新型MT-07で後悔する?購入前に知るべき評判と全評価

ヤマハの新型MT-07の購入を検討し、「MT-07 新型 後悔する?」という切実な思いで情報を探しているあなたへ。その気持ち、バイク乗りとして痛いほどよく分かります。新しい愛車選びは、期待と同時に「本当にこの一台で良いのだろうか」「買ってから後悔しないだろうか」という不安が入り混じるものです。特にMT-07のような人気モデルは、多くの情報が溢れているからこそ、何が真実なのか見えにくくなりがちです。

この記事では、単なるスペックの羅列や表面的なレビューではありません。あなたが抱える一つひとつの疑問や不安に、専門的な知見と実際のオーナーたちの声を交えながら、徹底的に向き合っていきます。

例えば、新型MT-07は走りで後悔するのか、その走行性能のリアルな評判とレビューを深掘りします。特に、MT-07初心者が感じるパワー不足の問題は、非力で後悔するのかを多角的に検証。MT-07の高速道路走行における安定性や乗り心地の真実、そして一部で囁かれる新型のサスペンション性能への不満とその改善点にも鋭く切り込みます。果たして長距離ツーリングはMT-07新型で快適にこなせるのか、ライダーの疲労度まで考慮して解説し、さらにはエンジン音への酷評や、その「うるさい」とも言われる音の正体についても解明します。

実用面での後悔はないでしょうか。MT-07購入後のリアルな口コミからオーナーの本音を探り、新型は足つきが悪いという噂を身長別の乗りやすさから徹底検証。価格相応と言われる外装は本当に安っぽいのか、その質感に迫ります。致命的ともいえる収納が少ない問題への具体的な対策や、良い意味で想定外だった燃費性能の実測データも公開。最後に、将来の乗り換えまで見据えた売却時の査定が安いといわれる理由と対策まで網羅します。

この記事を最後まで読めば、あなたは新型MT-07の光と影、その両面を深く理解し、誰かの意見に惑わされることなく、「自分にとって最高の選択なのか」を自信を持って判断できるようになるはずです。それでは、あなたの後悔しないバイク選びの旅を、ここから始めましょう。

  • 新型MT-07の走行性能が自分のライディングスタイルに合うかどうかが分かる
  • 街乗りからツーリングまで、様々なシーンでの具体的なメリット・デメリットを把握できる
  • 購入後に「こんなはずではなかった」と後悔する可能性のあるポイントとその対策を学べる
  • 膨大な情報に惑わされず、自分自身の基準で最適なバイクかどうかを最終判断できる
  1. MT-7新型は走りで後悔する?走行性能の評判
    1. MT-07初心者が感じるパワーは非力で後悔
      1. 「非力」と感じるか「最適」と感じるかの分岐点
      2. 経験談:電子制御がもたらす絶大な安心感
    2. MT-07の高速道路走行における安定性
      1. ネイキッドバイクの宿命:「風との戦い」
      2. 経験から語る「快適性」を高める具体的な解決策
        1. 1. ウインドスクリーンの装着(効果:絶大)
        2. 2. Y-AMTモデルの選択(効果:大)
        3. 3. ハンドルポジションの調整
    3. MT-07新型のサスペンションへの不満
      1. 劇的な進化を遂げたフロント周り
      2. 「コストの壁」と残された課題
      3. 経験者が語る「サス沼」への入り口と賢い付き合い方
        1. ステップ1:まずは純正を知り尽くす
        2. ステップ2:オイル粘度と油面の変更(フロント)
        3. ステップ3:社外品への交換
    4. 長距離ツーリングはMT-07新型で可能か
      1. MT-07が長距離ツーリングで「武器」になる点
      2. 「ツアラー」として見た場合の明確な弱点と、その克服法
      3. 経験談:MT-07 Y-AMTで走った500km日帰りツーリング
    5. MT-07新型にある酷評のエンジン音の正体
      1. 音の評価が分かれる第一の要因:鼓動感の好み
      2. 音の評価をさらに複雑にする第二の要因:「アコースティック・アンプリファイア・テクノロジー」
      3. 「酷評」が生まれるメカニズム
  2. MT-7新型は実用性で後悔する?購入後の評価
    1. MT-07購入後のリアルな口コミをチェック
      1. オーナーたちが口を揃えて絶賛する「3つの魅力」
      2. 一方で、覚悟しておくべき「3つのリアルな不満点」
    2. MT-07新型は足つきが悪いという噂の真相
      1. スペックシートの数字だけでは見えない「足つき」のカラクリ
        1. 1. シート前方の幅と角の張り出し
        2. 2. ライダー乗車時のサスペンションの沈み込み量
        3. 3. スリムな車体とのギャップ
      2. 【身長別】リアルな足つきインプレッション
      3. 足つきに不安がある場合の、具体的な解決策と選択肢
        1. 選択肢1:ローダウンキットの導入(効果:絶大)
        2. 選択肢2:あんこ抜き(シートの加工)
        3. 選択肢3:厚底ライディングブーツの着用
    3. 価格相応?MT-07新型の外装は安っぽいか
      1. 「安っぽい」と感じられる原因の徹底分析
        1. 原因1:多用される樹脂(プラスチック)パーツ
        2. 原因2:細部のディテール処理
      2. 2025年モデルは「安っぽさ」をどう克服したか?
        1. 質感向上のキーポイント①:新世代の”顔”と凝縮感のあるスタイリング
        2. 質感向上のキーポイント②:機能美を宿す足回り
    4. 致命的?MT-07新型の収納が少ない問題
      1. 「何もない」という現実。シート下の空間は幻想か?
        1. 収納がないと、具体的にどのような場面で「致命的」な後悔に繋がるか
      2. 後悔を「賢い選択」に変える、積載能力の拡張プラン
        1. 【用途別】おすすめ積載カスタムプラン
    5. 想定外だったMT-07新型の燃費性能
      1. 公式データとリアルな実燃費の徹底比較
        1. ヤマハ MT-07 (2025年モデル) 燃費・航続距離データ
      2. なぜMT-07はこれほど燃費が良いのか?
    6. MT-07新型の売却時に査定が安いという声
      1. なぜ査定額が「高騰しにくい」のか? 中古市場の原理原則
        1. 理由①:圧倒的な人気と販売台数がもたらす「供給過多」
        2. 理由②:リーズナブルな新車価格
        3. 理由③:「資産」よりも「相棒」というキャラクター
      2. 査定額が大きく下がる「やってはいけない」NG事例
      3. 後悔しないために。愛車の価値を1円でも高く保つための戦略
    7. 結論!MT-7新型で後悔するかどうかの判断
      1. 【あなたはどちら?】MT-07で「最高の満足」を得られるライダー
      2. 【要注意】MT-07で「後悔」する可能性が高いライダー

MT-7新型は走りで後悔する?走行性能の評判

  • MT-07初心者が感じるパワーは非力で後悔
  • MT-07の高速道路走行における安定性
  • MT-07新型のサスペンションへの不満
  • 長距離ツーリングはMT-07新型で可能か
  • MT-07新型にある酷評のエンジン音の正体

MT-07初心者が感じるパワーは非力で後悔

新型MT-07の購入を検討する際、特に初めて大型バイクのステアリングを握る方が最も気にするであろうポイントが、「688ccという排気量が生み出すパワーは、果たして十分なのか。後になって『非力だ』と後悔することはないだろうか」という点です。巷では「扱いやすい」という声が多い一方で、「物足りない」という意見も散見され、混乱してしまうのも無理はありません。そこでまず結論から申し上げますと、MT-07のパワーは、日本の公道を楽しむ上で決して非力ではなく、むしろ多くのライダーにとって「最高の相棒」となり得る、絶妙なバランスの上に成り立っています。

その核心にあるのが、ヤマハの設計思想「クロスプレーン・コンセプト」を具現化したCP2エンジンです。この688cc水冷並列2気筒エンジンは、不等間隔爆発を生み出す270度クランクシャフトを採用しています。これにより、一般的な並列2気筒のスムーズさとは一線を画す、まるで生命が宿っているかのような「ドコドコ」という鼓動感と、ライダーのスロットル操作にリニアに反応する力強いトルクを実現しているのです。重要なのは、最大パワーを追求するのではなく、ライダーが最も多用する低〜中回転域での扱いやすさと楽しさを最大化している点にあります。

「非力」と感じるか「最適」と感じるかの分岐点

では、なぜ一部で「非力」という声が上がるのでしょうか。それは、ライダーの経験やバイクに求めるものによって、このエンジンの評価が180度変わるからです。

  • 後悔する可能性が低い人:初めて大型バイクに乗る方、リターンライダー、街乗りやツーリングでの「操る楽しさ」を重視する方。信号待ちからのスムーズな発進、少しアクセルを捻るだけで車体をグイッと前に押し出すトルク感は、恐怖心よりも高揚感を与えてくれます。
  • 後悔する可能性がある人:リッタークラスのバイクからの乗り換えを検討している方、サーキット走行などで高回転域の伸びや絶対的な最高速を求める方。MT-09のような上位モデルと比較すれば、高速道路での追い越し加速や、レブリミットまで回し切った際の刺激は確かに穏やかです。

ここで、競合となる同クラスのバイクとスペックを比較してみましょう。

主要ミドルクラスネイキッド スペック比較
車種 最高出力 最大トルク 車両重量 特徴
ヤマハ MT-07 (2025) 73PS / 8,750rpm 6.9kgf・m / 6,500rpm 183kg 低中速トルク型、軽量、鼓動感
カワサキ Z650 68PS / 8,000rpm 6.4kgf・m / 6,700rpm 189kg 扱いやすさ、バランス型
スズキ SV650 72PS / 8,500rpm 6.3kgf・m / 6,800rpm 199kg Vツインエンジン、スリム

上の表からも分かる通り、MT-07の最高出力はクラス標準レベルですが、注目すべきは最大トルクを発生する回転数の低さと、クラス最軽量の車重です。これが、スペックの数字以上にMT-07をキビキビと、そして楽しく感じさせる要因なのです。

経験談:電子制御がもたらす絶大な安心感

私自身、バイクに乗り始めたばかりの友人に2025年モデルのMT-07を勧めたことがあります。彼は当初、「大型は怖い」というイメージを持っていましたが、YRC(ヤマハライドコントロール)の走行モードを、最も穏やかな出力特性になる「STREET」に設定して走り出したところ、数分後には笑顔で「思ったより全然怖くない!アクセル操作が楽で、ギクシャクしないから街中でも安心ですね」と語っていました。この電子制御スロットル(YCC-T)とトラクションコントロールがもたらす安心感は、特に初心者にとって絶大な効果を発揮します。ラフな操作をバイク側が賢く補正してくれるため、ライダーは余計な緊張から解放され、純粋にライディングに集中できるのです。

もちろん、慣れてきたらモードを「SPORT」に切り替えれば、よりダイレクトで刺激的なレスポンスを楽しむことも可能です。このように、一台で二つの顔を持つ懐の深さも、新型MT-07の大きな魅力と言えるでしょう。結論として、もしあなたが公道でバイクを自在に操る快感を求めているのであれば、MT-07のパワーで後悔することはまずありません。それは「非力」なのではなく、乗り手の技量と楽しみを最大限に引き出すための、ヤマハが出した「最適解」なのです。

MT-07の高速道路走行における安定性

「MT-07で高速道路を快適に走れますか?」という質問は、購入相談で非常によく受けるものの一つです。特に、ツーリングでの利用をメインに考えている方にとって、高速巡航性能はバイク選びの重要な指標になります。この点に関して、2025年モデルのMT-07は従来モデルから大きな進化を遂げていますが、「快適に走れる」という言葉の意味をどう捉えるかによって、その評価は大きく分かれます。後悔しないためには、ネイキッドバイクとしての本質的な特性と、進化した点を両面から理解することが不可欠です。

まず、2025年モデルで安定性が向上した最大の要因は、フレームと足回りの大幅な刷新にあります。ヤマハの発表によると、バックボーン型の高張力鋼管フレームは設計が見直され、ねじれ・縦・横方向の剛性がそれぞれ12~13%向上しています。これは単なる数値以上の効果をもたらし、高速域での車体のヨレや微振動を確実に抑制します。さらに、フロントフォークが従来の正立式から高剛性なΦ41mm倒立式へ、ブレーキキャリパーもラジアルマウントへと変更されたことで、フロント周りの剛性感が格段にアップしました。これにより、例えば高速道路のレーンチェンジや、大型トラックを追い越す際に発生する乱気流の中を通過するような場面でも、ライダーは以前より遥かに高い安心感を得られるようになっています。

私自身、新旧モデルを乗り比べた経験がありますが、その差は歴然としています。旧モデルでは100km/hを超えたあたりから感じられた、ある種の心許なさが新型では影を潜め、まるでワンランク上の排気量のバイクに乗っているかのような安定感を覚えました。これは、ライダーの精神的な疲労を軽減する上で非常に大きなメリットです。

ネイキッドバイクの宿命:「風との戦い」

しかし、どれだけ車体の安定性が向上しても、ネイキッドバイクである以上、避けられないのが「走行風による風圧」です。MT-07にはライダーを風から守るカウルが存在しないため、速度が上がるにつれて風圧は指数関数的に増大します。具体的には、以下のような感覚です。

  • ~80km/h:気持ちの良い風を感じられる快適な領域。
  • 80km/h~100km/h:風圧をはっきりと意識し始め、上半身、特に胸からヘルメットにかけて継続的な圧力を感じる。
  • 100km/h~120km/h:風圧との「戦い」が始まる。しっかりとハンドルを握り、少し前傾姿勢を取らないと体が持っていかれそうになる。
  • 120km/h~:短時間なら可能だが、長時間の巡航は相当な体力を消耗する。首や肩への負担が大きく、ツーリングの楽しさよりも苦痛が上回る可能性。

この風圧問題は、特に長距離・長時間の高速利用を考えている方にとっては、購入後に「こんなはずではなかった」と後悔する最大の要因になり得ます。例えば、東京から名古屋まで東名高速道路を走り切るようなツーリングを計画している場合、対策なしでは目的地に着く頃には疲労困憊になってしまうでしょう。

経験から語る「快適性」を高める具体的な解決策

では、どうすればこの問題を解決できるのか。幸い、MT-07には豊富なカスタムパーツが存在し、後付けで快適性を劇的に向上させることが可能です。

1. ウインドスクリーンの装着(効果:絶大)

最も効果的なのが、社外品のウインドスクリーンを装着することです。ヤマハ純正アクセサリー(ワイズギア)からもスタイリッシュなものが販売されていますし、より防風効果の高い大型のツーリングスクリーンも各社からリリースされています。スクリーンの高さや角度によって効果は変わりますが、胸元への風圧をヘルメット上部に逃がすだけでも、体感的な疲労度は半分以下になります。デザインとの兼ね合いもありますが、高速利用が多いなら必須のカスタムと言えるでしょう。

2. Y-AMTモデルの選択(効果:大)

2025年モデルから登場した「Y-AMT」仕様は、高速道路の快適性を飛躍的に高めます。その最大の理由は、レジューム機能付きのクルーズコントロールが標準装備されている点です。時速約40km/h~180km/hの範囲で設定可能で、一度設定すればアクセル操作が不要になります。これにより、右手の負担がゼロになるため、長距離走行時の疲労が大幅に軽減されます。風圧で疲れた体を支えることに集中できるのです。

3. ハンドルポジションの調整

ハンドル位置を少し手前&下方に変更するパーツもあります。これにより僅かに前傾姿勢が強まり、走行風を受け流しやすくなります。劇的な変化はありませんが、よりスポーティーなポジションを好む方にはおすすめです。

結論として、新型MT-07の高速道路走行は、素の状態でもある程度の安定性は確保されていますが、「快適」とは言い難いのが正直なところです。しかし、ウインドスクリーンやクルーズコントロールといった文明の利器を活用することで、その弱点を克服し、長距離ツーリングも楽しめる万能マシンへと進化させることが可能です。あなたの使い方に合わせて、賢くカスタムプランを立てることが、後悔しないための鍵となります。

MT-07新型のサスペンションへの不満

MT-07を語る上で、避けては通れないのがサスペンションに関する議論です。特に、バイク経験が豊富なライダーや、スポーティーな走りを志向する層から「足回りが物足りない」「コーナーで跳ねる感じがして怖い」といった厳しい意見が出ることがあります。2025年モデルでは、この弱点を克服すべく大幅なメスが入りましたが、後悔しないためには、その改良点と、それでもなお残る「MT-07らしさ」とも言える特性を深く理解しておく必要があります。

結論から申し上げますと、2025年式MT-07のサスペンションは、街乗りや一般的なツーリングでの快適性を高いレベルで実現しつつ、従来モデルよりもスポーツ性能を一段引き上げています。しかし、その本質はあくまでストリートバイクであり、サーキットスペックのような懐の深さを求めるライダーにとっては、依然として不満が残る可能性があります。

劇的な進化を遂げたフロント周り

2025年モデルにおける最大のトピックは、フロントサスペンションが従来の正立テレスコピックフォークから、KYB製のΦ41mm倒立フォークへと進化した点です。これは単なる見た目の変更ではありません。倒立フォークはインナーチューブよりもアウターチューブの方が太く、これを車体上部(ステアリングステム)でクランプするため、構造的に剛性を飛躍的に高めることができます。これにより、以下のようなメリットが生まれます。

  • ブレーキング時の安定性向上:フルブレーキング時でもフロントフォークがヨレにくく、車体が前のめりになる挙動(ノーズダイブ)が穏やかになります。これにより、ライダーはより安心して強くブレーキをかけることができます。
  • コーナリング中の接地感向上:コーナリング中にフロントタイヤが路面にしっかりと押し付けられている感覚が強まり、ライダーはマシンの状態を把握しやすくなります。

私自身、峠道で新旧モデルを比較試乗した際、この違いに最も驚かされました。旧モデルでは、コーナーの進入でブレーキを残しながら倒し込んでいくと、フロント周りに若干の曖昧さを感じることがありました。しかし新型では、同じ操作をしてもフロントタイヤがしっかりと路面を捉え、狙ったラインを正確にトレースできる感覚があったのです。これは、スポーツライディングを楽しむ上で非常に大きな進化です。

「コストの壁」と残された課題

しかし、素晴らしい進化を遂げた一方で、MT-07のサスペンションには、そのコストパフォーマンスと引き換えに残された課題もあります。それは、減衰力調整機構が備わっていない点です。高級なサスペンションには、スプリングの硬さ(プリロード)だけでなく、サスペンションが縮む速さ(圧側減衰力)や、伸びる速さ(伸側減衰力)を調整するダイヤルが付いています。これにより、ライダーの体重や好み、路面状況に合わせて最適なセッティングを出すことができます。

MT-07のサスペンション(リアはプリロードと伸側減衰力の調整が可能)は、いわば「最大公約数的」なセッティングが施されています。平均的な体重のライダーが、平均的な速度で走ることを想定しているため、以下のような状況では不満が出やすくなります。

  • 荒れた路面やギャップ:サスペンションが一度縮んだ後、元の長さに戻るスピードを制御しきれず、車体が「フワフワ」したり、連続するギャップでは「バタついて跳ねる」ような挙動が出ることがあります。
  • ハイペースなスポーツ走行:速いスピードでコーナーに進入し、車体に大きな荷重がかかると、サスペンションが底付き(ストロークの限界まで沈み込むこと)しやすくなります。これにより、一瞬、車体のコントロールが不安定になることがあります。

経験者が語る「サス沼」への入り口と賢い付き合い方

バイク乗りの中には、このサスペンションのセッティングにこだわり始め、次々と高価なパーツに交換していく、通称「サス沼」にハマる人がいます。MT-07は、まさにその入り口になり得るバイクです。

ステップ1:まずは純正を知り尽くす

購入後、すぐにサスペンションに不満を持つのではなく、まずはリアサスペンションのプリロード調整を試してみましょう。荷物を多く積む場合は硬めに、一人で軽快に走りたい時は少し柔らかめに調整するだけでも、乗り味は変化します。自分の基準を作るためにも、まずは純正の状態を味わい尽くすことが重要です。

ステップ2:オイル粘度と油面の変更(フロント)

より手軽に乗り味を変えたい場合、フロントフォークのオイル粘度や油面(オイル量)を変更するという方法があります。オイルを硬いものにすれば動きが落ち着き、油面を上げれば奥での踏ん張りが効くようになります。これは専門的な知識が必要ですが、信頼できるバイクショップに相談すれば数万円の費用で施工可能です。

ステップ3:社外品への交換

それでも満足できない場合は、いよいよ社外品への交換を検討します。フロントならオーリンズやハイパープロといったメーカーから高性能なカートリッジキットが、リアならナイトロンやYSSなどからフルアジャスタブルのショックアブソーバーが販売されています。これらに交換すれば、MT-07はまるで別のバイクのように、しなやかでコシのある、上質な乗り心地と高いスポーツ性能を両立した足回りを手に入れることができます。

結論として、MT-07新型のサスペンションは、多くのライダーにとっては十分満足できるレベルにあり、スポーツ性能も確実に向上しています。しかし、もしあなたがより高みを目指すのであれば、それは「後悔」ではなく、自分だけの一台を育て上げる「カスタムの楽しみ」の始まりと捉えるのが、このバイクとの最も幸せな付き合い方と言えるでしょう。

長距離ツーリングはMT-07新型で可能か

「このバイクで、どこまでも走っていけるだろうか?」愛車を選ぶ上で、長距離ツーリングへの適性は多くのライダーが気にするポイントです。特にMT-07は、その軽快なイメージから「街乗りは得意そうだけど、長距離は辛いのでは?」という印象を持たれがちです。ここでは、MT-07が長距離ツーリングというステージでどのような顔を見せるのか、そのポテンシャルと克服すべき課題、そして後悔しないための具体的なノウハウを、経験に基づいて徹底的に解説します。

まず、この問いに対する私の答えは、「可能です。ただし、”快適な旅”にするためには、ライダーの工夫とバイクへの一手間が不可欠です」となります。MT-07は、そのままでも1泊2日程度のツーリングなら十分にこなせますが、その真価は「ツアラー化」というカスタムを施すことで、何倍にも引き出されるのです。

MT-07が長距離ツーリングで「武器」になる点

一見、ミスマッチに思えるかもしれませんが、MT-07には他の大型ツアラーにはない、長距離ツーリングにおける明確な強みが存在します。

  1. 圧倒的な軽さがもたらす「疲労度の低減」
    車両重量183kgという、400ccクラスと見紛うほどの軽さは、あらゆる場面でライダーを助けてくれます。例えば、観光地の混雑した駐車場での取り回し、宿の前の狭い道でのUターン、不意に砂利道に迷い込んでしまった時の切り返しなど、重量級ツアラーであれば途方に暮れるような場面でも、MT-07なら鼻歌交じりでクリアできます。この「精神的な余裕」と「物理的な負担の少なさ」は、旅全体の疲労度を大きく左右する重要な要素です。
  2. 低中速トルク型の「扱いやすいエンジン」
    CP2エンジンの豊かなトルクは、ツーリング先の知らない峠道でこそ真価を発揮します。頻繁なシフトチェンジを要求されることなく、アクセル一つで速度を自在にコントロールできるため、景色を楽しむ余裕が生まれます。また、前述の通り燃費性能が非常に優秀(WMTCモード値で25.4km/L)なため、航続距離が長く、地方のガソリンスタンドが少ないエリアでも安心して走り続けられます。
  3. 自然で疲れにくい「ライディングポジション」
    スーパースポーツのような極端な前傾姿勢でもなく、クルーザーのような後傾姿勢でもない、アップライトで自然なライディングポジションは、長時間の運転でも腰や手首への負担が少ないのが特徴です。視点が高く、周囲の状況を把握しやすいのも安全運転に繋がります。

「ツアラー」として見た場合の明確な弱点と、その克服法

一方で、MT-07を本格的なツアラーとして運用するには、無視できない弱点が3つ存在します。これを知らずに長距離の旅に出てしまうと、後悔に繋がる可能性が非常に高いです。

1. 防風性能の欠如(最重要課題)
前項でも触れましたが、高速道路を1時間以上連続で走行するような場面では、走行風による体温の低下と体力の消耗が深刻な問題となります。
【解決策】防風効果の高い大型のツーリングスクリーンを装着しましょう。GIVIやPuigといった海外ブランドから、デイトナなどの国内ブランドまで、様々な製品がリリースされています。見た目とのバランスを考えつつ、自分の身長に合った高さを選ぶのがポイントです。これにより高速巡航は驚くほど快適になります。
2. 積載能力の皆無(必須課題)
シート下の収納スペースはゼロに等しいです。2〜3泊の旅行に必要な着替えや雨具、お土産などを積むには、積載装備の追加が絶対に必要です。
【解決策】最もポピュラーなのが、「リアキャリア+トップケース」の組み合わせです。トップケースは鍵付きで防犯性が高く、荷物の出し入れも簡単。ヘルメットを収納できる大容量のものを選べば、旅先での観光も身軽に楽しめます。さらに積載量を増やしたい場合は、サイドパニアケースを追加します。純正オプション(ワイズギア)のセミソフトサイドケースは、デザインのマッチングも良くおすすめです。
3. シートの快適性
MT-07の純正シートは、スポーツ走行を意識したやや硬めでスリムな形状です。そのため、2〜3時間を超える連続走行では、お尻の特定の場所に圧力が集中し、痛みを感じ始めることがあります。
【解決策】手軽なのはゲル内蔵のシートクッション(通称ゲルザブ)を使用することです。これだけでも痛みは大幅に緩和されます。根本的な解決を求めるなら、ヤマハヨーロッパから発売されている「コンフォートシート」への交換がおすすめです。座面の面積が広く、クッション性も高められており、長距離での快適性が格段に向上します。

経験談:MT-07 Y-AMTで走った500km日帰りツーリング

先日、私は2025年モデルのMT-07 Y-AMTで、往復約500kmの日帰りツーリングを体験しました。その際に最も感動したのは、クラッチ操作とシフト操作から完全に解放されることの恩恵です。特に、渋滞の多い市街地を抜ける際や、疲労が溜まってくる帰りの峠道で、変速をバイクに完全に任せられるのは、想像を絶するほど快適でした。左手の疲労がゼロになるだけで、これほどまでにライディングに集中でき、景色を楽しむ余裕が生まれるのかと、まさに目から鱗の体験でした。もしあなたがツーリングメインでMT-07を検討しているなら、私は迷わずY-AMTモデルを強く推奨します。追加の価格以上の価値が、そこには間違いなく存在します。

結論として、MT-07は「素のまま」ではストリートファイターですが、スクリーン、積載装備、快適なシートという「旅の三種の神器」を装備させることで、どんな道でも楽しめる最高のライトウェイトツアラーへと変貌を遂げます。その変身の過程すら楽しめるのが、このバイクの奥深い魅力なのです。

MT-07新型にある酷評のエンジン音の正体

バイク選びにおいて、「音」は性能やスペックと同じくらい、あるいはそれ以上にライダーの感性を刺激する重要な要素です。新型MT-07について情報を集めていると、「エンジン音が良い」という絶賛の声がある一方で、「下品だ」「うるさい」といった手厳しい酷評を目にすることがあります。なぜこれほどまでに評価が真っ二つに分かれるのか。その理由は、MT-07が搭載するCP2エンジンの独特なキャラクターと、2025年モデルから新たに採用されたヤマハの野心的な試みに隠されています。購入後に「こんな音だとは思わなかった」と後悔しないために、その正体を深く探っていきましょう。

まず、MT-07のエンジン音の根源となっているのが、270度位相クランクシャフトを持つ並列2気筒エンジン、通称「CP2エンジン」です。一般的な並列2気筒(360度クランクや180度クランク)が「ドゥルルル」や「ブーン」といった比較的均等な爆発間隔の音になるのに対し、270度クランクは「ドッドッ、ドッドッ」という、V型2気筒エンジンのような不等間隔の爆発パルスを生み出します。これが、ライダーにダイレクトに伝わる「鼓動感」の正体です。

音の評価が分かれる第一の要因:鼓動感の好み

  • 肯定的な意見:「まるで生き物のように脈打つ感じがたまらない」「アクセルを開けるたびにワクワクする」「これぞバイクを操っているという実感がある」といったように、この独特のパルス感を「楽しさ」や「味わい」として捉えるライダーからは絶大な支持を得ています。ハーレーダビッドソンのようなVツインの鼓動感が好きな方には、非常に魅力的に感じられるでしょう。
  • 否定的な意見:一方で、4気筒エンジンのような「フォーン」と滑らかに吹け上がるサウンドや、静粛性を好むライダーからは、「洗練されていない」「がさつな音」「長時間聞いていると疲れる」といったネガティブな評価に繋がりやすいです。いわば、綺麗に調律されたオーケストラを好むか、エネルギッシュなロックバンドを好むかの違いに似ています。

これがまず、評価が分かれる根本的な理由です。そして、2025年モデルでは、このサウンド体験をさらに先鋭化させるための、非常にユニークな技術が投入されました。

音の評価をさらに複雑にする第二の要因:「アコースティック・アンプリファイア・テクノロジー」

これは、日本語に訳すと「音響増幅技術」となります。具体的には、従来のバイクが主に排気音をチューニングしてライダーに聞かせていたのに対し、MT-07新型はエンジンが空気を吸い込む際に発生する「吸気音」に注目しました。エアクリーナーボックスや吸気ダクトの形状を工夫することで、特定の周波数の吸気音を増幅。そして、その増幅されたサウンドを、燃料タンクカバー上面に設けられた4つの穴(アコースティック・グリル)から、ライダーの耳へとダイレクトに放出するという仕組みです。

これは、例えるならコンサートホールで自分専用のスピーカーが設置されるようなものです。実際に運転していると、ヘルメットの中でエンジンのメカニカルノイズや吸気音が非常にクリアに、そして迫力をもって聞こえてきます。スロットルを開閉するたびに「シュゴーッ!」という吸気音と、「ドコドコ」という排気音がミックスされ、まるで自分がエンジンと一体化したかのような感覚を味わえるのです。

このシステムの画期的な点は、ライダー自身は強烈なサウンドによる高揚感を得られる一方で、バイクの外に放出される騒音(車外騒音)は国の定める規制値内にしっかりと抑えられていることです。つまり、周囲の環境に配慮しながら、自分だけがライディングの興奮を最大限に楽しめるという、非常に現代的なソリューションなのです。

「酷評」が生まれるメカニズム

しかし、この革新的なシステムこそが、新たな酷評を生む原因にもなっています。人によっては、このダイレクトに聞こえてくる吸気音やメカニカルノイズが、単なる「ノイズ(騒音)」に感じられてしまうのです。「エンジンから変な音がする」「常にガーガー、ゴーゴーうるさい」といった感想は、この吸気音を不快に感じた結果生まれるものと考えられます。特に、静かな乗り心地を期待していた方にとっては、「裏切られた」と感じ、後悔に繋がる可能性があります。

また、この吸気音は風切り音などと混ざるため、試乗の際にヘルメットの種類や走行状況によっても聞こえ方が大きく変わります。静粛性の高い高級ヘルメットで聞く音と、エントリーモデルのヘルメットで聞く音では、全く印象が異なる場合もあるでしょう。

結論として、MT-07新型のエンジン音への酷評は、単一の原因ではなく、①270度クランク特有の「鼓動感」に対する好みの違い、②吸気音をライダーに聞かせるという「新たな仕組み」に対する評価の違い、という二つの要素が複雑に絡み合った結果と言えます。「音」ばかりは、どれだけ文章で説明しても伝えきれるものではありません。後悔しない唯一の方法は、必ず販売店でエンジンをかけさせてもらい、できれば試乗して、様々な速度域でその音が自分の感性に合うかどうかを、あなた自身の耳で確かめることです。それが、最高の相棒を見つけるための、最も確実な一歩となるでしょう。

MT-7新型は実用性で後悔する?購入後の評価

  • MT-07購入後のリアルな口コミをチェック
  • MT-07新型は足つきが悪いという噂の真相
  • 価格相応?MT-07新型の外装は安っぽいか
  • 致命的?MT-07新型の収納が少ない問題
  • 想定外だったMT-07新型の燃費性能
  • MT-07新型の売却時に査定が安いという声

MT-07購入後のリアルな口コミをチェック

バイク選びにおいて、カタログスペックやプロの評論家によるインプレッションも重要ですが、最終的に日々の満足度を左右するのは、実際にそのバイクと生活を共にしている「オーナー」たちの生の声です。特にMT-07のように、長年にわたり多くのライダーに愛されてきたモデルは、ウェブサイトやSNS上に膨大な数の口コミが存在します。しかし、情報が多すぎるゆえに、何が本質的な評価なのかを見極めるのは困難です。ここでは、私が日々お客様との対話やオンラインコミュニティで収集した無数の口コミを分析し、その核心にある「MT-07の本質」を浮き彫りにしていきます。これを読めば、あなたがMT-07を購入した後のバイクライフを、より具体的にイメージできるようになるはずです。

口コミを精査していくと見えてくるのは、MT-07は「何でもそつなくこなす優等生」ではなく、「特定の魅力が突出した、愛すべき個性派」であるという事実です。そして、その突出した魅力に共感できるかどうかが、購入後に後悔するか、最高の相棒として長く付き合えるかの最大の分岐点となります。

オーナーたちが口を揃えて絶賛する「3つの魅力」

数あるポジティブな口コミの中で、特に頻繁に登場し、多くのオーナーの満足度の核となっているのは、以下の3点です。

  1. 「大型バイクの常識を覆す、圧倒的な軽快感」
    これは最も多く聞かれる声です。「まるで250ccか400ccのバイクを扱っているような感覚で、街中のどんな狭い道でも不安がない」「Uターンが怖くなくなったことで、ツーリング先で脇道に逸れるのが楽しくなった」といったように、その軽量・コンパクトな車体がもたらす精神的な解放感を絶賛する声が後を絶ちません。重いバイクの取り回しに疲れ、リッタークラスからMT-07に乗り換えたベテランライダーが「バイクに乗るのが再び楽しくなった」と語るケースも非常に多いです。
  2. 「五感を刺激する、CP2エンジンの官能性」
    「ただの移動手段ではなく、操るプロセスそのものが楽しい」「低回転から湧き上がるトルクと、体に伝わる鼓動感がたまらない。無意味に遠回りして帰りたくなる」など、CP2エンジンの持つ独特のフィーリングを称賛する声も多数あります。これは、ただ速いとかパワフルというだけでなく、ライダーの感性に訴えかける「味わい」の部分が高く評価されている証拠です。特にY-AMTモデルのオーナーからは、「あの楽しいエンジンを、クラッチ操作の煩わしさなしに味わえるのは革命的だ」という意見も聞かれます。
  3. 「驚くべき経済性と、カスタムの懐の深さ」
    「大型バイクなのに、燃費がリッター25kmを下回ることがほとんどない。お財布に優しくて本当に助かる」「カスタムパーツが星の数ほどあるので、自分だけの一台を作り上げる楽しみがある。盆栽いじりのように、コツコツと育てていける」といった、維持費の安さと発展性の高さを評価する声も目立ちます。初期投資だけでなく、長く所有する上での満足度にも繋がっている点が特徴です。

一方で、覚悟しておくべき「3つのリアルな不満点」

光があれば影もあるように、オーナーたちのリアルな声は、MT-07が抱える課題も正直に映し出しています。購入後に「こんなはずではなかった」と後悔する人の多くは、以下のポイントでつまずいています。

1. 「所有欲を満たしてくれない」と感じる質感
「友人のバイクと並べた時に、プラスチック部分の多さが気になって少し恥ずかしくなった」「90万円以上するバイクなのだから、もう少し金属パーツを使って高級感を出してほしかった」という声。走行性能には満足していても、バイクを眺めて楽しむ、所有する喜びといった面で物足りなさを感じる人が一定数存在します。特に、他のバイクからの乗り換えで、以前の愛車がより高価格帯のモデルだった場合に、このギャップを感じやすいようです。
2. 「あと一歩」が足りない足回り
「峠道でペースを上げると、サスペンションがフワフワして接地感が掴みにくい」「ブレーキのタッチが少し曖昧で、もっとカチッとした制動力が欲しい」といった、スポーツ走行時の限界性能に関する不満。街乗りでは全く気にならなくても、ライディングスキルが上達するにつれて、マシンの限界が見え始め、物足りなさを感じるというパターンです。これはバイクの欠陥というより、ライダーの成長の証とも言えますが、後悔の一因になり得ます。
3. 「何もかもが不便」な積載性と快適性
「シート下の収納が本当に何もない。雨具すら積めず、ツーリング先で降られてずぶ濡れになった」「2時間も乗っているとお尻が痛くなってくる。純正シートはデザイン優先で快適性は低い」といった、実用面での不満。これらは後からカスタムで解決できる問題ですが、購入前にその事実を知らず、「素のままで快適な旅ができる」と期待していると、大きなギャップを感じることになります。追加のカスタム費用を想定していなかった場合、予算面での後悔にも繋がります。

これらのリアルな口コミから導き出される結論は、明確です。MT-07は、「軽さ」「楽しさ」「経済性」という3つの要素に最高の価値を見出すライダーにとっては、比類なき満足感を与えてくれる最高のバイクです。一方で、「高級感」「限界性能」「快適性」をバイクに求めるのであれば、購入後に必ず物足りなさを感じることになるでしょう。あなたは、バイクに何を求めますか?これらのオーナーたちの声を、あなた自身の心の声と照らし合わせることが、後悔しないバイク選びの最も確実な近道なのです。

MT-07新型は足つきが悪いという噂の真相

バイク選びにおいて、特に初心者や小柄なライダー、そして久しぶりにバイクに復帰するリターンライダーにとって、「足つき性」は車両のスペック以上に重要な意味を持ちます。足がしっかり着くという安心感は、立ちゴケへの恐怖を和らげ、バイクを操る自信に直結するからです。「MT-07新型は足つきが悪い」という噂を耳にして、自分の体格で乗りこなせるだろうか、と不安に感じている方も少なくないでしょう。このセクションでは、その噂の真相を、単なるシート高の数値だけでなく、車体設計やシート形状、そしてライダーの体格という多角的な視点から徹底的に分析し、あなたが後悔しないための具体的な判断基準を提示します。

まず、この問題に対する結論を先に述べると、「MT-07新型の足つき性は、数値以上に”乗り手を選ぶ”特性がある。シート高は平均的だが、シート形状とサスペンションの沈み込みが影響し、特に身長165cm以下の方には厳しいと感じられる可能性がある」となります。しかし、絶望する必要はありません。その理由と、具体的な対策をこれから詳しく解説していきます。

スペックシートの数字だけでは見えない「足つき」のカラクリ

MT-07のスペックシートを見ると、シート高は805mmと記載されています。これは、ホンダのCB650R(810mm)やスズキのSV650(785mm)など、同クラスのライバル車種と比較しても、ほぼ中間的な数値であり、決して極端に高いわけではありません。にもかかわらず、なぜ「足つきが悪い」という声が上がるのでしょうか。その理由は、以下の3つの要素が複合的に絡み合っているからです。

1. シート前方の幅と角の張り出し

足つきの良し悪しは、シートの高さだけでなく、「シートの幅」、特に足を下ろす際に太ももの内側が当たる部分の形状に大きく左右されます。MT-07のシートは、スポーツ走行時のニーグリップのしやすさも考慮されているため、シート前方が比較的幅広で、角がやや角張ったデザインになっています。これにより、足をまっすぐ真下に下ろしにくく、少しガニ股気味になってしまうのです。結果として、同じシート高でも、シートがスリムなバイクに比べて股下が数センチ余分に必要となり、かかとが浮きやすくなります。

2. ライダー乗車時のサスペンションの沈み込み量

バイクにまたがると、ライダーの体重でリアサスペンションが沈み込み、その分だけシート高は実質的に低くなります。MT-07のサスペンションは、前述の通り比較的ソフトなセッティングですが、それでも極端に大きく沈み込むタイプではありません。特に体重の軽いライダーの場合、期待するほど車高が下がらず、「スペック上の数値とあまり変わらない」と感じることがあります。

3. スリムな車体とのギャップ

MT-07は燃料タンク周りが非常にスリムで、跨った時の印象はとてもコンパクトです。そのため、「これだけスリムなら足つきも良いだろう」という期待感が生まれやすいのですが、実際に足を下ろそうとするとシートの幅が影響して「あれ、意外と届かないな」というギャップを感じやすいのです。これが「足つきが悪い」という印象を増幅させている一因とも考えられます。

【身長別】リアルな足つきインプレッション

言葉だけではイメージしにくいと思いますので、具体的な身長別に足つきの目安を示します。これはあくまで一般的な体型を基準としたものであり、足の長さや体重によっても変わるため、参考程度に捉えてください。

身長別 MT-07 足つき目安
ライダーの身長 両足での足つき 片足での足つき 取り回しの安心感
175cm~ 両足のかかとまでべったり接地。 膝に余裕があり、全く問題なし。 ◎ 非常に安心
170cm~174cm 両足のつま先から母指球あたりまで接地。かかとは少し浮く。 片足ならかかとまでしっかり接地。 ○ 安心
165cm~169cm 両足ともつま先立ち(バレリーナ状態)になる。 片足なら母指球あたりまで接地。お尻をずらせばより安定。 △ 不安を感じる可能性あり
~164cm 両足を着くのは困難。お尻を大きくずらして片足のつま先がようやく届くかどうか。 傾斜のある場所や不整地では非常に不安定。 × 細心の注意が必要

足つきに不安がある場合の、具体的な解決策と選択肢

もしあなたの身長が160cm台で、上記の表を見て不安になったとしても、諦めるのはまだ早いです。MT-07には、足つき性を改善するための有効な手段がいくつか存在します。

選択肢1:ローダウンキットの導入(効果:絶大)

リアサスペンションのリンクプレートを交換し、物理的に車高を下げるのが最も効果的です。多くのパーツメーカーから20mm~30mm程度ダウンさせるキットが販売されています。これだけで足つきは劇的に改善されます。ただし、デメリットとして、車体のバンク角が浅くなりコーナーでステップを擦りやすくなる、サイドスタンドの傾きが浅くなる(別途ショートスタンドへの交換が必要な場合も)といった点も考慮する必要があります。

選択肢2:あんこ抜き(シートの加工)

シート内部のウレタンフォームを削り、座面を低くする加工です。「あんこ抜き」と呼ばれ、専門業者に依頼すれば数万円で施工可能です。ローダウンキットと組み合わせることで、さらに効果を高めることができます。ただし、クッション性が損なわれ、長距離でお尻が痛くなりやすくなるというトレードオフがあります。

選択肢3:厚底ライディングブーツの着用

物理的に足の長さを稼ぐ、最も手軽な方法です。最近ではデザイン性の高い厚底タイプのライディングブーツも増えています。数センチの違いが、安心感に大きな差を生むこともあります。

結論として、MT-07新型の足つき性は、多くの人にとって許容範囲であるものの、一部のライダーにとっては乗り換えを検討するレベルの切実な問題になり得ます。後悔しない唯一にして最大の方法は、必ず実車にまたがること。そして、ただ跨るだけでなく、可能であれば少し車体を前後に動かしたり、左右に傾けたりして、「この重さと高さなら、万が一の時に支えられるか」を自分の体で確かめることです。その上で、必要であればローダウンなどの対策を検討する。その手順を踏めば、きっとあなたにとって最適な答えが見つかるはずです。

価格相応?MT-07新型の外装は安っぽいか

バイク選びは、走行性能や機能性だけでなく、「所有する喜び」も非常に重要な要素です。ガレージに佇む愛車を眺める時間、ツーリング先でバイクの横に立って写真を撮る瞬間。そうした時に、心から「このバイクを選んで良かった」と思えるかどうかは、外装の質感、つまり「見た目のカッコよさ」に大きく左右されます。MT-07は、96万8,000円(STDモデル/2025年)という戦略的な価格設定が大きな魅力ですが、その一方で必ずついて回るのが「価格相応に、外装が安っぽいのではないか?」という懸念です。ここでは、その質感問題を、単なる主観的な好き嫌いではなく、設計思想や素材選び、そして競合車種との比較という客観的な視点から深く掘り下げていきます。

このテーマに対する私の見解を結論から述べると、「MT-07新型の外装は、リッタークラスの高級車が持つ重厚な金属感や、細部の作り込みには及ばない。しかし、研ぎ澄まされたデザインと巧みな素材使いによって、”安っぽさ”を”軽快感”や”機能美”へと昇華させている。その価値を理解できるかどうかが、後悔の分かれ道となる」ということです。

「安っぽい」と感じられる原因の徹底分析

オーナーや購入検討者から「安っぽい」という声が上がる背景には、主に2つの要因が存在します。

原因1:多用される樹脂(プラスチック)パーツ

MT-07の外装を構成する主要なパーツ、例えば燃料タンクを覆うタンクカバーや、ラジエーターサイドのシュラウド、前後フェンダー、メーター周りなどは、その多くが金属ではなく樹脂で作られています。これは、ヤマハがMT-07を開発する上で「徹底した軽量化」と「コストパフォーマンスの最大化」という2つの命題を最優先した結果です。金属に比べて樹脂は、軽量であると同時に、複雑な形状を低コストで成形できるというメリットがあります。しかし、その反面、どうしても金属が持つ独特の冷たい輝きや重厚感、叩いた時の硬質な感触は得られません。特に、太陽光の下で間近に見ると、樹脂特有の素材感が「安っぽさ」という印象に繋がってしまうことがあるのです。

原因2:細部のディテール処理

例えば、ボルトの頭やケーブル類の処理、フレームの溶接跡の仕上げなど、細かな部分に目を向けると、より高価格帯のバイクに見られるような、手間のかかった処理は簡略化されている部分があります。これは決して品質が低いという意味ではなく、性能に直接影響しない部分のコストを合理的に削減し、その分をエンジンやフレーム、足回りといった走行性能の根幹をなす部分に投資している、という設計思想の表れです。

2025年モデルは「安っぽさ」をどう克服したか?

ヤマハもこうしたユーザーの声を認識しており、2025年モデルでは質感向上に向けて、大きなテコ入れを行いました。それは、単に高価な素材を使うのではなく、デザインと技術によって「安っぽさ」を乗り越えようというアプローチです。

質感向上のキーポイント①:新世代の”顔”と凝縮感のあるスタイリング

フロントマスクは、兄貴分であるMT-09と共通イメージの、超小型バイファンクショナルLEDヘッドライトとシャープなポジションライトを採用。これにより、バイクの「顔」つきが従来モデルよりも格段に精悍でモダンになりました。また、外装パーツのデザインを見直し、より塊感と凝縮感のあるスタイリングを実現。日本の伝統建築に着想を得た「嵌合(かんごう)」という考え方を取り入れ、パーツ同士が隙間なく組み合わさることで、車体全体の一体感を高めています。これにより、個々のパーツの素材感が気になるのではなく、全体のフォルムの美しさに目が向かうよう計算されているのです。

質感向上のキーポイント②:機能美を宿す足回り

前述の通り、フロントフォークはゴールドのアウターチューブが目を引く倒立式に、フロントブレーキキャリパーもラジアルマウントに変更されました。これらは走行性能の向上に直結する機能パーツですが、同時に見た目の上でも非常に大きな効果を発揮します。「走り」を予感させる高性能なパーツが装着されていることは、バイクの価値を視覚的に高め、所有満足度に繋がります。さらに、ヤマハ独自の技術である「スピンフォージドホイール」の採用も重要です。鋳造でありながら鍛造に迫る強度と軽さを実現したこのホイールは、そのシャープで複雑なスポークデザイン自体が、足元に高級感と軽快感を与えています。

私が2025年モデルを初めて目にした時、正直驚きました。「これが100万円を切るバイクの質感か」と。確かに、触れば樹脂だと分かります。しかし、少し離れてバイク全体を眺めた時のオーラは、価格以上のものがあります。それは、一つ一つのパーツが「軽く、強く、効率的に機能するため」という明確な目的を持ってデザインされているからだと感じました。無駄な装飾を排した結果生まれた「機能美」が、MT-07の質感の本質なのでしょう。

結論です。もしあなたが、クロームメッキが輝く重厚長大なクルーザーや、カーボンパーツを纏ったスーパースポーツのような、分かりやすい「高級感」をMT-07に求めるのであれば、購入後に必ず後悔するでしょう。しかし、アスリートの研ぎ澄まされた肉体美のように、パフォーマンスを追求した結果として得られる無駄のない機能美に価値を見出すことができるのであれば、MT-07の外装はあなたにとって、価格を超えた満足感を与えてくれるはずです。これもまた、実際に車両を見て、触れて、あなた自身の感性で判断すべき、極めて重要なポイントなのです。

致命的?MT-07新型の収納が少ない問題

バイクという乗り物は、自動車と違って「荷物を運ぶ」という機能をある程度割り切って考える必要があります。しかし、その割り切りにも限度というものがあります。MT-07の購入を検討する上で、走行性能やデザインと並んで、いや、それ以上にシビアに評価し、対策を考えておかなければならないのが、絶望的とも言える「収納スペースの少なさ」です。この問題を軽視して購入に踏み切ると、バイクライフのあらゆる場面で不便さを感じ、「こんなはずではなかったのに…」と後悔する最大の原因になりかねません。これは決して大げさな話ではなく、多くのオーナーが直面する現実です。

この問題に対する結論は、非常にシンプルです。「MT-07の収納能力は、設計上ゼロに等しい。そのため、購入と同時に、使い方に合わせた積載装備の追加が必須となる。これを前提として予算を組めない場合、購入すべきではない」。これが、私がお客様にアドバイスする際の偽らざる本音です。

「何もない」という現実。シート下の空間は幻想か?

多くのバイクには、シート下に多少なりとも小物を入れるスペースが確保されています。しかし、MT-07の場合、シート下の空間は車載工具と書類(車検証や自賠責保険証)を収めるためのトレイでほぼ占有されています。そのわずかな隙間に、ディスクロックの一つでも入れようものなら、シートが閉まらなくなるほどです。

さらに、現代のバイクライフに必須とも言えるETC車載器を装着した場合、そのトレイすら取り外す必要が出てくるケースが多く、事実上、正真正銘の収納スペースは皆無となります。この設計は、ヤマハがMT-07に何を求めたかを明確に物語っています。それは、マスの集中化による運動性能の向上と、テール周りを可能な限り絞り込んだスリムでアグレッシブなスタイリングの実現です。利便性は、その目的のために潔く切り捨てられたのです。

収納がないと、具体的にどのような場面で「致命的」な後悔に繋がるか
    • 日常の買い物:仕事帰りにコンビニに寄って、500mlのペットボトルとパンを買ったとします。さて、どこに入れましょうか?ポケットには入りきらず、結局ハンドルにビニール袋をぶら下げて走る…これは非常に危険ですし、何より格好悪く、惨めな気持ちになります。
    • ツーリング中の天候急変:山の天気は変わりやすいものです。突然の雨に降られても、レインウェアを携帯していなければ、ずぶ濡れになるしかありません。これは楽しいはずのツーリングを台無しにするだけでなく、体温を奪われ体調を崩す原因にもなります。

  • 防犯対策:出先でバイクを数時間離れる際、ヘルメットをミラーにかけておくだけでは盗難のリスクがあります。かといって、常に持ち歩くのは大変です。ヘルメットホルダーはありますが、雨が降れば内装は水浸し。ディスクロックやワイヤーロックといった防犯グッズを携帯するスペースもないため、常に不安がつきまといます。
  • スマートなツーリング:スマートフォン、モバイルバッテリー、財布、タオル、飲み物…。日帰りツーリングでも、最低限の荷物はあります。これらをすべて身に着けるとなると、ポケットはパンパンになり、ライディングの妨げになります。

このように、収納の欠如は、単なる不便さを超えて、安全性や快適性、さらには精神的な満足度までをも損なう、まさに「致命的」な問題となり得るのです。

後悔を「賢い選択」に変える、積載能力の拡張プラン

しかし、この問題は解決不可能なわけではありません。むしろMT-07は、そのプレーンな車体をキャンバスとして、オーナーの用途に合わせて多種多様な積載システムを構築できる、非常に拡張性の高いバイクでもあります。後悔しないためには、購入前に「自分はバイクをどう使いたいか」を明確にし、それに合わせた積載プランを立てておくことが極めて重要です。

【用途別】おすすめ積載カスタムプラン
プランA:街乗り・通勤快速仕様(予算:1〜3万円)
【推奨装備】タンクバッグ
最も手軽でコストパフォーマンスが高い選択肢。マグネット式や吸盤式で燃料タンクの上に取り付けます。容量は5〜10L程度のものが主流で、財布、スマホ、ペットボトル、タオルなど日常の必需品は十分に収納できます。乗降時に少し邪魔になることがありますが、バイクのスタイリングを大きく崩さないのがメリットです。
プランB:日帰り〜1泊ツーリング仕様(予算:2〜5万円)
【推奨装備】シートバッグ
リアシートにベルトで固定するタイプのバッグです。容量は15〜30L程度のものが人気で、日帰りツーリングの荷物に加え、1泊分の着替えや温泉セットなども収納可能。脱着も比較的簡単で、必要な時だけ使えるのが魅力です。ただし、タンデム(2人乗り)はできなくなります。
プランC:本格ロングツーリング・キャンプ仕様(予算:5〜15万円以上)
【推奨装備】リアキャリア + トップケース & サイドバッグ(パニアケース)
まさに「フル装備」の状態です。まず車体にGIVIやデイトナといったメーカーのリアキャリア(荷台)を取り付け、そこに樹脂製やアルミ製のトップケースを装着します。容量40L以上のものならフルフェイスヘルメットも収納可能。さらにサイドには専用のステーを取り付け、サイドバッグを装着すれば、積載量は数十リットル単位で増え、長期のキャンプツーリングにも対応できます。コストはかかりますが、利便性と防犯性は最高レベルに達します。

結論です。MT-07新型の収納が少ないという事実は、紛れもないデメリットです。しかし、それは同時に「自分の使い方に合わせて、最適な積載システムを構築する楽しみ」の始まりでもあります。購入前にこの事実を直視し、「積載カスタムの費用も車両価格の一部」と考えることができるなら、収納問題で後悔することは決してありません。むしろ、工夫次第でどんな用途にも対応できる、自分だけの万能マシンへと育て上げることができるでしょう。

想定外だったMT-07新型の燃費性能

大型バイクの購入を検討する際、どうしても初期投資である車両価格に目が行きがちですが、長く乗り続ける上でじわじわと家計に響いてくるのが、ガソリン代や税金、保険料といった「維持費」です。特にガソリン価格が高止まりしている昨今、「大型バイクは燃費が悪いから、お財布に厳しいのでは…」と心配される方は少なくありません。しかし、MT-07新型に関して言えば、その心配は良い意味で大きく裏切られることになります。MT-07の燃費性能は、まさに「想定外」の領域にあり、購入後に後悔するどころか、「このバイクを選んで本当に良かった」と実感できる、極めて強力なストロングポイントとなっています。

この驚異的な経済性の秘密は、ヤマハが長年培ってきたエンジン技術の結晶である、軽量・高効率なCP2エンジンと、そのパワーを無駄なく路面に伝える最適化された車体設計のシナジーにあります。MT-07は、いたずらに最高出力を追い求めるのではなく、ライダーが日常的に使用する回転域での燃焼効率を徹底的に追求しているのです。結果として、大型バイクの力強い走りを楽しみながら、まるで250ccクラスのバイクのような低燃費を実現するという、離れ業をやってのけています。

公式データとリアルな実燃費の徹底比較

まずは、メーカーが公表している客観的なデータを見てみましょう。燃費性能の指標として、現在最も信頼性が高いのが「WMTCモード値」です。これは、市街地、郊外、高速道路といった様々な走行パターンを想定して測定される国際基準であり、ユーザーの実際の使用状況に近い数値が出るとされています。

ヤマハ MT-07 (2025年モデル) 燃費・航続距離データ
項目 MT-07 ABS (STD) MT-07 Y-AMT ABS 補足
WMTCモード値 (クラス3-2) 25.4 km/L 25.8 km/L AT限定免許で乗れるY-AMT仕様の方が、僅かに燃費が良いのは興味深い点です。
燃料タンク容量 13 L 使用燃料は、お財布に優しい「無鉛レギュラーガソリン」指定です。
満タン時の理論的航続距離 約 330 km 約 335 km WMTC値 × タンク容量で算出。ツーリングで十分な距離を確保しています。

注目すべきは、この25km/Lを超える数値です。これは、同クラスのライバル車種と比較してもトップクラスの燃費性能です。では、実際のオーナーたちは、日々のライディングでどれくらいの燃費を記録しているのでしょうか。私が集計した数多くのオーナーレポートや燃費記録サイトのデータを分析すると、実燃費はおおむね以下のような傾向にあります。

  • ストップ&ゴーの多い都心部での通勤・街乗り:20~24 km/L。最も燃費に厳しい条件下でも、リッター20kmを下回ることは稀です。
  • 信号の少ない郊外路を流すツーリング:26~30 km/L。最もMT-07の効率が良い領域で、カタログスペックを上回る数値を叩き出すことも珍しくありません。
  • 高速道路を80~100km/hで巡航:25~28 km/L。一定速度で走り続けるため、安定して良好な燃費を記録します。

私自身の経験でも、Y-AMTモデルで郊外のツーリングに出かけた際、メーターに表示される平均燃費計が29.5km/Lを示したことがあります。688ccのバイクがこれほどの低燃費を記録することに、正直なところ驚きを隠せませんでした。これは、年間1万キロ走るライダーであれば、燃費がリッター18kmのバイクと比較して、ガソリン代だけで年間2万円以上も節約できる計算になります。

なぜMT-07はこれほど燃費が良いのか?

その背景には、いくつかの技術的な理由があります。

軽量設計による恩恵
車重183kgという軽さは、発進・加速時にエンジンにかかる負担を軽減し、直接的に燃費向上に貢献します。
フリクションロスの低減
CP2エンジンは、部品点数を少なくし、各パーツの摩擦抵抗(フリクションロス)を極限まで減らす設計がなされています。これにより、エンジンのパワーが無駄なく駆動力に変換されます。
最適化されたFIセッティング
電子制御燃料噴射(FI)が、スロットル開度やエンジン回転数、吸気温度といった様々な情報から、常に最も効率の良い燃料噴射量を計算しています。

これらの地道な技術の積み重ねが、MT-07の「想定外」な燃費性能を生み出しているのです。

結論として、MT-07新型の燃費は、大型バイクの走りの楽しさと、中型バイク並みの経済性を見事に両立させています。日々の通勤から長距離ツーリングまで、あらゆるシーンでガソリン代を気にすることなく、純粋に走りを楽しむことができる。これは、購入後にじわじわと満足感が高まっていく、非常に大きなメリットです。維持費の面で後悔する可能性は、極めて低いと言い切れるでしょう。

MT-07新型の売却時に査定が安いという声

愛車との出会いがあれば、いつかは別れの時も訪れます。バイクライフを続けていく中で、ステップアップのための乗り換えや、ライフスタイルの変化による売却は、誰にでも起こり得ることです。その際に、「購入した時よりも、驚くほど安い値段でしか買い取ってもらえなかった…」となれば、楽しかった思い出まで色褪せてしまうような、大きな後悔に繋がります。「MT-07は人気がある割に、売る時に査定が安い」という噂は、購入を検討する上で無視できない、不安要素の一つでしょう。このセクションでは、その噂の真偽を、中古バイク市場のメカニズムとMT-07というバイクが持つ本質的な特徴から解き明かし、あなたの資産価値を最大限に守るための具体的な戦略までを伝授します。

まず、この噂に対する専門家としての見解を述べると、「MT-07の査定額は、極端に暴落することはないが、”プレミア価値”が付きにくいため、高いリセールバリューは期待できない。しかし、車両の状態と売却方法次第で、年式相応以上の評価を得ることは十分に可能である」となります。

なぜ査定額が「高騰しにくい」のか? 中古市場の原理原則

バイクの査定額、つまりリセールバリューは、基本的には「需要と供給のバランス」で決まります。欲しい人が多ければ(需要>供給)価格は上がり、市場に溢れていれば(需要<供給)価格は下がります。MT-07の査定額が上がりにくい理由は、まさにこの原理原則に当てはめて考えると、非常にクリアに理解できます。

理由①:圧倒的な人気と販売台数がもたらす「供給過多」

MT-07は2014年のデビュー以来、ヤマハの主力モデルとして世界中で驚異的な販売台数を記録してきました。これは、バイクとしての完成度が高い証拠ですが、裏を返せば、中古市場には常に豊富な数のMT-07が流通していることを意味します。買取業者の視点から見れば、「今、無理に高く買い取らなくても、また別のMT-07が入ってくるだろう」という心理が働きやすいため、積極的に高値をつける動機が薄いのです。これが、査定額が伸び悩む最大の理由です。

理由②:リーズナブルな新車価格

新車価格が90万円台というコストパフォーマンスの高さはMT-07の大きな魅力ですが、これが中古車価格の上限を規定する役割も果たしています。例えば、3年落ちの中古車が80万円で売られていたとして、多くの消費者は「あと十数万円足せば、最新の電子制御が付いた新車が買えるなら、そっちの方が良い」と考えるでしょう。このように、新車価格が中古車価格の「天井」となるため、相場が大きく高騰しにくいのです。

理由③:「資産」よりも「相棒」というキャラクター

世の中には、生産台数が少ない限定モデルや、特定の年代にしか存在しない絶版車など、投機的な対象として価格が高騰するバイクがあります。しかし、MT-07はそうした「資産」としての価値ではなく、あくまでオーナーに寄り添い、日々のライディングを楽しむための「相棒」というキャラクターのバイクです。そのため、希少価値によるプレミアが付きにくく、査定額は純粋に車両のコンディションと年式、走行距離によって判断されることになります。

査定額が大きく下がる「やってはいけない」NG事例

リセールバリューが上がりにくい一方で、オーナーの扱い方次第で査定額は大きく下がってしまいます。以下は、私が査定の現場で見てきた、典型的なマイナス評価のパターンです。

  • 過度なカスタムと純正パーツの紛失:個性が強すぎるカラーリングや、保安基準に適合しないマフラーへの交換は、次の買い手を見つけにくくするため、大幅な減額対象となります。特に、交換した際の純正パーツ(マフラー、ミラー、フェンダー等)が保管されていない場合は、致命的です。
  • メンテナンスの怠慢:チェーンの錆や伸び、タイヤの摩耗、オイル交換の履歴不明など、基本的なメンテナンスがされていない車両は、再販前の整備コストがかさむため、その分が査定額から差し引かれます。
  • 転倒による傷やサビ:立ちゴケ程度の小さな傷は許容範囲ですが、カウルやタンクに大きな傷や凹みがあると、修理費用として数万円単位で減額されます。屋外保管による金属部分のサビも同様です。

後悔しないために。愛車の価値を1円でも高く保つための戦略

では、将来的な売却時に後悔しないためには、どのようなことを心掛ければ良いのでしょうか。それは、購入した瞬間から始まる「将来への投資」です。

難しいことはありません。基本は「愛情を持って、丁寧に接する」ということです。日頃から綺麗に洗車し、屋根のある場所に保管し、定期的なメンテナンスをプロに任せる。これだけで、数年後の査定額は大きく変わってきます。カスタムを楽しむ際も、必ず純正パーツは大切に保管しておきましょう。それが、あなたの資産を守る最も確実な保険になります。

そして、いざ売却するとなった際に、最も重要な戦略が「複数の買取業者による相見積もり」です。バイクの買取価格は、業者によって驚くほど差が出ます。A社では30万円だったのに、B社では40万円だった、ということも日常茶飯事です。これは、各社が持つ販売ルートや在庫状況、得意な車種が異なるために起こります。決して1社の査定だけで即決せず、必ず2~3社以上の査定を受けて、最も高い評価をしてくれた業者に売却する。これが、あなたの愛車の価値を最大限に引き出すための、最強のテクニックなのです。

MT-07の査定額は、あなたの日々の愛情と、売却時の少しの知恵で大きく変わります。このことを覚えておくだけで、将来的な後悔を避けることができるでしょう。

結論!MT-7新型で後悔するかどうかの判断

さて、ここまで新型MT-07の走行性能から実用性、そして将来の資産価値に至るまで、後悔に繋がりかねないあらゆるポイントを徹底的に検証してきました。数々の情報に触れ、あなたの中である程度の「MT-07像」が形作られてきたことでしょう。しかし、最終的に「買うべきか、やめるべきか」を決断するのは、他の誰でもない、あなた自身です。この最後のセクションでは、これまでの議論を総括し、あなたが後悔のない、最高の決断を下すための最終的な判断基準を、箇条書きの形で明確に提示します。このリストを、あなた自身の心の声と照らし合わせ、最後のチェックリストとしてご活用ください。

新型MT-07は、ライダーに「選択」を迫るバイクです。それは、絶対的な性能や豪華さを追求するのではなく、バイクに乗るという行為の根源的な「楽しさ」と「扱いやすさ」を、現代の技術で徹底的に磨き上げた、極めてコンセプトの明確な一台だからです。そのコンセプトにあなたの価値観がシンクロすれば、MT-07は価格を超えた、生涯の相棒となり得ます。しかし、少しでもズレがあれば、それは日々の小さな不満の積み重ねとなり、やがて大きな後悔へと繋がってしまうでしょう。

以下のリストで、あなたがどちらのタイプのライダーに近いか、正直に自分自身と向き合ってみてください。

【あなたはどちら?】MT-07で「最高の満足」を得られるライダー

もし、以下の項目の多くに「はい」と答えられるなら、あなたは新型MT-07で後悔する可能性は極めて低く、素晴らしいバイクライフが待っているでしょう。

  • 大型バイクの「重さ」や「威圧感」に、少しでも不安や煩わしさを感じる
  • 最高速よりも、街中や峠道での「キビキビとした加速感」や「操る楽しさ」を重視する
  • バイクはサーキットのタイムを競う道具ではなく、日常の移動や週末の冒険を彩る「楽しい相棒」であってほしい
  • 電子制御による安全性の高まりに、大きな魅力を感じる(特に初心者、リターンライダー)
  • Y-AMTのクラッチレス操作に、ツーリングでの疲労軽減や渋滞時の快適性という価値を見出せる
  • 燃費や税金など、購入後の「維持費」はなるべく抑えたいと考えている
  • バイクの収納力はゼロでも構わない。その代わり、自分の使い方に合わせてバッグなどでシステムを構築する「カスタムの過程」を楽しみたい
  • 画一的な完成品よりも、自分だけの一台に「育てていく」という余白があるバイクが好きだ
  • 金属の重厚感よりも、アスリートのような無駄のない「機能美」に惹かれる
  • バイクにまたがった時、足がべったり着かなくても、車体の軽さでカバーできる自信がある(または、対策を講じる覚悟がある)

【要注意】MT-07で「後悔」する可能性が高いライダー

逆に、以下の項目の多くに当てはまる場合、今は一度立ち止まり、本当にMT-07があなたのニーズに合っているか、もう一度冷静に考え直すことを強くお勧めします。他の選択肢(MT-09や他メーカーのバイク)の方が、あなたを幸せにしてくれるかもしれません。

  • バイクには圧倒的なパワーと、高回転まで回した時の「刺激的な加速」を求める
  • 友人や他のライダーと並べた時に見劣りしない「高級感」や「所有欲」は絶対に譲れない
  • 主な用途は高速道路を使った長距離ツーリングであり、防風性能と快適性を最優先したい
  • サスペンションやブレーキには、細かくセッティングできる調整機能と、高い限界性能が必要だ
  • バイクは「素の状態」で完成されているべきで、購入後に追加でカスタム費用をかけることには抵抗がある
  • ヘルメットや荷物がスマートに収納できる、高い実用性は必須条件だ
  • 静粛で滑らかな乗り心地が好きで、エンジンからのメカニカルな音や鼓動は「ノイズ」に感じてしまう
  • 将来的な乗り換えを考えた時に、高いリセールバリュー(資産価値)が期待できるバイクが欲しい
  • 身長が165cm以下で、足つきに強い不安があり、ローダウンなどの対策には抵抗がある

このチェックリストは、あくまで一つの指針です。最終的には、この記事で得た知識を元に、必ず実車を見て、触れて、そして可能であれば試乗してください。カタログや画面越しでは決して伝わらない、エンジンの鼓動、ハンドリングの軽さ、あなたの体にフィットするかどうか。その五感で感じた「直感」こそが、後悔しないバイク選びの最後の決め手となります。

新型MT-07は、あなたのバイクライフをかつてないほど自由で楽しいものに変えてくれる、計り知れないポテンシャルを秘めた一台です。街乗りからツーリングまで、あらゆるシーンで頼れる相棒として、きっとあなたの期待に応えてくれることでしょう。

この記事が、あなたの賢明な選択の参考となり、理想のバイクライフを実現する最高のパートナーとの出会いに繋がることを心から願っています。新型MT-07と共に、素晴らしいライディング体験を楽しんでください。