「速さを競うのは卒業した。深さを味わう旅へ」
若い頃はアクセル全開でコーナーを攻めることに夢中でした。
しかし年齢を重ねるにつれ、バイク旅に求めるものが変わってきます。
走りの爽快感はもちろん、土地の歴史に思いを馳せ、地元の食材を味わい、名湯に浸かって一日の疲れを癒す...
そんな「深み」のあるツーリングこそが、大人のライダーにふさわしい旅のスタイルです。
甲信越地方(山梨・長野・新潟)は、武田信玄・上杉謙信が覇を競った戦国の舞台、中山道・甲州街道といった歴史街道、信州そば・ほうとう・へぎそばなどの郷土料理、そして日本屈指の温泉地帯...まさに「大人のツーリング」に最適なフィールドです。
このガイドでは、走りの楽しさに加えて、温泉・グルメ・歴史文化を深く味わう、知的好奇心を満たす極上のツーリングルートを完全網羅します。
Part 1:【山梨県】武田信玄の足跡と甲州の恵み
【歴史スポット】戦国最強武将の生涯を辿る

■ 武田神社(躑躅ヶ崎館跡)
武田信玄が居城とした躑躅ヶ崎館の跡地に建つ神社。
戦国時代の山城の雰囲気を今に残し、信玄公を祀る神社として多くの参拝者が訪れます。
見どころ:
- 宝物殿に信玄公の甲冑・軍配が展示(入館料300円)
- 「姫の井戸」は信玄公の娘が産湯に使ったと伝わる名水
- 境内の静けさの中で、戦国の覇者に思いを馳せる
バイク駐車場: 無料、境内に駐車可能
■ 恵林寺(えりんじ)
武田信玄の菩提寺。「心頭滅却すれば火もまた涼し」の名言で知られる快川国師ゆかりの寺です。
見どころ:
- 国指定名勝の庭園(夢窓疎石作)
- 信玄公の墓所で静かに手を合わせる
- 四脚門の「心頭滅却」扁額
- 紅葉の時期(11月中旬)は絶景
拝観料: 500円 駐車場: 無料
■ 甲府城跡(舞鶴城公園)
石垣が美しい平山城跡。天守台から甲府盆地〜南アルプスの絶景を一望できます。
バイクポイント: 甲府駅前でアクセス良好、市内観光+ランチの立ち寄りに最適
【温泉】信玄公ゆかりの名湯

■ ほったらかし温泉
甲府盆地を一望する絶景露天風呂。
「あっちの湯」と「こっちの湯」の2つの浴場があり、どちらも甲府盆地・南アルプス・富士山を眺めながら入浴できます。
営業時間: 日の出1時間前〜22時(年中無休)
料金: 大人800円
特徴: 早朝営業で朝焼けの甲府盆地を独占
ライダーのための極意: 早朝5時台に到着し、「あっちの湯」で日の出を待つ。朝焼けに染まる甲府盆地と雲海の絶景は、人生の記憶に刻まれます。
■ 下部温泉
武田信玄が合戦の傷を癒やしたと伝わる古湯。
ぬるめの湯に長く浸かるのが特徴で、長距離ツーリングで凝り固まった筋肉をゆっくりほぐすのに最適です。
おすすめ: 古湯坊 源泉館(足元から湧き出す源泉)
【グルメ】甲州の恵みを味わう

■ 甲州ほうとう
武田信玄が陣中食として兵士に食べさせたと伝わる郷土料理。
太い平打ち麺を味噌仕立ての汁で煮込み、カボチャ・里芋・キノコなどの野菜がたっぷり。
名店:
- 小作 甲府駅前店: 観光客に人気、1,100円
- 皆吉(みなき): 地元民御用達、古民家で頂く本格的な味、950円
■ 甲州ワインビーフ
甲州ワインの製造過程で出るぶどうの搾りかすを飼料に育てた牛肉。
柔らかく、ほのかにワインの香りが漂う高級肉です。
おすすめ店:
- レストラン ボルドー(甲府市): ステーキランチ2,800円
- 双葉SA(中央道): ワインビーフ丼1,500円
Part 2:【長野県】信州の歴史街道と山里の恵み
【歴史スポット】中山道・木曽路の宿場町巡り

■ 奈良井宿(ならいじゅく)
「奈良井千軒」と謳われた、木曽路最大の宿場町。
約1kmにわたって江戸時代の建築物が連なる様は圧巻です。
見どころ:
- 二百地蔵:街道を見守る石仏群
- 漆器店:奈良井塗の伝統工芸
- 鍵の手:宿場町特有のクランク状の道
駐車場: 無料(宿場町入口) 所要時間: 散策1〜2時間
ライダーのための極意: 早朝7〜8時に訪れると、観光客がおらず静寂の中で江戸時代にタイムスリップできます。朝靄の中の宿場町は幻想的です。

■ 妻籠宿(つまごじゅく)
日本で初めて古い町並み保存に成功した宿場町。電線地中化、看板規制など、徹底した景観保護により江戸時代の姿を今に残します。
見どころ:
- 脇本陣奥谷:島崎藤村の母の生家、内部見学可能
- 寺下の町並み:最も美しい石畳の坂道
- 郵便史料館:日本最古の郵便制度を学ぶ
■ 善光寺
創建約1400年、「一生に一度は善光寺参り」と言われる信州最大の霊場。
宗派を問わず誰でも受け入れる寛容さで知られ、国宝の本堂は圧倒的な存在感を放ちます。
見どころ:
- 本堂:国宝、東日本最大級の木造建築
- お戒壇巡り:真っ暗な地下回廊を手探りで進む、500円
- 仲見世通り:参道に並ぶ土産物店・そば店
【温泉】信州の名湯
■ 白骨温泉
「三日入れば三年風邪をひかない」と言われる乳白色の秘湯。硫黄の香りと白濁した湯は、まさに「THE 温泉」の雰囲気です。
おすすめ: 泡の湯旅館(野天風呂) 混浴の大露天風呂(タオル巻き可)は開放感抜群。
青白い湯と森の緑のコントラストが美しい。
■ 別所温泉
「信州最古の温泉」と呼ばれる古湯。
真田氏ゆかりの地・上田から近く、北向観音、安楽寺の八角三重塔など見どころも多数。
立ち寄り湯: 石湯(公衆浴場、雰囲気◎、料金安い)
【グルメ】信州の山の恵み
■ 信州そば
長野県を代表する郷土料理。
清らかな水と冷涼な気候が育む蕎麦は、香り高く喉越しが良いのが特徴。
戸隠そば: 「ぼっち盛り」と呼ばれる独特の盛り方
- うずら家(戸隠中社前): 五段盛り1,800円、地元民も認める名店
- そばの実(戸隠): 古民家の雰囲気、1,500円
■ 五平餅(ごへいもち)
木曽地方の郷土料理。潰したご飯を串に塗り、甘辛い味噌を塗って焼いた香ばしい一品。
おすすめ: 奈良井宿の各茶屋で1本300円、食べ歩きに最適
■ 小布施の栗菓子
栗の産地・小布施の名物。栗鹿ノ子、栗羊羹、モンブランなど多彩な栗スイーツが楽しめます。
名店:
- 竹風堂: 栗おこわ定食1,400円
- 小布施堂: 朱雀モンブラン(9〜10月限定)2,000円、整理券必須
Part 3:【新潟県】越後の城下町と豪雪の恵み
【歴史スポット】上杉謙信ゆかりの地
■ 春日山城跡
上杉謙信の居城跡。標高189mの山頂に築かれた難攻不落の山城で、今も土塁や空堀が残ります。本丸跡からの眺望は日本海から頸城平野まで一望できる絶景です。
見どころ:
- 本丸跡:謙信公が天下を見据えた場所
- 毘沙門堂:謙信公が信仰した毘沙門天を祀る
- 春日山神社:謙信公を祀る神社
入場料: 無料
駐車場: 無料(ものがたり館)
所要時間: 登城往復1時間
■ 林泉寺(りんせんじ)
上杉謙信が幼少期に学んだ禅寺。
謙信公の墓所があり、「第一義」の扁額は謙信公の精神を今に伝えます。
拝観料: 500円
【温泉】越後の秘湯
■ 燕温泉
妙高山の秘湯。無料の野天風呂「黄金の湯」「河原の湯」があり、野趣あふれる温泉体験ができます。
料金: 無料(野天風呂) 注意: 混浴、水着着用可、石鹸使用不可
■ 松之山温泉
日本三大薬湯の一つ(他は草津・有馬)。
石油臭を感じる効能の強い湯で、坂の上の小さな温泉街が渋くて大人向けです。
ツーリング的魅力: 棚田(星峠・儀明)のフォトスポットとセットで楽しめる
【グルメ】越後の食の恵み

■ へぎそば
新潟県魚沼地方の郷土料理。
つなぎに布海苔(ふのり)を使い、「へぎ」という器に一口サイズに盛り付けます。
ツルツルとした喉越しと海藻の風味が特徴。
名店:
- 小嶋屋総本店(十日町市): へぎそば発祥の店、1,300円
- 長岡小嶋屋(長岡市): 駅近で便利、1,200円
■ 魚沼産コシヒカリ
日本一の米どころ・魚沼で育つブランド米。雪解け水と昼夜の寒暖差が生む甘みと粘りは別格です。
おすすめ店:
- 道の駅 南魚沼 雪あかり: 釜飯定食1,200円、おにぎり300円
- うおぬま倉友農園 おにぎりや: 具なしの「塩むすび」で米の甘味をダイレクトに
Part 4:【テーマ別】大人のモデルコース
COURSE A:【日帰り】武田信玄と甲州グルメコース
総走行距離: 約200km 所要時間: 8時間
タイムスケジュール:
- 07:00 首都圏出発
- 09:00 甲府IC → 武田神社参拝
- 10:30 恵林寺参拝・庭園散策
- 12:00 甲府市街でほうとうランチ
- 14:00 ほったらかし温泉(絶景露天風呂)
- 16:00 勝沼ワイナリー見学(購入のみ)
- 17:00 帰路
COURSE B:【1泊2日】中山道・木曽路の宿場町巡り
【1日目】木曽路の宿場町(約150km)
- 09:00 塩尻IC出発
- 10:00〜12:00 奈良井宿散策・五平餅
- 13:00〜14:00 木曽福島でそばランチ
- 15:00〜17:00 妻籠宿散策
- 18:00 木曽福島温泉泊
【2日目】馬籠宿と松本城(約120km)
- 08:00〜10:00 馬籠宿散策・島崎藤村記念館
- 11:00〜13:00 松本城見学・城下町そばランチ
- 14:00 帰路
COURSE C:【2泊3日】甲信越歴史文化満喫コース
【1日目】信玄公の足跡(約150km)
- 甲府IC → 武田神社 → 恵林寺 → 甲府城跡
- 塩山温泉泊
【2日目】善光寺・戸隠文化圏(約100km)
- 長野IC → 善光寺参拝 → 戸隠神社(奥社・中社)
- 戸隠でそばランチ → 渋温泉泊(外湯巡り)
【3日目】謙信公ゆかりの地(約120km)
- 渋温泉 → 春日山城跡 → 林泉寺 → 上越高田IC
- へぎそばランチ → 帰路
Part 5:大人のツーリング実践ガイド
【装備・持ち物チェックリスト】
寺社参拝用:
- 御朱印帳
- 小銭(賽銭・拝観料用)
- 歩きやすい靴(長時間の散策用)
温泉用:
- タオル(宿泊先以外の日帰り温泉用)
- 着替え
- ビニール袋(濡れたタオル入れ)
グルメ用:
- クーラーバッグ(お土産の生鮮品用)
- 保冷剤
【大人のマナーとエチケット】
寺社参拝のマナー:
- 山門前で一礼
- 手水舎で手と口を清める
- 本堂では静かに参拝
- 写真撮影は許可された場所のみ
温泉のマナー:
- 脱衣所にバイクウェアを持ち込まない
- かけ湯をしてから入浴
- タオルは浴槽に入れない
- 洗い場は次の人のために綺麗に
アルコールのルール:
- 昼間は完全ノンアルコール徹底
- ワイナリー・酒蔵はあくまで見学&購入のみ
- お酒は「バイクを停めてから」のご褒美に
【予算の目安】
1泊2日の場合:
- 高速道路料金:往復5,000円〜8,000円
- ガソリン代:2,000円〜3,000円
- 宿泊費:10,000円〜20,000円
- 食事代:5,000円〜8,000円
- 観光・入場料:3,000円〜5,000円
- 合計:25,000円〜44,000円
【季節別のおすすめ】
春(4〜6月):
- 高田城の桜(4月中旬)
- 善光寺御開帳(7年に一度)
- 新緑の戸隠・上高地
夏(7〜8月):
- 涼しい高原でのそば巡り
- 白骨温泉で避暑
- 奥只見の深緑
秋(9〜11月):
- 奈良井宿・妻籠宿の紅葉(11月上旬)
- 小布施の栗菓子(9〜10月)
- 新そばの季節(10〜11月)
冬(12〜3月):
- 温泉三昧(雪見風呂)
- 渋温泉の外湯巡り
- 日本酒の新酒(12〜2月)
Part 6:大人のツーリング作法
【スケジュールは「腹八分目」】
詰め込みすぎないのが大人の流儀。1日の走行距離は200〜250km程度に抑え、1箇所に1時間は滞在する余裕を持ちましょう。「時間が余ったらカフェでコーヒー」くらいのゆとりが、旅の質を高めます。
【服装は「降りても様になる」スタイル】
ガチガチのレーシングスーツよりは、テキスタイルジャケットやレザーのシングルライダースなど、街歩きや寺社仏閣でも浮かないシックな装いがおすすめ。歩きやすいライディングブーツを選ぶのもポイントです。
【お土産は「自分への物語」】
道の駅で適当に買うのではなく、訪れた酒蔵の日本酒(配送)、宿場町で見つけた木工品、お寺の御朱印など、その場所のストーリーを持ち帰りましょう。帰宅後、その酒を飲みながら旅を反芻するまでがツーリングです。
最後に:経年変化を楽しむ旅
バイクも革ジャンも、使い込むほどに味が出るように、私たちライダーも年齢とともに楽しみ方が変わっていきます。
若い頃は見過ごしていた石碑の文字、湯の香りの違い、蕎麦の喉越し。
それらに気づけるようになった今だからこそ、甲信越の奥深い魅力が心に響くはずです。
大人のツーリングとは:
- 急がず、焦らず、じっくりと味わう
- 地元の人との会話を楽しむ
- 歴史や文化への敬意を持つ
- 温泉で心身ともにリフレッシュ
- 美味しいものを適量、上質に
甲信越地方は、武田信玄・上杉謙信が覇を競った戦国の舞台、中山道・甲州街道といった歴史街道、信州そば・ほうとう・へぎそばなどの郷土料理、そして日本屈指の温泉地帯...
まさに「大人のツーリング」に最適なフィールドです。
次の休日は、地図を広げて歴史のページをめくるような旅に出かけませんか?
このガイドが、あなたの甲信越大人ツーリングを最高のものにする一助となれば幸いです。
安全運転で、素晴らしい出会いと発見を心ゆくまで楽しんでください。
Ride with Wisdom! 大人の深みある旅を、その手に!
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