「高速道路は移動手段。俺たちが求めているのは『道』そのものだ!」
甲信越地方は、走り屋ライダーにとって日本最高峰のフィールドです。標高差2,000m超の峠道、信号のない高原スカイライン、緑のトンネルを抜けるテクニカルワインディング。ここには、バイクと一体になって走る歓びが凝縮されています。
このガイドでは、高速道路を一切使わず、ひたすら「道」を楽しむことにこだわった走り屋専用のルートを完全網羅します。タイヤの端まで使い切りたいあなたへ、最高のワインディング体験をお届けします。
Part 1:走り屋が知るべき甲信越の「道」の真実
山梨県:首都圏ライダーの修行場
関東からのアクセスが良く、適度な交通量とテクニカルなコーナーが魅力。路面状況が良好で、リズムよく走れる道が多いのが特徴です。ただし、観光地周辺は週末の渋滞に注意が必要。
長野県:天空のワインディング王国
標高1,000m〜2,700mという驚異的な高低差を持つ、日本最強のワインディングエリア。空に向かって駆け上がる開放感と、アルプスの絶景が同時に楽しめます。エンジンの吹け上がりが変わるほどの標高差を体感できる唯一無二のフィールド。
新潟県山間部:知られざる快走路の宝庫
豪雪地帯ゆえの大胆な線形と、交通量の少なさが生み出す「貸切感」が魅力。魚沼地域を中心に、稜線を走る快走路と深い渓谷を縫う酷道が混在する、上級者向けのエリアです。
Part 2:【メジャー級】一度は走るべき王道ワインディング

■ 道志みち(国道413号)- 関東ライダーの聖地
相模湖〜道志村〜山中湖(約50km)
適度な中高速コーナーと緑のトンネルが続く、バイク乗りの基本教習所的存在。道志川に沿って走るこのルートは、走りのリズムを掴むのに最適です。
走り屋のポイント:
- 狙い目は早朝6時〜8時。霧の中を走る幻想的な体験ができます
- 道の駅「どうし」で休憩。地元の山菜料理で英気を養う
- 週末昼間は首都圏ライダーで混雑。平日か早朝推奨

■ ビーナスライン(長野県)- 日本最強のスカイライン
白樺湖〜霧ヶ峰〜美ヶ原高原(約76km)
標高1,400m〜2,000mを駆け抜ける、空に向かって走るような開放感が魅力。全線信号なしの快走路で、日本屈指のワインディング体験が可能です。
走り屋のポイント:
- 早朝の霧ヶ峰は霧海が発生し幻想的
- 車山高原付近は強風注意、バイクが煽られることも
- 観光バス避けなら早朝か夕方が狙い目
- 冬季閉鎖:11月中旬〜4月下旬

■ 志賀草津道路(国道292号)- 雲上の絶景ルート
長野県山ノ内町〜群馬県草津町(約40km)
日本国道最高地点(標高2,172m)を通る山岳ルート。火山性の荒涼とした景色と眼下の雲海は圧巻で、まさに「雲の上」を走る体験ができます。
走り屋のポイント:
- 渋峠からの景色は別世界。記念撮影は必須
- ヘアピンカーブが連続する難所あり
- 真夏でも防寒着必須(気温差20℃以上)
- 冬季閉鎖:11月上旬〜4月下旬

■ 柳沢峠(国道411号・大菩薩ライン)- 富士の絶景峠道
奥多摩〜柳沢峠〜甲府(約60km)
奥多摩から甲府盆地へ抜ける黄金ルート。近年改良が進み、中高速コーナーとループ橋が織りなす極上の浮遊感が味わえます。
走り屋のポイント:
- 柳沢峠からの富士山ビューは絶景
- 甲府側への下りは路面最高、SSの本領発揮エリア
- 奥多摩湖までは取り締まりも多いのでペース抑えめ
Part 3:【穴場・上級者向け】通好みの隠れた名道
■ クリスタルライン(山梨県)- 清里の秘境ワインディング
清里高原〜甲府盆地北側(林道群)
交通量が極端に少なく、森林浴しながらのソロライディングに最適。ただし路面状況は場所により大きく異なるため、アドベンチャーバイクやオフ車推奨。
走り屋のポイント:
- 携帯電話の電波が届かない区間あり
- ガソリンは清里または甲府市街で必ず満タンに
- 冬季閉鎖:11月中旬〜4月下旬

■ 魚沼スカイライン(新潟県)- 越後の隠れた名道
南魚沼市〜十日町市(約20km)
魚沼盆地と十日町盆地を隔てる尾根道。知名度が低いため交通量少なく、稜線を行くため視界が常に開けており、ジェットコースターのようなアップダウンが魅力。
走り屋のポイント:
- 全長約20km、信号ゼロの快走路
- 魚沼産コシヒカリの棚田を見下ろす絶景
- 早朝か夕方の光の角度で景色が激変
■ 大弛峠(山梨県)- 車で行ける日本最高所
川上村〜標高2,365m
車で行ける日本最高所の峠。金峰山と瑞牆山の360度パノラマは圧巻ですが、林道のため路面は荒れ気味。上級者向けの挑戦ルートです。
走り屋のポイント:
- すれ違い困難な区間多数
- 真夏でも山頂付近は10℃以下
- 冬季閉鎖:11月中旬〜5月下旬
Part 4:【下道限定】モデルコース3選
COURSE A:【王道・絶景】天空回廊ルート
韮崎→清里→野辺山→麦草峠→ビーナスライン→松本(約120km)
標高2,000m級の峠をハシゴする贅沢ルート。路面状況も良く、SSからツアラーまで全車種対応。空に向かって駆け上がる開放感を存分に味わえます。
所要時間: 走行のみ約3時間、休憩込み5〜6時間
COURSE B:【テクニカル】甲信縦断・峠の梯子ルート
奥多摩→柳沢峠→甲府→杖突峠→高遠→権兵衛峠→木曽福島(約150km)
テクニカルな柳沢峠と快走国道152号の緩急がたまらない。信号ストップが少なく、ライディングに没頭できる走り屋向けコース。
所要時間: 走行のみ約4時間、休憩込み6〜7時間
COURSE C:【秘境・冒険】越後奥地探険ルート
飯山→十日町→魚沼スカイライン→六十里越→福島県境(約160km)
新潟の深部へ。魚沼スカイラインの開放感と、その後の深い山道のギャップが凄い。アドベンチャーバイクや軽量ネイキッド推奨の上級者コース。
所要時間: 走行のみ約5時間、休憩込み7〜8時間
Part 5:走り屋のための実践アドバイス
【ガソリン戦略】
甲信越山間部では「50km以上ガソリンスタンドなし」が普通。特に注意すべきエリア:
- 国道152号の高遠〜大鹿村区間
- クリスタルライン周辺
- 魚沼スカイライン
- 奥只見周辺
鉄則: 残り航続距離150kmを切ったら次の町で給油必須

【気温差対策】
標高差による気温差は想像以上。甲府盆地35℃でも、ビーナスライン20℃、志賀草津道路10℃以下は日常茶飯事。
必携装備:
- 防風インナー(メッシュジャケット下でも必須)
- グローブインナー
- ネックウォーマー
- レインウェア(防寒着代わりにも)

【路面・安全対策】
特に注意すべき路面状況:
- 落ち葉(秋季):スリップの原因
- 砂利・砂(峠道):カーブで浮いていることも
- 濡れた路面:早朝の露で滑りやすい
- 動物の飛び出し:鹿、猿、狸など
走行のコツ:
- ブラインドコーナーは「何かある」前提で進入
- すれ違い時は必ず減速
- 1〜2時間に1回は休憩
- 疲労を感じたら無理せず中断
【取り締まり・マナー】
要注意エリア:
- 道志みち(特に休日)
- 奥多摩周辺
- 富士北麓
地元との共存:
- 生活道路でもあることを忘れずに
- 騒音に配慮(住宅地でのエンジンブレーキ等)
- ゴミのポイ捨て厳禁
- 追い越し時は安全確認を徹底
Part 6:季節別・難易度別攻略法

【春(4月〜6月)】残雪と新緑のコントラスト
- 志賀草津道路:雪の回廊ドライブ(4月下旬〜5月)
- ビーナスライン:残雪の美ヶ原と新緑のコントラスト
- 麦草峠:白駒池周辺の新緑が美しい
【夏(7月〜8月)】涼を求めて高原へ
- ビーナスライン:標高2,000mの涼しさ
- 志賀草津道路:雲上の別世界
- 清里・野辺山:高原リゾートの爽やかさ
【秋(9月〜11月)】紅葉の絶景ライド
- 麦草峠・白駒池:苔の森と紅葉(10月上旬)
- 志賀草津道路:火山性の紅葉(10月上旬〜中旬)
- 奥只見周辺:湖畔の紅葉(10月中旬〜下旬)
【冬(12月〜3月)】低標高ルートで楽しむ
多くの峠道が閉鎖されるため、標高の低いルートを選択:
- 甲府盆地周辺:比較的温暖で走行可能
- 木曽路:標高低く冬でも楽しめる
- 富士五湖周辺:凍結注意だが絶景は健在
Part 7:難易度別ルート分類

【初心者向け】走りやすい導入ルート
- ビーナスライン(白樺湖〜霧ヶ峰区間)
- 富士五湖周遊
- 清里・野辺山高原
- 弥彦山スカイライン
特徴: 路面良好、カーブ緩やか、給油・休憩施設充実
【中級者向け】適度な走り応え
- 道志みち
- 志賀草津道路
- 麦草峠(メルヘン街道)
- 柳沢峠
特徴: 適度なワインディング、標高差あり、走りと景色の両立
【上級者向け】テクニカルルート
- クリスタルライン
- 大弛峠
- 魚沼スカイライン
- 国道352号(樹海ライン)
特徴: 狭路・急カーブ、路面荒れ気味、交通量極少、携帯圏外区間あり
最後に:甲信越の峠を心から楽しむために
甲信越地方の峠道は、日本のライダーにとって最高のフィールドです。しかし、その素晴らしさを享受するためには、安全走行と自然への敬意が不可欠です。
走り屋としての心得:
- スピードの出し過ぎ、無理な追い越しは厳禁
- 地元の方々の生活道路であることを忘れずに
- 譲り合いの精神で走行
- ゴミのポイ捨て絶対禁止
山岳地帯特有の急激な天候変化、気温低下、濃霧などのリスクも常に念頭に置き、無理のない計画を立てることが大切です。
さあ、ナビの「高速道路を使う」のチェックを外せ。 最高のワインディングが、君を待っている。
このガイドが、あなたの甲信越下道ツーリングを最高のものにする一助となれば幸いです。安全運転で、素晴らしい峠道との出会いを心ゆくまで楽しんでください。
Good Ride! 最高の下道ライフを!
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