ホンダCB250Rの購入を検討する際、「CB250R 不人気」というキーワードが検索候補に現れ、一抹の不安を感じている方も少なくないのではないでしょうか。
スタイリッシュなデザインに惹かれながらも、CB250Rは本当に不人気なのか、実際どうなのか、乗ってる人の口コミや感想レビューを基にした本音レビューが気になりますよね。
なぜ買わないという選択をする人がいるのか、その背景には、購入後に初めて気づく後悔ポイントや、cb250rの不満点があるのかもしれません。
例えば、CB250Rと300Rの比較でどっちがいいのかという根本的な悩みから、中古の安い車両を探した結果の失敗談まで、インターネット上には様々な情報が溢れています。
この記事では、不人気とされる評判の悪い点、特に多くのライダーが気にする足つきが悪く改善が必要な問題や、高速ツーリングで疲れるといった具体的な課題、さらには立ちごけした際の傷の修復方法や、維持費が意外と高いと感じる可能性について、深く、そして多角的に掘り下げていきます。
また、カスタムの失敗談から学ぶ後悔しないための知識、取り回しの実体験、限られた積載性の工夫、実際のツーリングでの評価、他車との客観的な比較、そして中古相場の動向まで、あらゆる角度からCB250Rを徹底解剖します。
乗り換えで後悔しないために、不人気という声の裏に隠された、知る人ぞ知る魅力や満足点も明らかにしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- CB250Rが不人気とされる具体的な理由とその背景
- 購入後に後悔しやすいポイントと、それを回避するための具体的な対策
- 年式ごとの違いや消耗品の状態など、中古車選びで失敗しないための注意点
- 主要なライバル車種とのスペックや乗り味の客観的な比較
なぜCB250Rは不人気なのか?評判と欠点
- CB250Rの不人気を招く評判の悪い点
- なぜ買わないのか?購入後の後悔ポイント
- 足つきが悪く高速ツーリングで疲れる?
- 立ちごけの傷の修復と維持費の問題
CB250Rの不人気を招く評判の悪い点
CB250Rが一部で「不人気」と囁かれる背景には、主に「エンジン性能に対する評価」と「市場における独特な立ち位置」という、二つの大きな要因が複雑に絡み合っています。
これらは決してCB250Rが劣ったバイクであることを意味するのではなく、むしろその個性的なキャラクターが、評価の分かれる原因となっているのです。ここでは、その評判の核心に迫ります。
パワーユニットの特性とライバルとの比較
CB250Rの心臓部である水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンは、最高出力27PS/9,500rpm、最大トルク23Nm/7,750rpm(2022年モデル以降)を発揮します。
このスペックは、低中速域での豊かなトルクとレスポンスの良さを生み出し、信号の多い市街地でのストップ&ゴーや、俊敏な発進加速において、ライダーに大きなアドバンテージを与えてくれます。
しかし、評価が分かれるのは、この単気筒エンジンという特性そのものにあります。
多くのライダー、特にスポーツ走行を好む層が比較対象とするのは、ヤマハのMT-25やカワサキのZ250といった並列2気筒エンジンを搭載したモデルです。
これらのバイクは、より高回転までスムーズに吹け上がり、伸びやかな加速感とパワフルな最高出力が魅力です。
高速道路での追い越しや、ワインディングで高回転を維持しながら走るような場面では、2気筒モデルに軍配が上がると感じるユーザーは少なくありません。
多くのライダーからヒアリングする中でよく耳にするのが、「高速の合流で、もうひと伸び欲しい」「友人の2気筒と走りに行くと、直線で離されてしまう」といった声です。
これが「パワー不足」という評価につながり、不人気という評判の一翼を担っていることは否定できません。
車種名 | エンジン形式 | 最高出力 | 最大トルク | 車両重量 |
---|---|---|---|---|
Honda CB250R | 水冷単気筒 | 27 PS | 23 Nm | 144 kg |
Yamaha MT-25 | 水冷並列2気筒 | 35 PS | 23 Nm | 167 kg |
Kawasaki Z250 | 水冷並列2気筒 | 35 PS | 22 Nm | 164 kg |
Suzuki GIXXER 250 | 油冷単気筒 | 26 PS | 22 Nm | 154 kg |
※各数値は現行または最終モデルの公表値を参考にしています。
このように数値で比較すると、馬力では2気筒勢に及ばないものの、車両重量では圧倒的に軽いことがわかります。
この軽さがCB250Rの真骨頂であり、パワーの差を補って余りある魅力を生み出しているのですが、スペックシート上の数字だけを比べると、どうしても見劣りして見えてしまうのです。
市場でのポジショニングと「ネオスポーツカフェ」の宿命
もう一つの要因は、ホンダの250ccラインナップ内におけるCB250Rの立ち位置です。
現在の250cc市場は、圧倒的な販売台数を誇るクルーザー「レブル250」と、クラス最強の運動性能を誇るスーパースポーツ「CBR250RR」という、二つの強力な個性を持つモデルが存在します。
この中で、CB250Rは「ネオスポーツカフェ」というコンセプトを掲げています。これは、ホンダのCB-Rシリーズ(CB1000Rなど)に共通する、モダンとクラシックを融合させた先鋭的なデザインフィロソフィーです。
しかし、このコンセプトが非常に洗練されているがゆえに、「アメリカンに乗りたい」「とにかく速いバイクがいい」といった分かりやすいニーズを持つ層には響きにくいという側面があります。
結果として、販売台数という指標で見ると、レブル250には遠く及ばず、これが「不人気」という印象を決定づけてしまっています。
しかし、これはCB250Rの魅力がないということではなく、むしろその魅力が少し専門的で、乗り手を選ぶキャラクターであることを示しているのです。
「分かる人には分かる」質の高さを持っているがゆえに、マス(大衆)受けしにくい。これがCB250Rの宿命であり、評判が分かれる最大の理由と言えるでしょう。
なぜ買わないのか?購入後の後悔ポイント
CB250Rは多くの魅力を持つバイクですが、購入後に「思っていたのと違った」と感じ、後悔につながる可能性のあるポイントもいくつか存在します。
これらのポイントは、主に「長距離走行時の快適性」と「日常の利便性」に関連しています。
購入を検討する際には、これらの点を自身のバイクライフと照らし合わせて、許容できる範囲かどうかを冷静に判断することが非常に重要です。
長距離走行で顕在化する快適性の課題
購入後の後悔ポイントとして、最も多くのユーザーから声が挙がるのが「シートの硬さ」です。
CB250Rのシートは、スポーティなライディングポジションを想定し、マスの集中化に貢献するコンパクトな設計となっています。
デザイン的には非常にシャープで格好良いのですが、その反面、クッションの厚みは最小限に抑えられています。
このため、街乗りや1〜2時間程度のショートツーリングでは気にならなくても、3時間を超えるような長距離・長時間のライディングでは、お尻や尾てい骨周辺に痛みを感じ始めるユーザーが少なくありません。
ゲルザブのようなクッションシートを追加したり、シート自体を社外品のコンフォートシートに交換したりする対策はありますが、それには追加の費用が発生します。
注意点:燃料タンク容量がもたらすツーリングでの制約
もう一つの大きな課題が、燃料タンク容量です。CB250Rのタンク容量は10Lと、250ccクラスのネイキッドモデルとしてはかなり小さい部類に入ります。
燃費性能はWMTCモード値で41.0km/Lと非常に優れているため、単純計算では400km以上の航続が可能ですが、これはあくまで理想値です。
実際のツーリングでは、市街地走行やワインディングでの加減速などが含まれるため、実燃費は30km/L前後に落ち着くことが多いです。そうなると、航続距離は約300km。
余裕を持って給油することを考えると、250kmごとには給油タイミングを意識する必要が出てきます。
ライバルであるヤマハMT-25やカワサキZ250のタンク容量が14Lであることを考えると、この4Lの差はツーリングの計画において大きな制約となります。
「景色の良い道を走っていたら、次のガソリンスタンドまで持つか不安になった」「休憩したいタイミングと給油したいタイミングが合わない」といったストレスは、長距離を走るライダーにとって決して無視できない後悔ポイントです。
日常使いで気になる細かな不満点
長距離だけでなく、日常的な使用シーンにおいても、いくつか後悔につながりかねないポイントがあります。その一つが「積載性の低さ」です。
CB250Rのリアシート周りは、デザインを優先した非常にコンパクトな造りになっています。標準状態では荷物を積むためのフックなどもなく、シートバッグを取り付けるにも工夫が必要です。
タンデムシート下にはETC車載器を入れるのがやっとのスペースしかなく、車載工具以外の小物を収納することはほぼ不可能です。
「ツーリング先で買ったお土産を積む場所に困った」「通勤で使うカバンを安定して固定できない」といった声は、実際に所有してみて初めて気づく不満点と言えるでしょう。
リアキャリアを装着すれば解決できますが、デザインの好みが分かれる上、ここでも追加費用がかかってきます。
さらに、意外な後悔ポイントとして「ヘルメットホルダーが標準装備ではない」ことも挙げられます。
厳密には、タンデムシートを外すとワイヤーを使ってヘルメットのDカンを引っ掛ける金具がありますが、これは非常に使い勝手が悪く、実用的とは言えません。
多くのユーザーが、ハンドルやタンデムステップに取り付けるタイプの社外品ホルダーを追加しており、これもまた細かな出費と手間につながります。
これらの後悔ポイントは、CB250Rが「走る」という行為に特化し、それ以外の利便性をある程度割り切って設計されていることを示しています。
この割り切りを理解し、自身の使い方とマッチするかどうかを見極めることが、後悔しないバイク選びの第一歩となるのです。
足つきが悪く高速ツーリングで疲れる?
CB250Rの購入を検討している方、特にバイク初心者や小柄なライダーが最も懸念するのが、「足つき性」と「高速走行時の快適性」ではないでしょうか。
この二つの要素は、バイクを安全かつ快適に楽しむ上で非常に重要であり、CB250Rのキャラクターを理解する上での鍵となります。
ここでは、実際のユーザーの声や車両のスペックを基に、これらの懸念点を深く掘り下げていきます。
シート高とステップ位置が織りなす足つき性の現実
CB250Rのシート高は、2019年モデル以降で795mmに設定されています。この数値自体は、250ccクラスのネイキッドバイクとして特別に高いわけではありません。
しかし、ユーザーから「足つきが悪い」という声が挙がるのには、明確な理由があります。
その最大の要因は、足を真下に下ろそうとした際に、ステップがちょうどふくらはぎの内側に干渉する点にあります。これにより、ライダーは少し足を前後にずらして着地する必要があり、数値以上に足つきが悪く感じられてしまうのです。
これは、スポーツ走行時のニーグリップのしやすさや適切なライディングポジションを追求した結果の設計ですが、信号待ちなどの停車時にはデメリットとして作用します。
身長別 足つきの目安
- 身長170cm以上: 両足のかかとまでべったりと接地し、全く不安を感じることはないでしょう。
- 身長165cm前後: 両足の母指球がしっかりと接地する程度。車体が軽いため、不安感は少ないですが、かかとまでは浮いてしまいます。
- 身長160cm未満: 両足だとつま先立ちになる可能性が高いです。片足で支える乗り方が基本になりますが、144kgという車重の軽さが大きな助けとなります。
公式サイトでは身長155cmの女性ライダーの乗車イメージも紹介されていますが、これはあくまで「乗れる」という一例であり、誰もが快適に扱えるわけではないことを理解しておく必要があります。
対策としてローダウンリンクキットを組み込む方法もありますが、これには数万円の費用がかかる上、サスペンションの性能や乗り味が変化する可能性があるため、慎重な検討が必要です。
実際に多くのディーラーで跨ってみた経験から言えるのは、スペックシートの数字だけで判断せず、必ず実車に触れてみることの重要性です。
同じ身長でも股下の長さは人それぞれですし、ブーツのソールの厚さでも感覚は大きく変わります。
ネイキッドの宿命と向き合う高速ツーリング
次に、高速ツーリングでの疲労についてです。結論から言えば、「CB250Rで高速ツーリングは疲れます」。
しかし、これはCB250Rの欠陥ではなく、カウルのないネイキッドバイク全般に共通する宿命です。
時速80kmを超えたあたりから走行風の圧力は顕著になり、時速100kmでの巡航では、ライダーは上半身で常に風圧を受け止め続けることになります。これにより、首や肩、腕に余計な力が入り、体力を消耗します。
特に、向かい風の強い日には、バイクにしがみつくような姿勢を強いられることもあります。
エンジン性能的には、6速100km/h巡航時の回転数は6,500rpmあたりで、特に無理をしている感覚はありません。
単気筒特有の振動も、最近のバランサー技術の向上により、不快なレベルではないでしょう。問題は純粋に風との戦いなのです。
補足:疲労軽減のための工夫
この疲労を軽減するため、多くのオーナーが社外品のウィンドスクリーンを装着しています。
これにより、胸元にあたる風圧をかなり軽減でき、快適性は格段に向上します。また、アクセル操作を補助するスロットルアシストや、振動を軽減するパフォーマンスダンパーの装着も、長距離走行での疲労軽減に有効なカスタムとして知られています。
しかし、これらの対策を施したとしても、フルカウルのCBR250RRやアドベンチャータイプのVストローム250のような快適性は得られません。
CB250Rで高速ツーリングを楽しむためには、「風を感じるのがネイキッドの醍醐味」と割り切るか、あるいはカスタムによって快適性を追求する工夫が必要になります。
この点を理解せずに購入すると、「こんなに疲れるとは思わなかった」という後悔につながる可能性があるのです。
立ちごけの傷の修復と維持費の問題
バイクを所有する上で、どんなに気をつけていても完全に避けることが難しいのが「立ちごけ」のリスクと、継続的に発生する「維持費」です。
CB250Rはこの両面において、その特徴的な設計がメリットにもデメリットにもなり得ます。購入前にこれらの点を正しく理解しておくことは、後々の予期せぬ出費やトラブルを避けるために不可欠です。
軽量ボディの恩恵と、転倒時の思わぬ落とし穴
まず、立ちごけのリスクについてです。CB250Rの最大の武器の一つは、車両重量144kgという250ccクラス最軽量級の車体です。
これは、同クラスのライバルであるMT-25(167kg)やZ250(164kg)と比較して20kg以上も軽く、原付二種のバイクに近い感覚で扱えます。この圧倒的な軽さは、取り回し時の安心感に直結します。
例えば、駐車場での切り返しや、少し傾斜のある場所での停車時など、バランスを崩しかけた際に足で踏ん張りが効きやすく、立ちごけを未然に防げる可能性が格段に高まります。
これは、特にバイクの扱いに慣れていない初心者や、体格に自信のないライダーにとって、非常に大きなメリットと言えるでしょう。
しかし、万が一立ちごけをしてしまった場合、CB250Rのスタイリッシュなデザインが、思わぬ修復費用の原因となることがあります。最も注意すべきは、ガソリンタンクの構造です。
注意:樹脂製タンクカバーの修理費用
CB250Rの燃料タンクは、スチール製の本体が樹脂製のシュラウド(カバー)で覆われている二重構造になっています。
これにより、立体的でエッジの効いたデザインを実現していますが、転倒して傷がついた場合、このカバーにダメージが及ぶことがほとんどです。
一般的なスチールタンクであれば、小さな傷や凹みはパテ埋めや部分塗装で比較的安価に補修できる場合があります。
しかし、樹脂製のカバーの場合、部分補修は難しく、傷の程度によってはカバーを丸ごと交換する必要が出てきます。このタンクカバーの部品代と交換工賃を合わせると、数万円の出費になることも珍しくありません。
この点は、立ちごけの修理費用を安く抑えたいと考えている方にとっては、大きなデメリットとなり得ます。
対策として、転倒時のダメージを軽減するエンジンスライダーやクランクケースカバーの装着が非常に有効です。
これらは数千円から2万円程度で購入でき、万が一の際の修理費用を考えれば、決して高い投資ではないと言えるでしょう。
燃費だけでは見えない、トータルでの維持費
次に維持費の問題です。CB250Rは優れた燃費性能を誇り、日々のガソリン代は安く抑えられます。税金や基本的なメンテナンス費用(オイル交換など)も、他の250ccバイクと大差ありません。
しかし、「車両を快適かつ安全に維持していく」という視点で見ると、いくつか追加費用が発生しやすいポイントが存在します。
項目 | 内容と注意点 | 費用の目安 |
---|---|---|
ヘルメットホルダー | 前述の通り、実用的なホルダーは標準装備されていません。盗難防止のために、多くのユーザーが社外品を追加購入しています。 | 2,000円~5,000円程度 |
タイヤ交換費用 | 標準で高性能なラジアルタイヤ(ダンロップ製GPR-300など)を装着しています。グリップ性能や乗り心地に優れる反面、一般的なバイアスタイヤに比べて価格が高く、交換時の費用は前後で4万円~6万円程度かかる場合があります。 | 40,000円~60,000円程度 |
カスタムパーツ費用 | レブル250などの人気車種と比較すると、パーツの選択肢が限られる傾向にあります。そのため、自分の理想のカスタムを実現しようとすると、結果的に高価なパーツを選ばざるを得ない状況になることがあります。 | パーツによる |
バッテリーへのアクセス | バッテリーがタンクカバーの下に配置されているため、交換や充電の際にタンクカバーを外す必要があります。DIYで行うには手間がかかり、ショップに依頼するとその分の工賃が発生します。 | 工賃:数千円~ |
これらの点は、一つ一つは大きな金額ではないかもしれませんが、積み重なると「意外と維持費がかかるな」という印象につながる可能性があります。
特にタイヤは消耗品であり、いずれ必ず交換が必要になるため、ラジアルタイヤの費用感は事前に把握しておくべき重要なポイントです。
車両の購入予算を考える際には、これらの初期投資や将来的な維持費も念頭に置いて計画を立てることが、賢明なバイクライフを送るための秘訣です。
CB250Rが不人気と言われる購入前の注意点
- 中古の安い車両と購入の失敗談
- カスタムの失敗談と後悔しないための知識
- 不人気の中に隠れた魅力はあるのか
- 結局CB250Rは不人気なのか、実際どう?
- 総括:CB250Rが不人気と言われる理由
中古の安い車両と購入の失敗談
CB250Rは新車価格(564,300円)が250ccクラスの中では比較的手頃なため、中古市場ではさらに魅力的な価格帯の個体も流通しています。
しかし、価格の安さという一点だけで判断し、中古車選びに臨むと、後々「安物買いの銭失い」になりかねない大きなリスクが潜んでいます。
ここでは、実際に中古のCB250Rを購入して後悔した、よくある失敗談とその背景にある注意点を詳しく解説します。
年式の違いは性能の差!見落としがちな仕様変更
中古車選びで最もよくある失敗が、「年式ごとの仕様変更を全く知らずに購入してしまう」というケースです。
CB250Rは2018年に登場して以来、いくつかの重要なマイナーチェンジを経ており、年式によって乗り味や装備が大きく異なります。特に重要なのは以下の2回のアップデートです。
知っておくべき主要な年式別アップデート
- 2019年モデルの変更点:
この年式の最大の変更点は、前後サスペンションのセッティング見直しです。特にリアサスペンションの仕様が変更され、乗り心地を犠牲にすることなくシート高が5mmダウン(800mm→795mm)しました。たった5mmと思うかもしれませんが、この差が足つきの安心感に大きく貢献します。また、フロントフォークのアウターチューブの色がシルバーからブロンズに変更され、見た目の高級感も増しています。
- 2022年モデルの変更点:
このモデルチェンジは、CB250Rの歴史の中でも最も大きな進化と言えます。まず、フロントフォークがCBR650Rなどにも採用されている、より高性能な「ショーワ(SHOWA)製SFF-BP倒立フロントフォーク」へとアップグレードされました。これにより、路面追従性が向上し、さらに上質でスポーティな乗り心地を実現しています。加えて、アシスト&スリッパークラッチが新たに搭載され、クラッチレバーの操作が劇的に軽くなると同時に、急なシフトダウン時のリアタイヤのホッピングを抑制。さらに、多くのユーザーが待ち望んでいたギアポジションインジケーターがメーターに追加され、利便性も大幅に向上しました。
これらの仕様変更を知らずに、例えば「足つきを最優先したいのに、価格が安いからと初期型(2018年式)を買ってしまった」「クラッチ操作の軽さを期待していたのに、アシストスリッパークラッチ非搭載のモデルだった」といった失敗は後を絶ちません。
中古車情報サイトの価格だけを見て飛びつかず、必ず年式を確認し、そのモデルが自分の求める性能や装備を満たしているかを吟味することが、後悔しないための第一歩です。
価格の裏に潜む「消耗品」という名の追加費用
もう一つの深刻な失敗談は、車両本体価格の安さに目を奪われ、「購入直後に多額のメンテナンス費用が発生する」というケースです。
走行距離が2万kmを超えているような過走行気味の個体や、相場より極端に安い車両には特に注意が必要です。
私がこれまで見てきた中で最悪のケースは、「30万円で買ったCB250Rの納車後点検で、タイヤ、チェーン、スプロケット、ブレーキパッドが全て寿命だと指摘され、交換費用に10万円近くかかった」というものでした。
これでは、もっと状態の良い高年式の車両が買えたことになります。
中古車購入時に必ずチェックすべき消耗品リスト
- タイヤ: 残り溝は十分か。スリップサインが出ていないか。製造年が古すぎないか(ゴムが硬化している可能性がある)。
- ドライブチェーン: サビや固着はないか。伸びきっていないか(調整幅の限界近くまで引かれていないか)。
- スプロケット(前後): 歯が尖って摩耗していないか(「サメの歯」のようになっていたら交換時期)。
- ブレーキパッド: 残りの厚みは十分か。
- ブレーキフルード/エンジンオイル: 汚れや劣化は酷くないか。最後にいつ交換されたか記録はあるか。
中古車を選ぶ際は、販売店のスタッフにこれらの消耗品の状態について詳しく質問し、可能であれば整備記録簿を見せてもらうことが非常に重要です。信頼できる販売店であれば、これらの情報について誠実に回答してくれるはずです。
「現状販売」を謳っている格安車両は、これらのリスクを全て購入者が負うことになるため、バイクの整備知識が豊富な方以外は手を出さないのが賢明と言えるでしょう。
カスタムの失敗談と後悔しないための知識
CB250Rの大きな魅力の一つは、そのシンプルで洗練された「ネオスポーツカフェ」デザインにあります。
このミニマルなスタイルは、オーナーの個性を反映させるカスタムベースとして非常に魅力的です。
しかし、その独特な設計や市場での立ち位置を理解せずにカスタムに手を入れると、「見た目は良くなったが、乗りにくくなった」「高価なパーツを買ったのに取り付けできなかった」といった、手痛い失敗につながる可能性があります。
ここでは、後悔しないための知識として、CB250Rのカスタムで特に注意すべきポイントを具体的な失敗談と共に解説します。
パーツ適合の罠:テーパーハンドルと限られた選択肢
CB250Rのカスタムで最も初歩的かつ、よくある失敗が「ハンドル周りのアクセサリー選び」です。その原因は、CB250Rが採用している「テーパーハンドルバー」という特殊な仕様にあります。
テーパーハンドルとは、ハンドルクランプ部(車体中央)が太く(CB250Rの場合はΦ28.6mm)、グリップエンドに向かって細く(Φ22.2mm)なっていく形状のハンドルバーです。これは剛性が高く、スポーティなハンドリングに貢献する一方で、アクセサリーの取り付けには注意が必要です。
「スマホホルダーを買ったのに、クランプ部分が細すぎて取り付けられない!」というのは、私が何度も耳にしてきた典型的な失敗談です。多くの安価な汎用スマホホルダーは、一般的なΦ22.2mmのハンドルバーにしか対応していません。
購入前には、必ず製品がΦ28.6mmのテーパーハンドルに対応しているか、あるいはスペーサーなどが付属しているかを確認する必要があります。
また、「カスタムパーツの選択肢が少ない」という現実も、失敗につながる要因となります。
特に、積載性を向上させるためのリアキャリアや、デザインを大きく変える外装パーツなどは、超人気車種であるレブル250などと比較すると、そのラインナップは決して豊富とは言えません。
選択肢が少ないため、デザインや価格で妥協せざるを得なかったり、海外製の品質が安定しないパーツに手を出してしまったりするケースが見られます。
安易に汎用品を選んで、結局取り付けに多大な加工が必要になった、というのもよくある話です。
性能のバランスを崩す、本末転倒なカスタム
見た目やサウンドを変えるカスタムは楽しいものですが、バイクの性能バランスを考慮しないと、かえって乗りにくいバイクになってしまうことがあります。
特にCB250Rにおいて注意したいのが「マフラー交換」です。
CB250Rの純正マフラーは、単気筒エンジンの低中速トルクを最大限に活かすよう、絶妙な排気抵抗が計算されています。
これを、デザインや音量だけを重視して、抜けの良い(排気抵抗の少ない)社外マフラーに交換するとどうなるでしょうか。
注意:抜けの良いマフラーがもたらすトルクの谷
高回転域でのパワーは若干向上するかもしれませんが、その代償として発進時や低回転域のトルクがスカスカになり、力弱く感じられることがあります。
いわゆる「トルクの谷」が発生し、CB250Rの最大の長所である「街中でのキビキビとした走り」が損なわれてしまうのです。これではまさに本末転倒です。
同様に、サスペンションのセッティング変更も知識が必要です。
例えば、足つきを良くしたい一心で安価なローダウンリンクを組んだ結果、リアサスペンションの動きが悪くなり、乗り心地が極端に硬くなったり、コーナーリングで不安定になったりする可能性があります。
サスペンションは、スプリングとダンパーのバランスで成り立っており、一部分だけを変更すると全体の調和が崩れてしまうのです。
後悔しないための最大の教訓は、「そのパーツが、なぜその形状・性能なのかを理解する」ことです。
パーツを交換する前に、それがCB250Rのどの年式に適合するのか、取り付けにはどのような知識や工具が必要か、そして交換することでバイクの特性がどのように変化する可能性があるのかを、インターネットのレビューやメーカーの情報を元に徹底的にリサーチすることが、賢明なカスタムへの第一歩となります。
不人気の中に隠れた魅力はあるのか
「CB250Rは不人気」という言葉が、まるで枕詞のように語られることがありますが、そのレッテルを鵜呑みにし、このバイクの本質を見過ごしてしまうのは非常にもったいないことです。
販売台数という一面的な指標や、特定の用途におけるデメリットの裏には、他のどの250ccバイクにもない、唯一無二の魅力が隠されています。
ここでは、CB250Rが「分かる人には分かる」と評される、その核心的な魅力について深掘りしていきます。
クラスの常識を覆す、贅沢すぎる足回り
CB250Rの魅力を語る上で、絶対に外すことができないのが、その驚くほど豪華な足回りの装備です。
これは、同価格帯のライバル車種と比較して、明らかに一線を画す部分であり、CB250Rの走行性能と所有感を根底から支えています。
まず、フロントフォークに目を向けると、初期型から大径の倒立フォークを採用。
そして2022年モデルからは、ホンダの上位モデルであるCB650RやCBR650Rにも採用されている、高性能な「ショーワ(SHOWA)製SFF-BP(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストン)」を奢っています。
これは、左右のフォークでスプリングとダンパーの機能を分担させ、ピストン径を大きくすることで、サスペンションが動き出す初期の段階からスムーズに減衰力を発生させる構造です。
豆知識:SFF-BPがもたらす上質な乗り味
このSFF-BPのおかげで、CB250Rは路面の細かな凹凸をしなやかに吸収し、非常に上質で落ち着いた乗り心地を提供します。
それでいて、ブレーキをかけた時やコーナーに進入する際には、しっかりと踏ん張り、ライダーに絶大な安心感を与えてくれるのです。250ccクラスのバイクで、これほど質の高いフロントフォークを標準装備しているモデルは、他に類を見ません。
フロントブレーキも同様に豪華です。ブレーキキャリパーには、通常は大型バイクに採用される「ラジアルマウント対向4ポットキャリパー」を、NISSIN製で採用しています。
これもまた、同クラスではオーバースペックとも言える装備です。ラジアルマウントは、キャリパーの取り付け剛性を高めることで、ブレーキタッチのダイレクト感とコントロール性を向上させます。これにより、ライダーは指先のわずかな力加減で、制動力を精密にコントロールする楽しみを味わうことができます。
「軽さは七難隠す」を体現する運動性能
そして、これらの豪華な足回りの性能を、余すところなく引き出しているのが、前述の通り車両重量144kgというクラス最軽量のボディです。
バイクの世界には古くから「軽さは七難隠す」という格言がありますが、CB250Rはまさにこの言葉を体現しています。
この圧倒的な軽さは、バイクの運動性能におけるあらゆる要素にプラスに作用します。
運動性能 | 具体的なメリット |
---|---|
加速 | 同じパワーでも車体が軽いため、発進時やコーナーからの立ち上がりで鋭いダッシュが可能になる。 |
減速 | 止めるべき質量が少ないため、ブレーキの効きが良くなり、より短い距離で安全に停止できる。 |
旋回 | 左右への切り返し(バンキング)が非常に軽快で、ライダーの意のままにヒラヒラと向きを変えることができる。 |
取り回し | 押し引きが非常に楽で、狭い場所での方向転換や駐車もストレスなく行える。 |
パワーの数値では2気筒モデルに劣るかもしれませんが、ワインディングロードに持ち込めば、この軽さと高性能な足回りが生み出すコーナリング性能は、それらのライバルを凌駕することさえあります。
絶対的な速さではなく、「バイクを意のままに操る楽しさ」という点において、CB250Rは250ccクラスで間違いなくトップクラスの実力を持っているのです。
不人気という言葉に惑わされず、一度試乗してみれば、その驚くほど軽快で上質な走りに誰もが魅了されるはずです。これこそが、CB250Rに隠された、しかし最も輝かしい魅力なのです。
結局CB250Rは不人気なのか、実際どう?
さて、これまでCB250Rのデメリットや隠れた魅力など、多角的に分析してきました。
その上で、核心的な問いである「結局のところ、CB250Rは本当に不人気なのか?」に、改めて明確な答えを出したいと思います。
結論から言えば、「販売台数という指標では人気モデルとは言えないが、特定の価値観を持つライダーからは絶大な支持を得ている、ニッチで玄人好みのバイク」というのが、最も実態に即した評価です。
販売台数という数字のトリック
多くの人が「不人気」という印象を抱く最大の理由は、やはり販売台数のデータにあります。
例えば、バイク業界の販売動向を示す「二輪車新聞」の2022年上半期のデータを見ると、軽二輪(126cc~250cc)クラスでホンダのレブル250が圧倒的な1位を獲得しているのに対し、CB250Rはランキングの上位に名前を見つけることができません。
この数字だけを切り取れば、「レブルは人気、CB250Rは不人気」という単純な結論に至ってしまうのも無理はありません。しかし、これは市場の構造を正しく理解しているとは言えません。
現在の250ccクラスは、レブル250という歴史的な大ヒットモデルが市場を席巻している、極めて特殊な状況にあります。レブル250は、そのスタイリングと足つきの良さから、これまでバイクに興味のなかった層やリターンライダーなど、幅広い顧客を獲得しています。
これは、もはや同じ土俵で比較すること自体がナンセンスなのです。
むしろ注目すべきは、CB250Rが決して売れていないわけではない、という事実です。競争の激しい250ccロードスポーツというカテゴリーにおいて、CB250Rは2019年度には年間販売台数で6位を記録するなど、常に一定の存在感を示してきました。
これは、販売されている数多くの250ccバイクの中で、中堅以上のポジションを維持していることを意味します。
もしCB250Rが不人気なのであれば、それ以下の販売台数のバイクは全て「超不人気車」ということになってしまいますが、現実はそうではありません。
ターゲット層が明確だからこそ、響く人には深く響く
CB250Rの立ち位置を正しく理解する鍵は、「ターゲット層の明確さ」にあります。ホンダが掲げる「ネオスポーツカフェ」というコンセプトは、単なるデザインの様式ではなく、一つの思想です。
「ネオスポーツカフェ」の思想とは
- 伝統的なバイクの美しさ(丸目ヘッドライトなど)へのリスペクト
- 最新技術(LED灯火類、倒立フォークなど)の積極的な採用
- 無駄を削ぎ落とした、機能美の追求
- 所有する喜びと、操る楽しさの両立
この思想は、「ただの移動手段ではなく、バイクとの対話を楽しみたい」「スペックの数値競争ではなく、走りの質感を重視したい」「人とは違う、自分の価値観でバイクを選びたい」と考える、成熟したライダーの心に強く響きます。
つまり、CB250Rは最初から万人受けを狙ったバイクではないのです。流行に流されず、自分のスタイルを確立しているライダーにとって、これほど魅力的な選択肢は他にないと言っても過言ではありません。
だからこそ、オーナーの満足度は非常に高く、「乗り換えたけど、またCB250Rに戻ってきた」という声さえ聞かれるのです。
私が多くのCB250Rオーナーと話して感じるのは、彼らが自分のバイクに対して深い愛情と誇りを持っているということです。彼らは販売台数など気にしません。
なぜなら、CB250Rが持つ唯一無二の価値を、誰よりも深く理解しているからです。
インターネット上の「不人気」という言葉は、あくまで表面的な数字から生まれた、一面的な評価に過ぎません。
その言葉の裏にある、熱心なファンに支えられた確固たる存在価値を理解することが、CB250Rというバイクを正しく評価するための第一歩となるでしょう。
総括:CB250Rが不人気と言われる理由
この記事では、CB250Rがなぜ不人気と言われるのか、その理由と実際の評価について、デメリットとメリットの両面から詳しく解説してきました。
- 不人気の最大の要因は、レブル250など歴史的なヒットモデルとの販売台数の比較からくる印象である
- ライバルとなる並列2気筒モデルと比較した際に、最高出力の数値で見劣りし「パワー不足」と評価されることがある
- 高回転域では単気筒エンジン特有のパルス感(振動)があり、これを好まないライダーもいる
- スポーティさを重視した硬めのシートは、長距離ツーリングでお尻が痛くなるという声が多い
- シート高の数値以上に、ステップの干渉によって足つきが悪く感じるライダーがいる
- 燃料タンク容量が10Lと少ないため、長距離ツーリングでは給油頻度が高くなる
- カウルのないネイキッドスタイルゆえ、高速走行時の風圧による疲労は避けられない
- 人気車種と比較すると、社外品のカスタムパーツ、特に外装やキャリアの選択肢が少ない
- その一方で、クラスの常識を覆すショーワ製SFF-BP倒立フォークなど豪華な足回りを標準装備している
- 144kgというクラス最軽量の車体がもたらす、圧倒的に軽快なハンドリングは最大の魅力
- 軽さと足回りの良さの相乗効果で、ワインディングでは「バイクを操る楽しさ」を存分に味わえる
- 「ネオスポーツカフェ」という、他にはない先進的かつ上質なデザインコンセプトを持つ
- 中古車を検討する際は、性能が大きく異なる年式ごとの仕様変更(特に2019年と2022年)を必ず理解しておく必要がある
- 購入後に後悔しないためには、長距離ツーリング主体なのか、街乗りやワインディングが中心なのか、自身の用途を明確にすることが最も重要
- 結論として、万人受けするバイクではないが、その価値を理解する特定のライダー層から熱烈に支持されている玄人好みのバイクである
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