XSR900はカッコ悪い?後悔する理由を徹底解説

ヤマハの人気ネオクラシックモデルXSR900。しかし、インターネット上では「XSR900がカッコ悪いと言われるデザインの欠点」についての声が少なくありません。

購入を検討している方の中には、実車は違うのではないかという期待と、XSR900デザイン詐欺疑惑のような厳しい評価の間で揺れ動いている人もいるでしょう。

特に、個性的すぎるXSR900のかっこ悪いタンク形状や、違和感のあるヘッドライトデザインは、賛否が大きく分かれるポイントです。

そのため、XSR900は旧型の方がいいと言われる理由の比較を求める声も後を絶ちません。この記事では、乗ってる人の口コミ・感想レビューを紹介しながら、その真相に迫ります。

さらに、見た目以外も?XSR900がカッコ悪いと言われる理由として、XSR900やめとけと言われるエンジン熱問題や、実際にXSR900で後悔する燃費の悪すぎ問題も見過ごせません。

また、XSR900の維持費はカスタム依存で負担が大きいという側面や、XSR900の維持費が高い理由についても深く掘り下げていきます。

この記事の総括として、XSR900がカッコ悪いと言われる理由を多角的に分析し、購入後に後悔しないための判断材料を提供します。

  • XSR900のデザインが「カッコ悪い」と評価される具体的な理由
  • 見た目以外の性能や維持費に関する後悔ポイント
  • 旧型モデルと比較した際のデザイン上の違い
  • 購入前に知っておくべきXSR900の総合的な欠点
  1. XSR900がカッコ悪いと言われるデザインの欠点
    1. 実車は違う?XSR900デザイン詐欺疑惑
      1. 理由1:質感を左右するプラスチックパーツの多用
      2. 理由2:プロポーションのアンバランスさと密度感の欠如
      3. 購入前の実車確認は絶対に必須
    2. XSR900のかっこ悪いタンク形状とは
      1. 問題点1:素材がもたらす「偽物感」と質感の欠如
      2. 問題点2:コンセプトと乖離したアンバランスなボリューム感
      3. デザインの意図とユーザーの感性のズレ
    3. 違和感のあるXSR900のヘッドライトデザイン
      1. 問題点1:コンセプトの迷走が生んだ「クラシック」と「モダン」の不協和音
      2. あるべきネオレトロの姿とは?
      3. 問題点2:存在感の欠如と貧弱なマウント部分
    4. XSR900は旧型の方がいいと言われる理由の比較
      1. 最大の魅力:普遍的な美しさを宿す「オーセンティック」なデザイン
      2. 素材へのこだわりとカスタムの余地
    5. 乗ってる人の口コミ・感想レビューを紹介
      1. デザイン全般に関するネガティブな声
      2. 個別のパーツに対する具体的な不満
      3. 旧型モデルと比較しての後悔
  2. 見た目以外も?XSR900がカッコ悪いと言われる理由
    1. XSR900やめとけと言われるエンジン熱問題
      1. CP3エンジンが発する灼熱地獄
      2. 根本解決は困難、求められるライダー側の「対策」と「覚悟」
    2. XSR900で後悔する燃費の悪すぎ問題
      1. カタログスペックと実燃費の大きな乖離
      2. リアルな実燃費はどのくらい?
      3. 経済的な負担も軽視できない
    3. XSR900の維持費はカスタム依存で負担が大きい
      1. なぜオーナーはカスタム沼に陥るのか?
      2. カスタム費用は「必要経費」?
    4. なぜ安い?XSR900の維持費が高い理由
      1. 1. ライフサイクルの短い「消耗品」という名の時限爆弾
      2. 2. じわじわと家計を圧迫する「燃料費」と「カスタム費」
      3. 「入口」と「出口」で考えるトータルコストの重要性
    5. 総括:XSR900がカッコ悪いと言われる理由

XSR900がカッコ悪いと言われるデザインの欠点

XSR900かっこ悪い

ヤマハ公式

  • 実車は違う?XSR900デザイン詐欺疑惑
  • XSR900のかっこ悪いタンク形状とは
  • 違和感のあるXSR900のヘッドライトデザイン
  • XSR900は旧型の方がいいと言われる理由の比較
  • 乗ってる人の口コミ・感想レビューを紹介

実車は違う?XSR900デザイン詐欺疑惑

実車は違う?XSR900デザイン詐欺疑惑

XSR900のデザインを語る上で、避けては通れないのが「カタログやWEBサイトの写真と、実車の印象が大きく異なる」という問題です。

このギャップの大きさから、一部のユーザーからは「デザイン詐欺ではないか?」という非常に厳しい言葉が投げかけられることさえあります。

これは、巧みに撮影された写真ではシャープで高級感のあるスタイリッシュなマシンに見えるにも関わらず、実際に販売店で実物を目の当たりにすると、各パーツの質感や全体のプロポーションに、ある種の「安っぽさ」を感じてしまうという意見が根底にあります。

理由1:質感を左右するプラスチックパーツの多用

XSR900の実車を見て多くの人が最初に指摘するのが、プラスチックパーツの多用、特に燃料タンクに見える部分の素材です。

一見すると金属製の塊に見える燃料タンクですが、実際にはこれはABS樹脂などで作られた「タンクカバー」であり、その下に本物の燃料タンクが隠れている構造になっています。

この事実は、バイクのタンクは鉄(スチール)やアルミであるべき、という伝統的な価値観を持つライダーにとって、大きな失望ポイントとなります。

樹脂製カバーには、軽量化や複雑な形状の成形が容易であるという製造上のメリットがあります。しかし、その反面、金属が持つ独特の冷たさや重厚感、光沢といった「本物の質感」は望めません。

特に、タンクカバーの合わせ目である「パーティングライン」がはっきりと見えてしまう点は、デザインの連続性を損ない、どうしてもチープな印象を与えてしまいます。

理由2:プロポーションのアンバランスさと密度感の欠如

次に挙げられるのが、全体のプロポーションと密度感の問題です。

XSR900は、ヤマハ最新のCFアルミダイキャスト技術を駆使した軽量なデルタボックスフレームを採用しています。

これは走行性能の向上に大きく貢献する一方で、デザイン面ではエンジン周りの空間を「スカスカ」に見せてしまう一因となっています。

特に、コンパクトなCP3(クロスプレーン3気筒)エンジンとの組み合わせでは、フレームとエンジンの間に不自然な隙間が生まれ、バイクとしての塊感が希薄に感じられることがあります。

さらに、公式サイトなどの写真では、アングルや光の当て方によって巧みに隠されていますが、実車ではフレームに沿って這う配線やホース類の処理が意外と目につきます。

細部の仕上げにまでこだわるユーザーにとっては、この辺りの処理の甘さが全体の質感を下げていると感じられるのです。

購入前の実車確認は絶対に必須

これらの理由から、XSR900の購入を検討している場合、写真や動画だけで判断を下すのは非常に危険と言わざるを得ません。

必ず正規販売店に足を運び、できれば屋外の自然光の下で、さまざまな角度から実車をじっくりと確認することを強く推奨します。

ただ見るだけでなく、実際に跨ってみて自分の体格とのバランスを確認したり、各パーツを手で触れてその質感を確かめたりすることが、購入後の後悔を避けるための最も重要なステップとなります。

可能であれば、少し押して歩いてみるだけでも、車体の軽さや取り回し、そして全体の剛性感を肌で感じ取ることができるでしょう。

結論として、「デザイン詐欺」という言葉は少々過激かもしれませんが、プロモーション用の写真とオーナーが手にする実車との間に、無視できないほどの印象のギャップが存在するのは事実です。

これはヤマハが意図したものではなく、最新技術を駆使した設計思想とコスト、そして写真という二次元表現の限界が複合的に絡み合った結果と言えるでしょう。

先入観を一度リセットし、自分の目で実車と向き合うことが、このバイクの本質を理解する第一歩です。

XSR900のかっこ悪いタンク形状とは

XSR900のかっこ悪いタンク形状とは

XSR900のデザインにおいて、最も議論の的となり、多くのライダーが「カッコ悪い」と感じる元凶となっているのが、その独特な形状を持つ燃料タンクです。

「ネオレトロ」という、過去へのリスペクトと現代性の融合をテーマにしたジャンルでありながら、このタンクデザインは多くの伝統的なバイクファンを困惑させています。

その理由は、単に「個性的」という言葉で片付けられない、いくつかの明確な設計上の問題点にあります。

問題点1:素材がもたらす「偽物感」と質感の欠如

前述のセクションでも触れましたが、この問題を語る上で避けて通れないのが、タンクが金属ではなく樹脂製のカバーであるという点です。

バイクのタンクは、マシンの心臓部であるエンジンに燃料を供給する重要な機能パーツであると同時に、ライダーが最も視線を落とし、ニーグリップでマシンとの一体感を感じる、いわば「相棒」のような存在です。

その部分が、叩くと軽い音のするプラスチックで覆われているという事実は、バイクを単なる移動手段ではなく、趣味性の高い工芸品として捉える層にとっては致命的な欠点となり得ます。

私がこれまでに多くのバイクを見てきた経験から言っても、タンクの素材感はバイクの所有満足度に直結します。

例えば、磨き込まれたアルミタンクが放つ鈍い輝きや、塗装の奥に鉄の硬質さを感じるようなタンクは、それだけでバイクに生命感を与えます。

XSR900の樹脂カバーは、その感覚を根本から奪ってしまうのです。

さらに、実用面でも、タンクバッグの選択肢が限られるというデメリットがあります。

マグネット式のタンクバッグは当然使用できず、吸盤式やベルト式を選ぶ必要がありますが、これもまたタンクカバーの複雑な形状や塗装面への傷のリスクを考えると、気軽に使えるとは言えません。

問題点2:コンセプトと乖離したアンバランスなボリューム感

次に問題となるのが、そのボリュームがありすぎる形状です。

ヤマハによれば、このデザインは1980年代のレースシーンを席巻したファクトリーマシン「YZR500」などのデルタボックスフレーム時代のマシンがインスピレーションの源泉とされています。

しかし、当時のレーサーが持っていたのは、あくまで機能に直結した、そぎ落とされた機能美でした。

対して、XSR900のタンクは、そのモチーフを現代的にデフォルメした結果、どこか肥大化し、野暮ったくアンバランスな印象を与えてしまっています。

特に、シートへと続くラインが急激に絞り込まれているため、ライダーが跨った際にタンクの前方部分だけが不自然に大きく見えてしまいます。

これにより、車体全体の一体感が損なわれ、まるで「後から取って付けた」かのような違和感が生じるのです。

身長や体格によっては、タンクに「乗せられている」ような感覚になり、マシンとの一体感が得にくいという声も少なくありません。

この視覚的なアンバランスさが、全体のスタイリングを損なう最大の要因だと感じるユーザーは非常に多いです。

デザインの意図とユーザーの感性のズレ

ヤマハの開発陣には、「かつてのレーシングスピリットを現代に蘇らせる」という明確な意図があったのでしょう。

しかし、その表現方法が先鋭的すぎたため、多くのユーザーが求める「ネオレトロならではの普遍的な美しさ」とは相容れないものになってしまった、というのが実情ではないでしょうか。

シンプルで流麗な、いわゆる「ティアドロップ型」のタンクデザインに慣れ親しんだライダーにとっては、到底受け入れがたい造形と言えるでしょう。

これらの理由から、XSR900のタンク形状は、単なる好みの問題を超えた、デザイン上の大きな欠点として広く認識されています。

このタンクデザインを受け入れられるかどうかは、XSR900を愛せるかどうかの最初の、そして最大の関門となるのです。

違和感のあるXSR900のヘッドライトデザイン

違和感のあるXSR900のヘッドライトデザイン

バイクの「顔」とも言えるフロントフェイス。その中心に位置するヘッドライトは、マシンの第一印象を決定づける極めて重要なパーツです。

XSR900は、ネオレトロというジャンルの定石通り、丸型の一灯式ヘッドライトを採用しています。しかし、そのデザインの細部には多くのライダーが強烈な違和感を覚えており、「カッコ悪い」という評価を下す大きな要因の一つとなっています。

問題点1:コンセプトの迷走が生んだ「クラシック」と「モダン」の不協和音

XSR900のヘッドライトが抱える最大の問題点は、クラシックな丸型という器(うつわ)と、その中に収められたモダンすぎる灯火類との深刻なギャップにあります。

2022年以降の新型XSR900では、ハイビームとロービームを一体化したバイファンクション式のプロジェクターLEDが採用されました。

この技術自体は、夜間の視認性を飛躍的に向上させる優れたものです。しかし問題は、その見せ方にあります。

ヘッドライトを点灯させると、まるでSF映画に登場するロボットのモノアイのように、中央のプロジェクターレンズが鋭い光を放ちます。

この極めて現代的でメカニカルな表情は、バイク全体が目指しているはずの「ヘリテージ(遺産)」や「レトロ」といったコンセプトと、残念ながら全く調和していません。

まるで、年代物のアンティーク家具に、最新のスマートディスプレイを無理やり埋め込んだような、ちぐはぐな印象を与えてしまうのです。

あるべきネオレトロの姿とは?

本来、ネオレトロバイクにおけるヘッドライトの進化とは、外観のクラシカルな雰囲気を壊すことなく、内部のリフレクター(反射板)の設計やバルブの進化によって性能を向上させるのが理想形です。

例えば、カワサキのZ900RSは、伝統的なマルチリフレクター風のデザインを維持しつつLED化を実現し、多くのファンから支持を得ました。

XSR900のアプローチは、それとは真逆で、性能向上のためにデザインの調和を犠牲にしてしまった例と言えるでしょう。

問題点2:存在感の欠如と貧弱なマウント部分

デザインの不調和に加えて、ヘッドライトユニット自体の存在感の薄さも指摘されています。

新型XSR900のヘッドライトは、奥行きが非常に薄く、まるで一枚の円盤が貼り付けられているかのように見えます。

往年のバイクが持っていた、ガラスレンズの奥にリフレクターが鎮座する、あの奥行きのある重厚感が全く感じられません。

さらに、その薄いユニットを支えるステー(取り付け部分)の作りも、非常に簡素で華奢に見えます。

他のパーツ、特にボリュームのある燃料タンクや力強いフレームと比較した際に、フロント周りの貧弱さが際立ってしまい、全体のバランスを崩しているのです。

私が多くのバイクを見てきた中で感じるのは、ヘッドライト周りのデザインは、バイクの「格」を決めると言っても過言ではないということです。

XSR900の場合、この部分がどうしても「後付け感」や「コストダウン感」を漂わせてしまっているのが非常に残念です。結果として、マシン全体の高級感や所有感を大きく損なっているように感じます。

これらの要因が複合的に絡み合い、XSR900のヘッドライトは「取って付けたよう」「デザインの方向性を見失っている」といった、極めてネガティブな評価を受けがちです。

マシン全体の印象を左右する重要なパーツであるだけに、このデザインの失敗が、多くのライダーを落胆させているのが現状です。

このヘッドライトを許容できるか、あるいはカスタムで交換することを前提とするか、購入希望者には大きな決断が迫られます。

XSR900は旧型の方がいいと言われる理由の比較

XSR900は旧型の方がいいと言われる理由の比較

新型XSR900(2022年〜)のデザインに対して、これまでに述べてきたような否定的な意見が噴出する一方で、バイクコミュニティでは「旧型(初代・2016年〜2021年)の方が、断然かっこよかった」という声が驚くほど根強く存在します。

最新の電子制御や向上したエンジン性能を持つ新型が登場したにも関わらず、なぜ多くのライダーが過去のモデルに魅力を感じ続けるのでしょうか。

その理由を、具体的なデザイン要素を比較しながら深く掘り下げていきます。

最大の魅力:普遍的な美しさを宿す「オーセンティック」なデザイン

旧型XSR900が支持される最大の理由は、一言で言えばそのデザインのシンプルさと、バイクらしい普遍的なバランスの良さに尽きます。

旧型は、ヤマハが提唱する「オーセンティック・スポーツ」というコンセプトに基づき、特定の時代に固執することなく、バイクが本来持つべき機械的な美しさや素直なスタイリングを追求していました。

奇をてらわず、王道をゆくデザインだったからこそ、多くの人々の感性に響いたのです。

具体的に新型と旧型を比較すると、その違いは明白です。

比較項目 旧型 XSR900 (初代) 新型 XSR900 (2代目)
デザインコンセプト 普遍的なオーセンティックスポーツ 80年代レーサーレプリカの先鋭的な再解釈
燃料タンク 質感の高いアルミ製タンクカバーを採用。シンプルで流麗な形状。 コストダウンが否めない樹脂製カバー。肥大化しアンバランスな形状。
ヘッドライト 伝統的なハロゲン式丸目一灯。カスタムベースとしても優秀。 コンセプトと不調和なモダンすぎるLED。取って付けた感が強い。
シート タックロール風ステッチが入ったフラットなダブルシート。自由度が高い。 シングルシートカウル風の段付きシート。デザインの主張が激しい。
テールランプ クラシカルな円形LEDテールランプ。普遍的で好感が持てるデザイン。 横長のバー状LEDテールをシートカウルに隠す独特なデザイン。
全体のまとまり シンプルで飽きが来ず、カスタムによって乗り手の色に染めやすい 個性的で主張は強いが、各パーツの調和が取れておらず、ゴチャゴチャした印象

素材へのこだわりとカスタムの余地

旧型の美点は、単に見た目のバランスだけではありません。素材へのこだわりも、ユーザーの所有感を満たす重要な要素でした。

特にアルミ製のタンクカバーは、樹脂製にはない本物の質感を演出し、マシン全体の高級感を高めていました。

また、ヘッドライトやテールランプ、メーターといった各パーツが比較的オーソドックスなデザインであったため、カフェレーサーやスクランブラースタイルなど、オーナーの好みに応じてカスタムしていく「余地」や「楽しさ」が豊富にありました。

私が思うに、バイクのカスタムとは、メーカーが提示した完成形に少しだけ自分のエッセンスを加える行為です。旧型XSR900には、その「少しだけ」手を加える隙間がたくさんありました。

しかし、新型はデザインの主張が強すぎるため、どこかをカスタムすると全体のバランスが崩れやすく、結果的に大規模な変更を余儀なくされるか、あるいは諦めてノーマルで乗るか、という選択肢になりがちです。

この「懐の深さ」の違いも、旧型が愛される理由の一つでしょう。

もちろん、走行性能という側面で見れば、6軸IMUを搭載し、フレーム剛性や足回り、エンジンの出力特性まで全面的に進化した新型が旧型を圧倒しています。

しかし、「バイクは性能よりも見た目が9割」と考えるライダー層にとって、旧型が持つ普遍的で美しいデザインは何物にも代えがたい魅力なのです。

最新が最良とは限らない、というバイク趣味の奥深さを象徴する事例として、このXSR900の新旧比較は語り継がれていくことでしょう。

乗ってる人の口コミ・感想レビューを紹介

乗ってる人の口コミ・感想レビューを紹介

これまでXSR900のデザインに関する様々な問題点を指摘してきましたが、ここでは実際にXSR900に乗っている、あるいは過去に所有していたユーザーから寄せられる、より具体的な口コミや感想を掘り下げて紹介します。

これらの「生の声」は、メーカーの公式発表やメディアの試乗記事では決して語られることのない、リアルな評価です。

「XSR900 カッコ悪い」というキーワードでこの記事にたどり着いた方は、きっと共感できる部分が多いはずです。

デザイン全般に関するネガティブな声

まずは、バイクの全体的なデザインに対する厳しい意見です。期待値が高かった分、実物を見て落胆したという声が非常に多く見受けられます。

Aさん(30代・乗り換え検討中)
「WEBで写真を見て一目惚れし、期待に胸を膨らませて販売店に見に行きました。しかし、実車を見て唖然。特にタンクのプラスチック感が想像以上に酷く、おもちゃのように見えてしまいました。あれで100万円以上するバイクだとは信じられません。まさに『写真マジック』。購入意欲が一気に失せました。」

Bさん(40代・元オーナー)
「コンセプトが『ネオレトロ』ということですが、正直、どのあたりがレトロなのか全く理解できませんでした。80年代のレーサーがモチーフと言われても、当時を知らない世代には響きませんし、知っている世代からすれば『これじゃない感』がすごい。結果的に中途半端で、誰に向けて作ったのか分からないデザインだと感じ、1年で手放してしまいました。」

このように、プロモーションイメージと実車のギャップ、そしてコンセプトの分かりにくさが、ユーザーの評価を著しく下げている様子がうかがえます。

個別のパーツに対する具体的な不満

次に、特定のパーツデザインに対する不満の声です。多くのオーナーが、ノーマル状態での乗車に我慢ならず、納車後すぐにカスタムに踏み切るケースが後を絶ちません。

Cさん(20代・現行オーナー)
「ヘッドライトのデザインだけはどうしても好きになれません。機能的には明るくて良いのですが、見た目がエイリアンのようで…。SNSで他のオーナーさんを見ても、社外品のクラシカルなヘッドライトに交換している人が多いですね。私も交換を検討していますが、かなりの出費になるので悩んでいます。」

Dさん(50代・現行オーナー)
「ノーマルのバーエンドミラーは、デザインが奇抜なだけでなく、実用性も低いです。すり抜けの際に気を使うし、後方視界も決して見やすいとは言えません。あと、一番許せないのが長すぎるリアフェンダー。日本の法規に合わせるためだとは分かっていますが、あまりにも不格好。フェンダーレスキットは、もはやメーカーが最初から付けて売るべきレベルだと思います。」

これらの声から分かるのは、XSR900が「カスタム前提のバイク」と見なされている事実です。「完成されたノーマルスタイル」を求めるユーザーにとっては、購入後に次々と不満点が出てくる、手のかかるバイクと言えるかもしれません。

旧型モデルと比較しての後悔

最後に、旧型モデルを知るがゆえの、新型への辛口な評価です。

Eさん(40代・旧型から乗り換え)
「走行性能の進化に期待して旧型から新型に乗り換えました。確かに走りは素晴らしい。でも、バイクをガレージで眺めるたびに、デザインだけは旧型の方が良かったな…と後悔の念に駆られます。特に、友人の旧型と並べた時の、新型のゴテゴテした感じは見ていられません。シンプルイズベストという言葉を、これほど痛感したことはありません。」

もちろん、これらの意見はあくまで一部であり、新型XSR900の斬新なデザインを高く評価し、心から満足しているオーナーも数多く存在します。

しかし、伝統的なバイクの美意識や、ヤマハというブランドが長年培ってきたデザインの系譜に対して高い期待を持つユーザー層からは、厳しい評価を受けているという事実は間違いありません。

購入を検討する際は、こうしたネガティブなレビューにもしっかりと目を通し、自分が許容できる範囲のデメリットなのかを冷静に判断する必要があります。

見た目以外も?XSR900がカッコ悪いと言われる理由

XSR900やめとけと言われるエンジン熱問題

  • XSR900やめとけと言われるエンジン熱問題
  • XSR900で後悔する燃費の悪すぎ問題
  • XSR900の維持費はカスタム依存で負担が大きい
  • なぜ安い?XSR900の維持費が高い理由

XSR900やめとけと言われるエンジン熱問題

XSR900に対する評価を語る上で、その独特なデザインと並んで、必ずと言っていいほど俎上に載せられるのが、ライダーを苦しめる強烈な「エンジン熱」の問題です。

バイク関連の掲示板やSNSで「XSR900はやめとけ」という警告が発せられる際、その最大の根拠として挙げられるのが、この耐え難い熱量なのです。

どれだけデザインが気に入ったとしても、乗るたびに物理的な苦痛を伴うのであれば、バイクライフの充実は望めません。

この問題は、XSR900が持つ構造的な欠陥とも言える部分であり、購入希望者は必ず理解しておく必要があります。

CP3エンジンが発する灼熱地獄

XSR900に搭載されている888ccの水冷3気筒「CP3」エンジンは、ヤマハの最新技術が結集した傑作ユニットです。

最高出力120PSを発生するそのパフォーマンスは、ライダーを魅了してやみません。しかし、高性能の代償として、発生する熱量もまた凄まじいものがあります。

特に、日本の夏のように高温多湿な環境下で、ストップ&ゴーを繰り返す市街地走行や、避けられない渋滞に巻き込まれた際、その熱は牙を剥きます。

具体的にライダーが熱を感じる部分は、以下の通りです。

  • 内ももへの直接的な熱伝導:軽量なアルミ製デルタボックスフレームは、走行性能に貢献する一方で、熱伝導率が高いという特性も持っています。エンジンの熱がダイレクトにフレームを熱し、ニーグリップする内もも部分に直接伝わってきます。ユーザーレビューの中には、「ジーンズ越しでも低温やけどをするかと思った」「夏場は熱すぎてニーグリップを解かざるを得ない」といった悲鳴に近い声が多数報告されています。
  • 足元を襲う熱風:水温が一定以上に上昇すると、ラジエーターの冷却ファンが作動します。このファンが排出する熱風が、ちょうどライダーの足元、特に脛(すね)やくるぶし付近を直撃します。信号待ちで足を着いている間、この熱風に晒され続けるのは、まさに地獄のような苦しみです。

根本解決は困難、求められるライダー側の「対策」と「覚悟」

このエンジン熱は、エンジンの基本設計や車体レイアウトに起因する部分が大きいため、後付けのパーツなどで根本的に解決することはほぼ不可能です。

そのため、XSR900のオーナーは、この熱と付き合っていくための自衛策を講じることを余儀なくされます。

  • 装備による防御:通気性の良いメッシュパンツではなく、厚手のライディングジーンズや断熱性に優れた革パンツを着用する。また、ハイカットのライディングシューズを履くことで、くるぶしへの熱風をガードする。
  • 乗り方の工夫:可能な限り渋滞路を避け、停車時間を短くする。信号待ちではエンジンを停止する(ただしバッテリーへの負荷は増大)。
  • 物理的なガードの設置:社外品のエンジンガードやフレームカバーなどを装着し、足と熱源との物理的な距離を確保する。

これらの対策を講じたとしても、完全に熱をシャットアウトすることはできません。

特に、ツーリングよりも街乗りがメインで、夏場の快適性を何よりも重視するライダーにとって、このエンジン熱問題は購入を断念するに足る、極めて重大な欠点となり得ます。

私自身、様々な大排気量バイクをテストしてきましたが、XSR900の熱量はその中でもトップクラスです。

デザインの好みは人それぞれですが、この「熱さ」という物理的なデメリットは、万人にとってマイナス要素です。

見た目の問題だけでなく、このようなライディングの快適性を著しく損なう可能性がある点も、XSR900が一部で「カッコ悪い(=イケてない)」という評価を受ける、間接的な要因になっていると言えるでしょう。

XSR900で後悔する燃費の悪すぎ問題

XSR900で後悔する燃費の悪すぎ問題

XSR900のオーナーが直面する、もう一つの極めて現実的かつ深刻な問題。それが、多くのオーナーの想定をはるかに下回る、その燃費性能の悪さです。

CP3エンジンの胸のすくようなパワフルな走りは、間違いなくXSR900の大きな魅力ですが、その代償として燃料計の針は驚くべき速さで左へと傾いていきます。

この「燃費の悪さ」は、バイクを所有する上で避けられないランニングコストに直結するため、購入後に「こんなはずではなかった」と後悔するユーザーが後を絶ちません。

カタログスペックと実燃費の大きな乖離

まず、公式な数値から確認してみましょう。

ヤマハ発動機の公式サイトに掲載されているXSR900の燃費データは、「WMTCモード値」で20.4km/Lとなっています(参照:ヤマハ発動機株式会社公式サイト)。

WMTCモードは、発進、加速、停止など、実際の走行シーンを想定した国際的な測定方法であり、比較的実燃費に近い数値が出るとされています。

しかし、実際のオーナーから寄せられる燃費報告は、この数値を大きく下回るケースが大半を占めているのが実情です。

リアルな実燃費はどのくらい?

全国のXSR900オーナーの燃費記録を集計しているウェブサイトや、個人のブログ、SNSなど、多数の情報を総合すると、リアルな実燃費は概ね以下のレンジに収まります。

  • 最も燃費が悪化するシチュエーション(市街地・通勤など)15~18km/L程度。ひどい場合は13km/L台まで落ち込むこともあります。
  • 平均的なツーリングでの燃費18~22km/L程度。高速道路を一定速で巡航するシーンが多いと伸びる傾向にあります。
  • スポーツ走行・ワインディング走行時:エンジンを高回転まで回すため、燃費は著しく悪化。15km/Lを下回ることも珍しくありません。

特に問題視されるのが、ストップ&ゴーを頻繁に繰り返す街乗りでの燃費の悪化です。

排気量888ccということを考慮しても、「リッターバイクとして悪すぎる」と感じるオーナーが多いのは無理もないでしょう。

さらに、追い打ちをかけるのが、燃料タンク容量の問題です。XSR900のタンク容量は14Lと、このクラスのバイクとしては決して大きいとは言えません。

この燃費性能とタンク容量から計算される航続距離は、安全マージンを見ると満タンで250km程度がやっと。

ツーリングに出かければ、200kmを走る前には次のガソリンスタンドを探し始める…といった状況に陥りがちです。

私自身の経験からも、ツーリングの楽しさは「自由さ」にあると考えています。しかし、常に燃料のことを気にしながら走るのは、その自由さを大きく削ぐ行為です。

「この先の山道にはガソリンスタンドがないかもしれない」「仲間はまだ大丈夫そうだけど、自分だけ給油したいとは言い出しづらい…」そんな精神的なストレスは、バイクライフの満足度を確実に低下させます。

燃費の悪さは、単なる金銭的な問題だけでなく、ライダーの心理的な負担にもなるのです。

経済的な負担も軽視できない

例えば、年間5,000km走行し、ガソリン価格が170円/L、平均燃費を17km/Lと仮定した場合、年間のガソリン代は約5万円になります。

これが平均燃費22km/Lのバイクであれば約3万8千円となり、年間で1万円以上の差が生まれます。数年乗り続けることを考えれば、この差は決して無視できません。

「お財布に優しくないから、気軽に乗るのをためらってしまう」という声も、決して大げさではないのです。

デザインの好みやエンジンの熱さはある程度「慣れ」や「対策」でカバーできるかもしれません。

しかし、この燃費の悪さという、乗るたびに突きつけられる現実的な問題は、XSR900というバイクと長く付き合っていく上で、最も深刻な後悔ポイントの一つとなり得ることを、強く認識しておく必要があります。

XSR900の維持費はカスタム依存で負担が大きい

XSR900の維持費はカスタム依存で負担が大きい

XSR900を所有する上で見過ごせないのが、その「カスタム」という名の、半ば強制的な追加投資です。

多くの市販車は、ノーマルの状態でも高い完成度を誇り、オーナーはそのまま満足して乗り続けることができます。

しかし、XSR900の場合、購入後に「ノーマルのままでは満足できない」「どうしてもこの部分だけは許容できない」と感じさせる要素が散見されるため、結果的にカスタム費用が大きく膨らんでしまう傾向にあります。

この「カスタム依存」とも言うべき特異な性質が、カタログスペックには現れない、XSR900の実質的な維持費を押し上げる大きな要因となっています。

なぜオーナーはカスタム沼に陥るのか?

その理由は、これまでのセクションで繰り返し指摘してきた、デザイン上の様々な問題点に集約されます。

多くのライダーが、ノーマル状態のXSR900に対して抱く具体的な不満点は、驚くほど共通しています。

  • 長すぎて不格好なリアフェンダー:日本の法規を満たすための「泥除け」ですが、そのデザインはマシンのスタイリッシュさを著しく損なっています。多くのオーナーが、まず最初に手を入れるのがこの部分であり、「フェンダーレス化」はXSR900の購入儀式とさえ言われています。
  • 好みが極端に分かれるバーエンドミラー:80年代レーサー風のスタイルを演出するパーツですが、そのデザインの奇抜さと、日常的な使い勝手(特にすり抜け時)の悪さから、一般的なミラーに交換するオーナーが後を絶ちません。
  • 物足りない純正マフラー:近年の厳しい騒音規制に対応するため、純正マフラーは非常に静かです。また、デザイン的にも野暮ったいと感じる人が多く、CP3エンジン本来の迫力あるサウンドと、より洗練されたスタイルを求めて社外マフラーに交換するケースが非常に多いです。
  • 硬くて疲れやすいシート:デザイン優先のシートは、クッション性が乏しく、長距離ツーリングではお尻の痛みを訴える声が多数あります。より快適なツーリングを楽しむために、クッション性の高いカスタムシートへの交換を検討するオーナーも少なくありません。

これらの不満点を一つ一つ解消していこうとすると、当然ながらそれ相応の費用が発生します。

以下は、XSR900のオーナーが施すことが多い「定番カスタム」とその費用の目安です。

定番のカスタム項目 費用の目安(パーツ代のみ) オーナーが感じる動機・理由
フェンダーレスキット 20,000円 ~ 40,000円 リアビューをスッキリさせ、タイヤの存在感を際立たせたい。(必須レベル)
社外マフラー(スリップオン) 80,000円 ~ 150,000円 迫力ある3気筒サウンドと軽量化、見た目の向上。
社外ミラー(ハンドルマウント) 10,000円 ~ 30,000円 デザインの改善と、後方視認性・すり抜け性能の向上。
カスタムシート 30,000円 ~ 60,000円 長距離走行時の快適性向上と、足つき性の改善。

カスタム費用は「必要経費」?

上記の表に挙げたカスタムだけでも、合計すると安くても14万円、高ければ30万円近い追加費用が発生します。

これらはあくまで一例であり、もしサスペンションのアップグレード(約15〜30万円)や、フルエキゾーストマフラーへの交換(約20〜30万円)などに手を出せば、カスタム費用はあっという間に50万円を超えてしまいます。
重要なのは、これらのカスタムが、一部のマニアックなユーザーだけが行うものではなく、多くの一般オーナーが「ノーマルへの不満を解消するための必要経費」と感じている点です。

つまり、XSR900の真の車両価格は「車両本体価格+初期カスタム費用」で考える必要があるのです。

バイク選びにおいて、「購入後に自分色に染めていく」というカスタムの楽しみは、確かに大きな魅力です。

しかし、XSR900の場合は「楽しむ」というよりは「不満点を潰していく」という、どこかネガティブな動機からスタートするケースが多いように感じます。

この点が、XSR900の維持費が実質的に高くなる、と言われる所以なのでしょう。

車両本体の価格だけを見て「コスパが良い」と判断するのではなく、自分がノーマルのどの部分に不満を感じ、それを解消するためにどれくらいの費用がかかりそうかを事前にリサーチしておくことが、XSR900を購入後に後悔しないための重要なポイントとなります。

なぜ安い?XSR900の維持費が高い理由

なぜ安い?XSR900の維持費が高い理由

XSR900の車両本体価格は、2025年モデルで125万4,000円(税込)からと設定されています。

最新の電子制御満載の900ccクラスのバイクとして、この価格は一見すると非常にリーズナブルで、「コストパフォーマンスが高い」と感じるかもしれません。

しかし、多くの経験豊富なライダーや長期オーナーは口を揃えて言います。「購入時は安く見えても、トータルでかかる費用(維持費)は決して安くはない」と。

この逆説的な状況は、一体なぜ生まれるのでしょうか。その理由は、これまで述べてきた複数のネガティブな要因が、まるでパズルのピースのように組み合わさることで明らかになります。

1. ライフサイクルの短い「消耗品」という名の時限爆弾

XSR900の維持費を押し上げる最大の要因の一つが、主要な消耗品の交換サイクルが非常に短いという点です。

これは、ハイパワーなCP3エンジンの特性と、それを活かすための足回りのセッティングに起因します。

  • タイヤ、特にリアタイヤの摩耗:最大トルク93N・mを7,000rpmという比較的低い回転数で発生させるエンジンは、アクセルを開けるたびにリアタイヤに強大な負荷をかけます。そのため、多くのオーナーが「リアタイヤが溶けるように減っていく」と表現するほど、摩耗が激しい傾向にあります。純正採用されているようなハイグリップタイヤは、その性能と引き換えに寿命が短く、乗り方によっては5,000km~8,000kmで交換時期を迎えます。タイヤ交換費用は、前後で工賃込み5万円~8万円ほどかかるため、これが定期的に発生するのは大きな負担です。
  • ブレーキパッドとチェーン・スプロケット:強力なエンジンパワーを受け止めるためには、相応の制動力と駆動系の強度が求められます。スポーティな走り方をすればするほど、ブレーキパッドの消耗は早まります。また、チェーンやスプロケットも常に大きな負荷に晒されるため、定期的なメンテナンスを怠ると交換サイクルが早まり、数万円単位の出費につながります。

2. じわじわと家計を圧迫する「燃料費」と「カスタム費」

次に、これまで詳しく解説してきた2つの要因が重くのしかかります。

  • 燃費の悪さ:日常的に乗れば乗るほど、燃費の悪さはガソリン代という形で明確に家計を圧迫します。これは毎月、あるいは毎週発生するランニングコストであり、ボディブローのようにじわじわと効いてきます。
  • 半ば必須となるカスタム費用:ノーマルデザインへの不満を解消するために、多くのオーナーが購入初期に10万円~30万円以上のカスタム費用を投じます。これは「維持費」というより「初期投資」に近いですが、総所有コストを考える上では無視できない金額です。

「入口」と「出口」で考えるトータルコストの重要性

これらの要因を総合すると、XSR900のコスト構造は以下のようにまとめることができます。

車両価格という「入口」は、性能対比で比較的広く、購入のハードルは低いように見える。

しかし、その後の維持(消耗品交換、燃料費)と、自分好みのスタイルにするためのカスタムという「出口」で、想定以上のコストがかさむ構造になっている。

「なぜ車両価格が安いのか?」という問いに対する一つの答えは、「目に見えない部分で、ユーザー側の負担をある程度前提とした価格設定になっているから」と考えることもできるかもしれません。もちろん、これはメーカーの意図ではないかもしれませんが、結果としてユーザーはそのような状況に直面するのです。

バイク選びは、つい車両本体の価格に目が行きがちです。

しかし、本当に重要なのは、そのバイクと何年付き合い、トータルでどれくらいの費用がかかるのかを冷静に見積もることです。

XSR900の購入を検討する際は、車両価格の安さに惑わされることなく、タイヤ交換の頻度、日々のガソリン代、そして自分がどこまでカスタムにお金をかける覚悟があるのか、といったトータルコストを総合的にシミュレーションすることが、後悔しないための絶対条件と言えるでしょう。

総括:XSR900がカッコ悪いと言われる理由

この記事では、ヤマハXSR900が一部のライダーから「カッコ悪い」と評価されてしまう理由を、デザインという外面的な要因から、性能や維持費といった内面的な要因まで、多角的に深く掘り下げて解説してきました。

ヤマハの意欲作であることは間違いないものの、その先鋭的なアプローチが、結果として多くのユーザーの共感を得られずにいるのが現状です。

最後に、本記事で解説してきた重要なポイントを改めて整理します。

  • XSR900のデザインは公式サイトの写真と実車の印象が大きく異なり「デザイン詐欺」とまで評されることがある
  • 燃料タンクは質感に劣る樹脂製カバーであり、その形状もアンバランスで不評を買っている
  • 丸型ヘッドライトは採用しているものの、内部のLEDデザインがモダンすぎてネオレトロのコンセプトと不調和を起こしている
  • 多くのライダーは、よりシンプルで素材感も良かった旧型モデルのデザインを高く評価している
  • ネット上の口コミでは、リアフェンダーやバーエンドミラーなど、ノーマル状態の細部デザインに対する不満の声が多数を占める
  • 見た目の問題以外では、夏場の市街地走行が苦痛になるほどの強烈なエンジン熱が大きな欠点として指摘されている
  • 特に街乗りでの燃費が悪く、タンク容量の小ささと相まって航続距離が短く、ツーリングでのストレス要因となりがちである
  • ノーマル状態のデザインに対する不満から、多くのオーナーがカスタムに走らざるを得ない状況がある
  • 結果として「フェンダーレス化」や「マフラー交換」などが半ば必須の追加投資となり、総費用を押し上げている
  • この「カスタム依存」の性質が、XSR900の維持費を実質的に高くしている大きな理由である
  • 車両価格は比較的リーズナブルに見えるが、消耗品の交換サイクルが短く、ランニングコストがかさむ
  • 特にリアタイヤの消耗は激しく、定期的な高額出費を覚悟する必要がある
  • 結論として、XSR900は「入口(車両価格)は安いが、出口(維持費・カスタム費)でコストがかかる」バイクの典型例と言える
  • 総じて、XSR900のデザインは好き嫌いが極端に分かれ、性能面でもエンジン熱や燃費など、乗り手を選ぶピーキーな特性を持つ
  • 購入後に後悔しないためには、デザインの好みを抜きにしても、これらのデメリットを許容できるかを自問し、実車の確認とトータルコストの試算が不可欠である

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