有する上でのストレスは着実に蓄積されます。
こうした予期せぬトラブルと、それに伴う高額な出費、そして長い修理期間という三重苦のリスクは、購入前に必ず天秤にかけるべき最重要事項です。
この金銭的・時間的リスクの大きさを理解せずして、安易に手を出すべきバイクではない、というのが専門家としての一貫した見解です。
「買ってはいけない」という言葉は、決して感情的なものではなく、こうした具体的なリスクに基づいた合理的な警告なのです。
憧れだけでこのバイクを選ぶと、修理費用の請求書を前に呆然と立ち尽くす、そんな未来が待っているかもしれません。
R1250GSは高すぎて買えない現実
「維持費や修理費が問題なのは分かった。でも、まずは購入できなければ始まらない」
まさにその通りです。そもそもR1250GSは、新車の車両本体価格が極めて高価であり、多くの一般ライダーにとっては、その購入自体が非常に高いハードルとなっています。
この価格設定は、単なるブランドイメージだけでなく、BMWが100年以上にわたって培ってきたエンジニアリングの結晶、そして最先端の電子制御技術といった、確かな価値に基づいていることは間違いありません。
しかし、その価値を理解した上でなお、現実的な購入計画を立てるのが難しいレベルにあるのです。
具体的な価格を見てみましょう。BMW Motorrad Japanの公式サイト(2021年1月時点の情報)によると、R1250GSの希望小売価格は2,192,000円からとされています。
しかし、これは最もベーシックなモデルの価格であり、多くのライダーが求める装備を備えた仕様では、価格は一気に跳ね上がります。
例えば、よりオフロード性能と長距離巡航性能を高めたR1250GS Adventureは、その時点で2,786,000円からのスタートです。
さらに、走行モードの追加や電子制御サスペンションのアップグレードなどが含まれる「プレミアムライン」といったパッケージを選択し、トップケースやパニアケースといった必須のツーリングアクセサリーを追加していくと、最終的な乗り出し価格が350万円を超えることも、決して珍しい話ではありません。
モデル | 特徴 | 価格帯(参考) | 主なターゲット層 |
---|---|---|---|
R1250GS スタンダード | 基本性能を押さえたモデル。キャストホイール仕様なども選択可能。 | 約220万円~ | 主にオンロードツーリングを楽しむライダー |
R1250GS Adventure | 30Lの大型燃料タンク、エンジン&タンクガード、クロススポークホイール等を標準装備。 | 約280万円~ | 長距離・海外ツーリングや本格的なオフロード走行を視野に入れるライダー |
プレミアムライン仕様 | Dynamic ESA、追加ライディングモードPro、キーレスライドなど豪華装備を多数搭載。 | 上記価格に数十万円上乗せ | 最新・最高の機能を求めるライダー |
これだけの金額を一台のバイクに投じるというのは、家計にとって極めて大きな決断です。
多くのライダーは、自動車の購入と比較検討することになるでしょう。フルローンを組むとしても、金利を含めた総支払額はさらに膨らみ、月々の返済は生活に重くのしかかります。
私が知るあるライダーは、R1250GSを購入するために他の趣味をすべて諦め、生活を切り詰める覚悟をしたと語っていましたが、誰もがそこまでの情熱を注げるわけではありません。
この初期投資の高さは、夢のバイクライフへの第一歩を阻む、非常に高く、そして分厚い壁です。多くのライダーが、ショールームで実車を前にしてため息をつき、「やはり自分には無理だ」と諦めてしまう。
これが「R1250GSは高すぎて買えない」という、紛れもない現実なのです。憧れと現実のギャップが、このバイクを特別な存在にしている一方で、多くの人々にとって「やめとけ」と言わざるを得ない理由にもなっています。
中古市場でBMW GSが安い理由とは
新車価格がこれほどまでに高額である一方、中古車情報サイトを眺めていると、R1250GSやその前身モデルであるR1200GSが、年式や走行距離の割に「比較的」安価に感じられることがあります。
「新車は無理でも、この価格なら…」と、思わず心が揺れ動くかもしれません。
しかし、この中古市場における「安さ」には、明確な理由と、知っておかなければならない大きな落とし穴が存在します。
安易に飛びつけば、それこそ「安物買いの銭失い」の典型例となりかねません。
まず、なぜ中古価格が落ち着きやすいのか。その理由の一つは、BMWライダー特有の乗り換えサイクルにあります。
BMWオーナーの中には、経済的に余裕のある層が多く、メーカー保証が切れる3年目のタイミングや、新型モデルが登場するたびに、定期的に新車へと乗り換える方が一定数存在します。
これにより、比較的新しく状態の良い中古車が、常に市場に供給され続けるという構造があります。つまり、供給量が需要を若干上回ることで、価格が安定しやすいのです。
しかし、より本質的な理由は、買い手側が「購入後のリスク」を正しく理解していることにあります。
前述の通り、R1250GSは高額な維持費と、いつ爆発するか分からない「修理費用」という時限爆弾を抱えています。
特にメーカーの新車保証が切れた中古車は、そのリスクを全てオーナー自身が背負うことになります。
賢明な買い手は、車両本体価格だけでなく、購入後に発生しうる数十万円単位の出費をあらかじめ想定しています。
そのため、リスク分を差し引いた価格でなければ、なかなか食指が動かないのです。結果として、売り手側もある程度の価格で手放さざるを得なくなり、中古相場が形成されていきます。
「安い」の裏に潜む、プロが見抜くべきチェックポイント
私が中古車を選ぶ際に最も注意を払うのは、「なぜこの個体が売りに出されたのか?」という背景を推測することです。
単なる乗り換えであれば良いのですが、「何らかの不具合の予兆を感じたから」「次の車検で高額な交換部品を指摘されたから」といったネガティブな理由で手放された可能性も否定できません。
特に注意すべきチェックポイントは以下の通りです。
- 整備記録簿の有無と内容:正規ディーラーでの点検記録が揃っているかは最低条件です。どのような整備が行われてきたかを確認します。
- 電子制御サスペンション(ESA)の状態:停車時にプリロード調整をしてみて、スムーズに作動するか。オイル漏れの痕跡はないか。
- 駆動系(シャフトドライブ):ファイナルドライブからのオイル漏れや異音がないか。これはGSシリーズのウィークポイントの一つです。
- 電装系の動作:全てのスイッチ類、TFTディスプレイの表示、キーレスの反応などを、時間をかけて丁寧にチェックします。
中古市場における「安さ」は、将来発生するかもしれない高額なメンテナンス費用を、購入者が前もって負担(リスクテイク)することへの対価に他なりません。
この構造を理解せず、表面的な価格だけで判断してしまうと、購入後わずか数ヶ月で「新車を買っておけばよかった」と深く後悔することになるのです。
中古のGSを選ぶのであれば、信頼できる販売店で、保証が付けられる個体を慎重に選ぶことが絶対条件と言えるでしょう。
R1250GSを長期所有して後悔する理由
さて、これまでの経済的なハードルを全て乗り越え、晴れてR1250GSのオーナーになったとします。納車されたその日は、まさに人生で最高の瞬間の一つでしょう。
しかし、その輝かしいバイクライフが、時間の経過とともに徐々に色褪せ、やがて「なぜこのバイクを買ってしまったのだろう」という後悔に変わってしまうケースが、残念ながら存在します。
この「長期所有による後悔」は、購入時の興奮が冷めた後にじわじわと襲ってくる、根の深い問題です。
その原因は、やはりこれまで述べてきた「経済的な問題」と、新たなる刺客である「物理的・精神的な問題」の両面からやってきます。
まず、継続的な経済的負担の重圧は、所有期間が長くなるほど現実味を増してきます。
初回の車検、そしてメーカー保証が切れる3年目以降、バイクのコンディションを維持するための出費は、確実にオーナーの肩にのしかかります。
「走行距離が伸びてきたから、そろそろサスペンションのオーバーホールが必要かもしれない…」「次のタイヤ交換でまた10万円か…」といった具合に、常に金銭的な不安が頭の片隅をよぎるようになります。
特に、保証が切れた後の「いつ壊れるか分からない」という恐怖は、純粋に走りを楽しむ気持ちを蝕んでいきます。
ツーリング先での些細な不調が、「また高額修理か?」という恐怖に直結するようになると、もはやバイクに乗ること自体がストレスになりかねません。
ライフスタイルの変化という、避けられない壁
もう一つの、そしてより深刻な問題が、オーナー自身のライフスタイルの変化です。
バイクを購入した時点では、自分の生活が永遠にこのままだと思いがちですが、人生には予期せぬ変化がつきものです。
結婚、出産、転勤、あるいは自身の体力の衰え。これらの変化の波が押し寄せた時、R1250GSの持つ「圧倒的な存在感」が、逆に大きな足かせとなってしまうのです。
例えば、家族との時間が増え、週末に一人で長距離ツーリングに出かける機会が減ったとします。
すると、ガレージで鎮座するR1250GSは、もはや「頼れる相棒」ではなく、「場所を取り、維持費だけがかかる厄介者」に見えてくるかもしれません。
その巨大な車体は、子供の自転車を置くスペースを圧迫し、ちょっとした近所の買い物に乗り出すにはあまりにも大げさです。
その重さは、年齢とともに衰える体力では、取り回しが徐々に億劫になってきます。
私が相談を受けたあるベテランライダーは、50代後半になり、GSの引き起こしや取り回しに自信がなくなったことがきっかけで、より軽量な国産バイクに乗り換えました。
彼は「GSは最高のバイクだった。でも、今の俺にはもう手に余る」と、寂しそうに語っていました。このように、長期的な視点で見ると、自分の人生とバイクの付き合い方が、時間とともにズレていってしまう。
このミスマッチこそが、深い後悔を生む最大の原因なのです。
R1250GSを選ぶということは、単に一台のバイクを選ぶだけでなく、そのバイクを中心としたライフスタイルを長期間にわたって維持する覚悟が求められる、ということなのかもしれません。
R1250GSはやめとけ!性能面での重大な欠点
- 重すぎて危険!R1250GSはやめとけ
- 車体がでかいのに悪い乗り心地
- R1250GSがツーリングに向かない理由
- BMW GSの燃費が悪すぎる実態
- 乗ってる人の口コミ・感想レビュー
重すぎて危険!R1250GSはやめとけ
R1250GSが「アドベンチャー界の絶対王者」として君臨できるのは、その卓越した走行性能と堅牢な作り込みがあってこそです。
しかし、その王者の冠は、250kgを超える圧倒的な「重量」という、極めて重い代償の上に成り立っています。
この無視できない重さこそが、R1250GSの楽しさをスポイルし、ライダーを常に危険に晒す最大の要因であるため、「性能が良いから大丈夫」という楽観論を許さず、「重すぎて危険だからやめとけ」という結論を導き出すのです。
具体的な数値を見てみましょう。
R1250GSの装備重量(燃料満タン、走行可能な状態)は約256kg。
さらに、大型燃料タンク(30L)や頑強なガード類を装備したR1250GS Adventureに至っては、その重量は約278kgにも達します。
これは、国産リッタークラスのスポーツバイク(約200kg前後)と比較して、実に50kg以上も重い計算になります。成人男性一人分に近い重量差です。
もちろん、BMWの十八番である低重心の水平対向エンジンと、優れたシャーシ設計により、一度走り出してしまえば、その重さを魔法のように感じさせない安定感を発揮します。
問題はそこではありません。真の恐怖は、速度がゼロに近づく、ごくありふれた瞬間に潜んでいるのです。
立ちゴケのリスクは「悪夢」ではなく「日常」
ライダーであれば誰でも経験したくない「立ちゴケ」
R1250GSにとって、このリスクは非日常の悪夢ではなく、常に隣り合わせの日常です。
私が指導するライディングスクールでも、GSオーナーが最も苦労するのが低速バランスです。
具体的には、以下のような状況でその牙を剝きます。
- 傾斜地での停車・発進:少しでもカント(傾斜)がついた路肩に停車した際、車体を垂直に保てずにバランスを崩すケース。特に左下がりの場所では、サイドスタンドを払って車体を起こす瞬間が最も危険です。
- Uターンや極低速での旋回:ハンドルをフルに切って小回りしようとした際、内側に切れ込みすぎて支えきれなくなる。
- 砂利道や凹凸のある路面:キャンプ場の未舗装路や、舗装が荒れた駐車場などで、予期せぬ凹凸に足を取られてバランスを崩す。
一度バランスを崩し、車体が一定以上傾いてしまうと、もはや人間の力で支えることは不可能です。
成人男性でも、270kgを超える物体が倒れ込んでくるのを防ぐことはできません。
エンジンガードやパニアケースが車体へのダメージを軽減してくれるかもしれませんが、ライダーの心に刻まれる屈辱と、周囲からの冷ややかな視線、そして何より「引き起こし」という重労働が待っています。
一人で引き起こすには特別なコツが必要であり、腰を痛めるリスクも伴います。この「重すぎて危険」という一点だけでも、R1250GSを万人に推奨できない、極めて重大な欠点であると言えるのです。
バイクは楽しむための乗り物であり、乗るたびに緊張を強いられるのであれば、それは本末転倒ではないでしょうか。
車体がでかいのに悪い乗り心地
「大きくて立派な車体なのだから、さぞかし王様のような快適な乗り心地だろう」
R1250GSの堂々たるスタイリングを前に、多くの人がそう期待するはずです。
確かに、電子制御サスペンションがもたらす路面追従性や、優れたウインドプロテクションなど、快適性に寄与する要素は数多く存在します。
しかし、その一方で、多くの日本人ライダーにとって「快適」とは言い難い、むしろ「苦痛」でさえある重大な欠点を複数抱えているのも、また紛れもない事実です。
この期待と現実のギャップが、「乗り心地が悪いからやめとけ」という辛辣な評価に繋がっています。
その最大の要因は、絶望的とも言える足つき性の悪さです。
R1250GSの標準シート高は850mm/870mmという2段階調整式ですが、これは欧米人の体格を基準に設計された数値です。
日本人男性の平均身長(約171cm)では、両足を着こうとすると、つま先がツンツンになるのがやっとの状態。
身長175cmのライダーであっても、両足の踵までべったりと接地させるのは難しいでしょう。
これが、さらにサスペンションストロークが長いAdventureモデル(シート高890mm/910mm)になると、もはや異次元の高さです。
「走行中は足を着かないから関係ない」という意見もありますが、それは机上の空論です。
信号待ち、渋滞、駐車場での取り回しなど、足を着く場面は無数にあります。
その度に、つま先立ちで250kg超の巨体を支えなければならない精神的プレッシャーは計り知れません。
足元が少しでも不安定な路面であれば、前述した「立ちゴケ」のリスクが指数関数的に増大します。この絶え間ない不安感が、ライディングの楽しさを根底から覆してしまうのです。
快適とは言い難い、硬質なシート
次に、意外かもしれませんが、多くのオーナーが指摘するのが「シートの硬さ」です。
一見すると肉厚で快適そうに見える純正シートですが、実は長時間のライディングでもライダーの体重移動を妨げず、正しいライディングフォームを維持しやすいように、比較的硬めに設計されています。
これは、アクティブにバイクを操ることを前提とした、いかにもドイツ車らしい思想です。
しかし、これが日本の多くのライダーの乗り方、つまり「シートにどっしりと座って景色を楽しむ」というスタイルとは相性が悪いのです。
結果として、ツーリングに出かけて数時間もすると、お尻の特定の場所に圧力が集中し、激しい痛みに襲われるという報告が後を絶ちません。
「R1250GSで800km走っても疲れない」というインプレッション記事もありますが、それはあくまで最適なポジションを取れる一部のライダーの話。
多くの人は、「お尻が痛くて、200kmも走るのが限界だった」と感じる可能性の方が高いでしょう。
もちろん、これらの問題には対策があります。BMW純正のローシートや、K&Hといったサードパーティ製のコンフォートシートに交換することです。
しかし、それは数万円から十数万円の追加投資を意味します。
つまり、R1250GSは、高額な車両本体価格を支払った上で、さらに追加費用を投じなければ、多くの日本人にとって「快適な乗り心地」すら手に入らない可能性があるのです。
「車体がでかい=快適」という安易な期待は、購入後に見事に打ち砕かれることになるでしょう。これが、乗り心地の観点から「やめとけ」と言われる、もう一つの大きな理由です。
R1250GSがツーリングに向かない理由
「GSは究極のツーリングマシンだ」これは、バイク業界において半ば常識として語られてきた言葉です。
確かに、荷物を満載し、高速道路をひた走って大陸を横断するような、壮大な「旅」においては、R1250GSは比類なきパフォーマンスを発揮するでしょう。
しかし、私たちが日本国内で楽しむ一般的な「ツーリング」というステージに目を移した時、その評価は一変します。
その圧倒的な巨体と重量が、日本の道路環境とは致命的に相性が悪く、多くの場面で「ツーリングに不向き」と断じざるを得ないのです。
日本のツーリングの魅力とは何でしょうか。
それは、高速道路による快適な移動だけでなく、美しい海岸線を走るシーサイドロード、緑豊かな山々を駆け抜けるワインディング、そしてガイドブックには載っていないような、風情ある集落へと続く細い道への寄り道にあるはずです。
R1250GSは、このうちの「高速道路での快適な移動」においては100点満点の性能を発揮します。優れた防風性能、直進安定性、そして余裕のパワー。
しかし、それ以外のステージでは、その巨体が次々と牙を剝き始めます。
最も顕著なのが、日本の山岳地帯に特有の、狭くタイトなコーナーが連続するワインディングです。
R1250GSは、その重さと長いホイールベースのため、軽快にヒラヒラと切り返すような走りは得意ではありません。
コーナーの一つひとつに対して、「よっこいしょ」と意識的に車体をバンクさせる操作が求められます。リズミカルなライディングを楽しむというよりは、巨体をねじ伏せるような感覚に陥りがちで、これが想像以上に体力を消耗させます。
SS(スーパースポーツ)を追い回せるといったインプレッションもありますが、それはあくまでポテンシャルの話であり、誰もがそれを引き出せるわけではありません。
むしろ、国産のミドルクラスバイクの方が、気負わずリラックスしてワインディングを楽しめる、と感じるライダーの方が多いでしょう。
「どこへでも行ける」が「どこへも行きたくなくなる」矛盾
さらに深刻なのが、ツーリング先で遭遇する「想定外の道」への対応力です。
ナビが案内した先が行き止まりだったり、観光地の駐車場が狭くて急な坂道だったり。こんな時、R1250GSのオーナーは多大なストレスに晒されます。
Uターン一つするにも、広い場所を探さなければならず、立ちゴケのリスクに冷や汗をかくことになります。気軽に「ちょっとこの脇道に入ってみよう」という気持ちになれないのです。
私が経験したエピソードで、あるGSオーナーグループとツーリングに行った時のことです。
景色の良い展望台へ続く道が、途中から車一台がやっと通れるほどの狭い林道になりました。他のバイクは難なく進んでいきましたが、GSオーナーたちは顔を見合わせ、「我々はここで待っている」と進むことを諦めてしまいました。
彼らにとって、その先へ進むことは「挑戦」や「冒険」ではなく、単なる「リスク」でしかなかったのです。
この経験は、R1250GSが抱える本質的な矛盾を象徴しています。
「道を選ばない、どこへでも行けるアドベンチャーバイク」というキャッチコピーとは裏腹に、その実態は「リスクを避けるために、走る道を選ばざるを得ないバイク」になりがちなのです。
物理的な大きさだけでなく、重い車体を常にコントロールしているという精神的なプレッシャーは、1日の終わりにずっしりとした疲労感となってライダーにのしかかります。
これが、日本のツーリングシーンにおいて、R1250GSが必ずしも最適解ではない、と言われる所以なのです。
BMW GSの燃費が悪すぎる実態
R1250GSが搭載する1254ccのパワフルなボクサーエンジンは、可変バルブタイミング機構「ShiftCam」の採用により、先代モデルよりも効率化が図られているとされています。
しかし、その実態は、現代のバイクとしてお世辞にも「燃費が良い」とは言えず、むしろ「燃費が悪すぎる」と評価せざるを得ないレベルです。
この経済的なデメリットは、購入後のランニングコストとして着実にオーナーの負担となり、「やめとけ」と言われる隠れた、しかし非常に重要な要因の一つとなっています。
各種バイク情報サイトやオーナーレビューを総合すると、R1250GSの燃費は、走行状況によって大きく変動するものの、平均すると概ねリッター18km/L前後に落ち着くことが多いようです。
もちろん、高速道路を一定速度で淡々と巡航するような最も条件の良い走り方をすれば、リッター22km/Lを超える数値を記録することもあります。
しかし、それはあくまで理想的な状況下での話。ツーリングの楽しさが増すワインディングでスロットルを開け気味に走ったり、ストップ&ゴーが頻発する都市部を走行したりすると、燃費はあっという間に悪化します。
ひどい場合には、リッター15km/L台まで落ち込むことも決して珍しくありません。
この燃費性能を、さらに致命的なものにしているのが、ハイオクガソリン指定という事実です。
R1250GSの高性能エンジンは、そのポテンシャルを最大限に発揮するために、オクタン価の高い燃料を要求します。
ただでさえ燃費が伸び悩む上に、レギュラーガソリンよりも1リッターあたり10円以上も高価なハイオクを常に入れ続けなければならないのです。
これは、経済的な観点から見ると、二重のハンデを背負っていることに他なりません。
走行シーン | 想定燃費 | 燃料(指定) | 100km走行時の燃料コスト目安(※) |
---|---|---|---|
高速道路(巡航) | 約22 km/L | ハイオク | 約818円 |
ツーリング(平均) | 約18 km/L | ハイオク | 約1,000円 |
市街地・ワインディング | 約15 km/L | ハイオク | 約1,200円 |
※ハイオクガソリン価格を180円/Lとして計算
大容量タンクが隠す「給油時の衝撃」
「でも、GSはタンク容量が大きいから航続距離は長いでしょ?」という反論があるかもしれません。
確かに、スタンダードモデルで20L、Adventureモデルに至っては30Lという大容量タンクは、給油の頻度を減らしてくれるというメリットがあります。
しかし、これは問題の本質的な解決にはなっていません。むしろ、給油の頻度が少ない分、一度の給油時に支払う金額の大きさに愕然とすることになります。
例えば、Adventureモデルのタンクが空に近い状態で満タンに給油すると、30L x 180円/L = 5,400円もの金額が一度に飛んでいきます。
ツーリングに出かけるたびに、毎回これに近い金額を支払うことを想像してみてください。
この「燃費の悪さ」と「ハイオク指定」という組み合わせは、高額な維持費や修理費用とはまた別に、日常的な運用コストとして、じわじわと、しかし確実にオーナーの経済と精神を圧迫していくのです。
燃費性能を重視するライダーにとって、R1250GSは決して選んではいけない選択肢と言えるでしょう。
乗ってる人の口コミ・感想レビュー
ここまで、専門的な視点からR1250GSが「やめとけ」と言われる様々な理由を解説してきました。
しかし、どんなバイクにも光と影があるものです。実際に大金を投じてオーナーとなった人々は、このバイクをどのように評価しているのでしょうか。
ここでは、各種レビューサイトやSNS、バイクフォーラムなど、インターネット上で見られる生々しい口コミや感想を公平に集め、その実像に迫ります。
浮かび上がってくるのは、やはり「最高だ」という絶賛の声と、「こんなはずではなかった」という後悔の声が、はっきりと二極化している現実です。
まず、R1250GSを絶賛するオーナーたちの声に耳を傾けてみましょう。
彼らが最も評価しているのは、やはりその圧倒的な存在感と、何物にも代えがたい「所有感」です。
「GSに乗っている」というだけで得られるステータス性は、多くのライダーにとって魅力的に映るようです。性能面では、特に高速道路での巡航性能を挙げる声が多数を占めます。
「矢のように突き進む安定感は唯一無二」「どんなに長距離を走っても疲れない魔法の絨毯のよう」といった表現が見られます。
また、ShiftCamエンジンがもたらす低速から湧き上がる極太のトルクも高く評価されており、「どんな状況でもスロットル一つで車体を前に押し出す力強さは、絶対的な安心感に繋がる」と感じているようです。
さらに、純正パニアケースを装着した際の圧倒的な積載能力も、キャンプツーリングなどを楽しむライダーにとっては、かけがえのないメリットとなっています。
オーナーが挙げる「良い点」の要約
- 圧倒的なステータス性と所有感:「陸の王者」を所有する喜び。
- 比類なき高速安定性:長距離巡航時の疲労が圧倒的に少ない。
- 強力無比なエンジン性能:低回転域からのトルクフルな走りがもたらす余裕と安心感。
- 優れた積載能力:大量の荷物を積んでもびくともしない、まさに旅の相棒。
一方で、手厳しい不満や後悔を口にするオーナーの声も、同じくらい数多く存在します。
その筆頭は、やはり経済的な負担に関するものです。「『金以外で困ることは何もないバイク』というレビューを見たが、まさにその通り。
その金銭問題が最大の問題だ」という声は、多くのオーナーの本音を代弁しています。ディーラーでの高額な整備費用や、予期せぬ修理費に対する不満は、枚挙にいとまがありません。
性能面での不満としては、これまでも指摘してきた「重量」と「取り回しの困難さ」が圧倒的多数を占めます。
「車庫から出すだけで一仕事」「立ちゴケの恐怖が常に頭から離れない」といった声は、オーナー共通の悩みのようです。
また、足つき性の悪さからくる不安感や、硬いシートによるお尻の痛みも、多くのレビューで言及されています。
意外なところでは、「TFTメーターが多機能すぎて、直感的に操作できない」「トリップメーターのリセット方法が分かりにくい」といった、インターフェースに対する不満も見られました。
オーナーが挙げる「悪い点・不満点」の要約
- 天文学的な維持費:整備、修理、消耗品、全てが高額。
- 絶望的な重量と取り回し:日常的な使用におけるストレスが大きい。
- 日本人泣かせの足つき性:常に立ちゴケのリスクと隣り合わせ。
- 意外な不満点:硬いシート、複雑なメーター操作、遠いハンドルポジションなど。
これらの口コミやレビューを総合すると、R1250GSは「全てを平均点以上でこなす優等生」ではなく、「特定の性能に極端に特化した、非常に尖った個性を持つバイク」であることが明確に分かります。
その尖った個性が、自分の求めるバイクライフの形と完璧に合致すれば、それは生涯忘れられない最高の相棒となるでしょう。
しかし、少しでもそのベクトルがズレていれば、それはただの高価で、重くて、維持費のかかる厄介者になりかねません。
オーナーたちの声は、購入を検討する我々に対し、その適性を厳しく問いかけているのです。
結論:やはりR1250GSはやめとけ
この記事では、多くのライダーが憧れる「R1250GS」というバイクに対して、あえて「やめとけ」という視点から、その根拠となる経済的、性能的、そして現実的な問題を徹底的に掘り下げてきました。
様々な角度から検証を重ねた今、最終的な結論として、「万人にとって、R1250GSは決して推奨できるバイクではない。むしろ、多くの人にとっては、やはりR1250GSはやめとけ、というのが最も誠実なアドバイスである」と断言せざるを得ません。
もちろん、これはR1250GSが劣ったバイクであるという意味では決してありません。その圧倒的な走行性能、所有欲を満たすステータス性、そして長距離を快適に走りきるポテンシャルは、紛れもなく世界最高峰レベルです。
しかし、その輝かしい性能を享受するためには、あまりにも多くの、そして高いハードルを乗り越える必要があるのです。以下に、この記事で明らかになった「やめとけ」と言える理由を改めてまとめます。
- 高すぎる経済的障壁:車両価格、維持費、修理費、消耗品費、その全てが国産バイクの常識を遥かに超えている。経済的な余裕がなければ、所有し続けること自体が苦痛になる。
- 致命的な重量と大きさ:250kgを超える車重は、日常のあらゆる場面で立ちゴケのリスクを生み、ライダーに絶え間ない緊張を強いる。日本の道路環境では、その大きさが楽しさを奪う場面が多すぎる。
- 日本人離れした乗車姿勢:絶望的な足つき性の悪さは、多くの日本人ライダーから安全マージンを奪う。硬いシートも快適なツーリングを阻害する要因となり得る。
- 理想と現実のギャップ:「どこへでも行ける」という理想とは裏腹に、実際にはその巨体を持て余し、「走る道を選ばざるを得ない」という現実に直面する。
- 限定的な活躍の場:その真価を発揮できるのは、主に高速道路での長距離巡航に限られる。ワインディングや市街地走行では、より軽量で安価なバイクの方が楽しめる可能性が高い。
それでもあなたがR1250GSを選ぶなら
もし、これら全てのデメリットを理解し、受け入れた上で、それでもなお「自分にはR1250GSが必要だ」と確信できるのであれば、あなたにとってこのバイクは最高の相棒となる可能性があります。それは、以下のような条件を満たす、ごく限られたライダーでしょう。
- 年間数十万円の維持費を負担に感じない、潤沢な経済力がある。
- 身長180cm以上など、その巨体を余裕で扱える恵まれた体格を持っている。
- バイクの主な用途が、荷物を満載しての長距離・高速ツーリングである。
- 万が一のトラブルにも動じない精神的なタフさと、BMWというブランドへの揺るぎない忠誠心を持っている。