1960年代のモーターサイクルの雰囲気を色濃く残し、一部のライダーから熱狂的な支持を受けるカワサキ W650。
その一方で、「w650 不人気」というキーワードが検索されるように、購入後に後悔する声やネガティブな評判が存在するのも事実です。
なぜこのバイクは、一部で熱狂的に愛されながらも、ある層からは厳しい評価を受けてしまうのでしょうか。
この記事では、W650が不人気と言われる6つの理由を、デザイン、性能、快適性といった多角的な視点から徹底的に深掘りし、W650はなぜ不人気なのかという根源的な問いに答えます。
巷で囁かれる「W650のデザインが古い」という評価や、「W650の見た目がダサい」という意見は本当なのか。
性能面に目を向ければ、「W650は加速が遅いと感じる場面」や、「W650のエンジンがうるさい」「W650は振動がひどい」といった評判も耳にします。
これらのw650不人気説を裏付ける後悔の声として、「W650は重くて辛いと感じる現実」や「W650に乗って疲れるのは本当か」、そして「W650はすぐ飽きる」といったリアルな意見も紹介。
実際にW650を買って後悔した人の体験談を基に、その背景を分析し、結論としてw650が不人気な理由の総括を行います。
W650の購入を検討している方が、後悔のない選択をするための一助となれば幸いです。
- W650が「不人気」と評価されるデザインや性能面での具体的な理由と技術的背景
- 購入後に「後悔」につながりやすい振動、重量、疲労感などのネガティブなポイント
- 現代のバイクと比較した際の快適性や安全性に関するリアルな評判
- W650の客観的な評価を踏まえ、どのようなライダーに本当に向いているかの判断材料
w650が不人気と言われる6つの理由
- W650はなぜ不人気なのか
- W650のデザインが古いという評価
- W650の見た目がダサいという意見も
- W650は加速が遅いと感じる場面
- W650のエンジンがうるさいという声
- W650は振動がひどいとの評判
W650はなぜ不人気なのか
風オリジナル
W650が一部のライダーから「不人気」というレッテルを貼られてしまう根本的な原因は、そのクラシカルな設計思想が、現代のバイク市場における「主流の価値観」と大きく異なっている点に集約されます。
1999年に市場に投入されたW650は、単なる懐古趣味のバイクではありません。
カワサキが1966年に発表した歴史的名車「650-W1」への深い敬意を込め、その血統を現代に蘇らせるという明確なコンセプトのもとに開発されました。
その核となるのが、他に類を見ない「空冷SOHC4バルブ並列2気筒エンジン」と、その美しさの象徴である「ベベルギア駆動カムシャフト」です。
時代に逆行したメカニズムの魅力と代償
W650の心臓部で最も特徴的なのは、エンジンの右サイドで垂直に伸びるベベルギアタワーです。
これは、クランクシャフトの回転を90度変換し、カムシャフトを駆動させるための機構であり、かつては高性能エンジンの証でした。
しかし、製造に高い精度とコストを要するため、現代ではチェーン駆動が圧倒的主流です。
カワサキは敢えてこの複雑な機構を復活させ、機能部品をデザインの一部として昇華させました。
この造形美はW650のアイデンティティであり、多くのファンを魅了する最大の要因です。
しかし、このこだわりは裏を返せば、合理性や効率性を最優先する現代の設計思想とは真逆のベクトルを向いています。
現代のバイクの多くは、水冷エンジンによる高度な熱管理、ライド・バイ・ワイヤやIMU(慣性計測装置)といった電子制御による緻密な出力コントロール、そして空力性能を突き詰めたデザインを特徴とします。
W650は、これらの要素を意図的に排除し、ライダーが機械と直接対話するような、アナログな乗り味を追求しました。
その結果、現代の高性能バイクに慣れたライダーがW650に触れると、以下のような点でギャップを感じることになります。
- 絶対的性能の不足:最高出力は50PS/7,000rpmと、同排気量クラスの現代のバイク(例えばスズキのSV650は70PS以上)と比較すると見劣りします。
最高出力を追求するのではなく、あくまで低中速域のトルク感と鼓動感を重視したセッティングです。 - 安全・快適装備の欠如:ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やトラクションコントロールといった、今やスタンダードとなった安全装備は一切搭載されていません。
雨天時や不意の急ブレーキなど、ライダーにはより繊細な操作が求められます。
W650が「不人気」と見なされる核心的なポイント
- 設計思想の違い:「味わい」や「雰囲気」を最優先し、現代の主流である「高性能」「高効率」「電子制御」とは異なる価値観を持つ。
- 性能の相対評価:絶対的なパワーやスピードを求める層にとっては、スペック的に物足りず、選択肢から外れやすい。
- 安全性の懸念:ABSなどの電子制御安全装備が一切なく、現代の基準で見ると安全面で不安を感じるユーザーがいる。
つまり、W650が「不人気」と評されるのは、バイクに求める価値観の違いが顕在化した結果と言えます。
利便性や刺激的な速さ、最先端のテクノロジーを求めるライダー層から見れば、W650は古く、非力で、装備の乏しいバイクに映ります。
しかし、バイク本来の機械的な鼓動感、手間をかけることさえも楽しみと捉える豊かなバイクライフ、そして流行に左右されない普遍的な美しさを求める層にとっては、唯一無二の存在として輝き続けるのです。
この明確なキャラクターこそが、W650が熱狂的なファンと、厳しい評価を下す層の両方を生み出す理由なのです。
W650のデザインが古いという評価
W650のデザインに対して「古い」という評価が下されるのは、そのスタイリングが特定の時代、すなわち1960年代から70年代初頭にかけての英国製モーターサイクル、通称「ブリティッシュツイン」の様式を色濃く反映しているためです。
これは単なる偶然ではなく、開発陣が明確な意図をもって作り上げた結果であり、その魅力と評価が分かれる原因を深く理解するためには、デザインの構成要素を一つひとつ紐解く必要があります。
デザインの源流と構成要素
W650のデザインは、メッキパーツが輝く優美なフェンダー、緩やかなカーブを描くティアドロップ(涙滴)型の燃料タンク、そしてエンジンから後方へ水平に伸びる2本のキャブトンマフラーといった、クラシックバイクの典型的なアイコンで構成されています。
特に、エンジン造形へのこだわりはW650のデザインを語る上で欠かせません。
- 空冷エンジンのフィン:シリンダーに刻まれた冷却フィンは、空冷エンジンならではの機能美です。
現代主流の水冷エンジンではラジエーターが冷却を担うため、このような美しいフィンは存在しません。
この有機的な造形が「機械らしさ」を演出し、ヴィンテージ感を高めています。 - スポークホイール:現代のロードバイクでは軽量で高剛性なキャストホイールが一般的ですが、W650は前後にクラシカルなスポークホイールを採用しています。
ワイヤーが放射状に伸びる繊細なデザインは、軽快感と高級感を演出する一方で、チューブタイヤであるためパンク修理が煩雑になる、定期的なスポークの増し締めが必要といったメンテナンス性の課題も抱えています。 - 独立した計器類:速度計と回転計がそれぞれ独立した砲弾型メーターとなっている点も、60年代スタイルの特徴です。
多機能な液晶ディスプレイが当たり前になった現代のバイクとは異なり、提供される情報は最小限。
このアナログなインターフェースが、バイクとの対話感を深めると評価される一方で、利便性の面では明らかに劣ります。
現代デザインとの決別
こうしたクラシカルな要素の集合体であるW650のデザインは、現代のデザイントレンドとは全く異なる文法で成り立っています。
近年のバイクデザインは、空力性能を追求した結果生まれるシャープなエッジ、マス(塊)を車体中央に集中させた凝縮感のあるシルエット、そしてLED化による灯火類の小型化・先鋭化が特徴です。
W650のデザインは、これらの要素とは対極にあり、流麗なラインと各パーツの独立性を重視しています。
この明確なスタイルの違いが、評価の分岐点となります。
最新のトレンドやテクノロジーの進化をバイクデザインに求める層、特に若い世代のライダーにとっては、W650のスタイルはノスタルジックを通り越して「過去の遺物」のように映る可能性があります。
彼らにとってバイクはファッションの一部であり、そのデザインは現代的でなければならないという価値観があるため、「古い」という評価に直結するのです。
しかし、この「古さ」は、見方を変えれば「時代を超えた普遍性」とも言えます。
自動車の世界におけるポルシェ911のように、W650のデザインは一時的な流行に左右されない完成度を持っています。
20年以上前に設計されたにもかかわらず、今なお多くの人々を惹きつけるのは、そのデザインがモーターサイクルの黄金時代の美学を完璧に体現しているからに他なりません。
長く乗り続け、所有する喜びを深く味わいたいと考えるライダーにとって、この普遍性は陳腐化しない価値として、大きなメリットとなるのです。
W650の見た目がダサいという意見も
「デザインが古い」という客観的な評価から一歩踏み込み、「見た目がダサい」という主観的な意見が生まれる背景には、特にノーマル(無改造)状態のW650が持つ「穏やかさ」や「まとまりの良さ」が、一部の層には刺激不足や没個性と映ることが原因として考えられます。
「おじさんバイク」と揶揄されるスタイリングの要因
W650が「ダサい」「おじさんバイク」と揶揄される際に、具体的に指摘されがちなのが以下のパーツです。
これらのパーツは、決してデザイン的に破綻しているわけではなく、むしろ当時のバイクの雰囲気を忠実に再現し、多くのライダーに受け入れられるよう配慮された結果の形状です。
しかし、その普遍性ゆえに、個性を求める層からは物足りなく見えてしまうのです。
- 純正ハンドルバー:特にアップハンドル仕様のモデルは、非常に楽なライディングポジションを提供しますが、そのゆったりとした形状が一部には「野暮ったい」と映ります。
スポーティさとは対極にあるため、アクティブなイメージを求めるライダーからは敬遠されがちです。 - ウインカーとテールランプ:現代のバイクに比べて大ぶりなウインカーやテールランプは、被視認性という安全上のメリットがある一方で、デザイン的な洗練さには欠けます。
LED化されたシャープな灯火類を見慣れた目には、古くさく、垢抜けない印象を与えてしまいます。 - リアフェンダー:ナンバープレートやリフレクター(反射板)が取り付けられるリアフェンダーは、日本の法規に適合させるために比較的長く、後方に伸びたデザインとなっています。
この間延びした印象が、リアビューの軽快感を損ない、「ダサい」と感じさせる一因となっています。
これらの要素が組み合わさることで、ノーマルのW650は良くも悪くも「優等生」なスタイリングにまとまっています。
このクセのないデザインが、逆に強い個性を求めるライダーにとっては「地味」「退屈」といったネガティブな印象に繋がってしまうのです。
カスタムシーンにおけるW650の絶対的な地位
しかし、ここで特筆すべきは、W650がカスタムベース車両として国内外で絶大な人気と高い評価を得ているという事実です。
そのシンプルなダブルクレードルフレームと、主張しすぎないノーマルのデザインは、カスタムビルダーにとって最高のキャンバスとなります。
ハンドルを低いものに交換し、シートを薄いシングルシートに変え、フェンダーを短くカットするだけで、W650は攻撃的な「カフェレーサー」へと変貌します。
ブロックタイヤを履かせ、アップマフラーを装着すれば、無骨な「スクランブラー」にもなります。
ノーマルのデザインが持つ「余白」の多さが、オーナーの個性を反映させる無限の可能性を秘めているのです。
つまり、「ノーマルの見た目がダサい」と感じる人であっても、カスタムという手段を通じて、その評価を180度覆すことができるのがW650の大きな魅力です。
この懐の深さこそが、生産終了から長い年月が経った今でも、W650がカスタムシーンの中心にあり続ける理由と言えるでしょう。
結論として、「ダサい」という意見は、主にノーマル状態の穏やかなスタイリングに対するものであり、それはカスタムによって解消可能な要素です。
むしろ、そのシンプルな素性こそが、自分だけの一台を創り上げる喜びを提供してくれる、W650の隠れた美点なのです。
W650は加速が遅いと感じる場面
W650の性能面で最も頻繁に指摘されるのが、「絶対的な加速性能の不足」です。
この評価は、単なる印象論ではなく、そのエンジン特性とスペックに基づいた事実です。
しかし、なぜ「遅い」と感じるのかを深く理解するためには、W650がどのような走行シーンを想定して設計されたのかを知る必要があります。
スペックが物語る穏やかなエンジン特性
W650に搭載されている676ccの空冷並列2気筒SOHCエンジンは、最高出力50PSを7,000rpmで発生します。
この数値は、20年以上前のデビュー当時においても、同クラスのライバルと比較して決してパワフルなものではありませんでした。
例えば、同時期に販売されていたホンダのホーネット600(水冷4気筒)は90PS以上を発生させており、その差は歴然です。
W650のエンジンの真価は、最高出力ではなく最大トルクの発生回転数にあります。
最大トルクである5.7kgf・mを、わずか5,500rpmという低い回転数で発生させるのです。
これは、エンジンの最も力強い(おいしい)領域が、日常的に使用する回転域に設定されていることを意味します。
W650のエンジン特性のポイント
- 低中速トルク重視:発進時や街中でのストップ&ゴーで力強い加速感を味わえる。
- 高回転域の伸び悩み:エンジンの回転が上がるにつれてパワーの盛り上がりが少なく、爽快な加速感は得られない。
- ロングストローク設計:ピストンの上下運動の距離(ストローク)が長く、一回ごとの爆発をしっかりと感じられる「鼓動感」を生み出す。これが味わい深さの源泉。
この特性により、W650は信号からの発進や、時速60km程度までの加速では、スペックから想像する以上に活発で心地よい走りを見せます。
しかし、そのフィーリングは高回転域まで持続しません。アクセルを大きく開けても、回転の上昇に伴ってパワーが爆発するようなことはなく、穏やかに速度が乗っていくだけです。
この高回転域での「頭打ち感」こそが、「加速が遅い」と感じさせる最大の要因です。
「遅い」と感じる具体的なシチュエーション
W650のライダーが、特にその加速性能に物足りなさを感じるのは、主に以下のような高速域での走行シーンです。
- 高速道路での追い越し加速:時速100kmからの再加速は、現代のバイクと比較すると明らかに鈍いです。
トップギアのままアクセルを開けても思うように速度が伸びず、追い越しを完了するためにはシフトダウンしてエンジン回転数を高める操作が必須となります。
それでも、胸のすくような加速は期待できません。 - ハイパフォーマンスバイクとのマスツーリング:リッタークラスのスーパースポーツや、最新のストリートファイターなど、100馬力を超えるバイクと一緒にツーリングに行くと、その性能差を痛感させられます。
直線区間で簡単に引き離されてしまい、ペースを合わせるためには常にエンジンを高回転まで回し続ける必要があり、ライダーに大きなストレスと疲労をもたらします。 - 登坂路での走行:勾配のきつい上り坂では、トルク不足を感じる場面があります。
ギアを適切に選択しないと失速感を覚え、スポーティーな走りを楽しむどころではなくなってしまいます。
要するに、W650は「絶対的な速さ」を競う土俵にはいないバイクなのです。
そのエンジンの特性は、スロットルを大きく開けて非日常的な加速を味わうためではなく、エンジンの鼓動を感じながら、景色を楽しみ、ゆったりとした時間の流れを味わうために最適化されています。
この設計思想を理解せず、現代のスポーツバイクと同じような感覚で速さを求めてしまうと、「加速が遅い」という不満だけが残り、後悔に繋がってしまうのです。
W650のエンジンがうるさいという声
W650の魅力と欠点は表裏一体であり、その象徴的な例が「エンジン音」です。
ファンにとっては五感を刺激する心地よいサウンドですが、静粛性を求める層や、特定の状況下では「うるさい」というネガティブな評価に変わります。
この騒音問題は、主に「メカニカルノイズ」「排気音」「振動音」という3つの要素から成り立っています。
① 空冷エンジン特有のメカニカルノイズ
W650のエンジンは、現代主流の水冷エンジンと異なり、エンジンを冷却するためのウォータージャケット(冷却水の通り道)を持っていません。
水冷エンジンでは、このウォータージャケットが内部の機械音を吸収し、遮音壁のような役割を果たします。
しかし、空冷エンジンであるW650は、エンジン内部でピストンやバルブ、ギアなどが動く音が直接外部に漏れやすく、これが「ガチャガチャ」「カシャカシャ」といったメカニカルノイズとして聞こえます。
特に、エンジン右側の象徴的なベベルギア機構は、独特の駆動音を発生させます。
これはW650の個性であり、機械が生きている感覚を伝えてくれる要素ですが、静かなバイクに乗り慣れた人にとっては、不調のサインではないかと不安になるほどのノイズに感じられることがあります。
このメカニカルノイズは、特にアイドリング時や低速走行時に顕著です。
② 360度クランクがもたらす排気音
W650の排気音は、不等間隔爆発となるトライアンフのボンネビル(270度クランク)などとは異なり、2つのピストンが同時に上下する360度クランクを採用しているため、「ドドドド」という歯切れの良い連続的なサウンドが特徴です。
ノーマルマフラーの状態でも、この独特の重低音はしっかりとライダーに届きます。
このサウンドは、バイクとの一体感を高める重要な要素ですが、長時間の高速巡航では単調な音が耳に付き、精神的な疲労の原因となることがあります。
特に、ヘルメットの中で反響する排気音は、想像以上にライダーの集中力を削ぎます。
社外マフラー交換による騒音問題
W650はカスタムパーツが豊富なため、多くの個体でマフラーが社外品に交換されています。
デザインやサウンドの変化を楽しめる一方で、車検非対応の爆音マフラーを装着しているケースも少なくありません。
このような車両は、ライダー自身の疲労を増大させるだけでなく、早朝や深夜のエンジン始動が深刻な近所迷惑となり、社会的な問題に発展するリスクを孕んでいます。
中古車を購入する際は、装着されているマフラーが保安基準に適合しているかを確認することが極めて重要です。
③ 振動に伴う共振音
後述する「振動」も、騒音の一因となります。
エンジンがある特定の回転数に達した際に、車体のパーツが共振して「ビビリ音」が発生することがあります。
これは、ナンバープレートやフェンダー、メーター周りなど、様々な箇所で起こり得ます。
走行中に絶えず聞こえる不快なビビリ音は、大きなストレスの原因となります。
これらの3つの要素が組み合わさることで、W650のエンジン音は形成されています。
これを「生命感あふれるサウンド」と捉えるか、「快適性を損なう騒音」と捉えるかは、ライダーの価値観次第です。
しかし、少なくとも静粛性を第一に求めるのであれば、W650は最適な選択とは言えないでしょう。
W650は振動がひどいとの評判
W650の乗り味を決定づける最も重要な要素であり、同時に「ひどい」とまで言われるネガティブな評判の原因となっているのが「振動」です。
この振動の正体を理解するためには、W650が採用する「360度クランク並列2気筒」というエンジン形式の物理的な特性にまで踏み込む必要があります。
振動の発生源:360度クランクの宿命
W650のエンジンは、2つのピストンが同位相、つまり常に同じタイミングで一緒に上下運動を繰り返す「360度クランク」方式を採用しています。
この方式は、歴史的な英国車ツインの多くが採用した伝統的なレイアウトであり、「バーチカルツイン(直立2気筒)」の代名詞とも言えるものです。
2つのピストンとコンロッドという重い部品が、クランクシャフト1回転ごとに一緒に上下するため、その慣性力によってエンジン全体を上下に揺さぶる一次振動が非常に大きく発生します。
これは、シーソーの両端に同じ体重の人が乗って、同時にジャンプを繰り返しているような状態をイメージすると分かりやすいでしょう。
その結果、強烈な上下振動が発生するのは物理的な必然なのです。
W650には、この一次振動を軽減するために「一軸バランサー」が搭載されています。
これは、ピストンの往復運動とは逆方向に回転する重り(バランサー)を設けることで、振動をある程度打ち消す仕組みです。
このバランサーのおかげで、W650の振動は不快な微振動ではなく、「ドッドッドッ」という生命感のあるリズミカルな「鼓動」として感じられるように調律されています。
しかし、バランサーは振動を完全に消し去るものではありません。
特に、エンジンの回転数が上昇するにつれて、一次振動に加えて、より高周波な二次振動も増大していきます。
「心地よい鼓動」から「不快な振動」へ
W650の振動は、走行シーンによってその表情を大きく変えます。
- アイドリング〜低回転域(〜3,000rpm):この領域では、バランサーの効果も相まって、振動は非常に心地よい「鼓動」として感じられます。
エンジンが生きていることをダイレクトに感じさせ、W650に乗る喜びを最も実感できる領域です。 - 中回転域(3,000〜5,000rpm):街乗りやツーリングで多用するこの領域では、鼓動感が力強さを増し、ライダーに高揚感を与えます。
しかし、人によってはこのあたりから振動が「大きい」と感じ始めます。 - 高回転域(5,000rpm〜):高速道路での巡航など、この領域を維持し続けると、心地よかったはずの鼓動は、連続的で微細な「振動」へとその性質を変えます。
この高周波振動が、身体に様々な悪影響を及ぼし始めます。
身体を蝕む高周波振動の影響
高速走行時にハンドルバーやステップ、シートから伝わり続ける高周波振動は、ライダーの身体に以下のような具体的な症状を引き起こします。
-
- 手足の痺れ:最も一般的な症状です。
特にグリップを握る手は、血行が悪くなり、30分以上の連続走行で感覚が麻痺してくることがあります。
これは安全なアクセルワークやブレーキ操作を妨げる危険な状態です。 - 視界のブレ:バックミラーに映る後方の景色が振動でブレてしまい、安全確認が困難になります。
- 手足の痺れ:最も一般的な症状です。
– 全身の疲労:身体は無意識のうちに振動に対抗しようと筋肉を緊張させ続けます。
これが全身の凝りや疲労感に繋がり、長距離走行後の消耗を激しくします。
最新のバイク、特に4気筒エンジンや270度クランクのツインエンジンは、振動対策が高度に進んでおり、高速走行でも驚くほどスムーズです。
そうしたバイクの快適なクルージングに慣れているライダーがW650で同じように高速道路を走り続けると、そのあまりの振動の大きさに衝撃を受け、「ひどい」「耐えられない」という評価を下すことになります。
W650は、その振動特性ゆえに、長時間の高速巡航が極めて苦手なバイクであると断言できるでしょう。
w650不人気説を裏付ける後悔の声
- 重くて辛いと感じる現実
- 乗って疲れるのは本当か
- すぐ飽きるとの声も
- 買って後悔した人の体験談
- 結論:w650が不人気な理由の総括
W650は重くて辛いと感じる現実
W650のカタログスペックを見ると、乾燥重量は195kg、装備重量は約211kgとされています。
この数値は、現代の同クラスのバイクと比較して突出して重いわけではありません。
しかし、多くのライダー、特に初心者や小柄な方、腕力に自信のない方がスペック以上に「重くて辛い」と感じてしまうのには、いくつかの明確な理由が存在します。
数値以上の重さを感じさせる要因
W650の重さがネガティブな印象に繋がりやすいのは、その重量配分と、バイクを扱うシチュエーションが大きく関係しています。
- 重心の高さ:W650は、直立した空冷エンジン(バーチカルツイン)を搭載しているため、クランクシャフトの位置が比較的高い位置にあります。
エンジンの主要な重量物が地面から離れているため、バイクを少し傾けただけでも、重さが「ズシッ」とライダーにのしかかってきます。
一度バランスを崩しかけると、その重さを支えきれずに立ちごけに至るリスクが高まります。 - ハンドル切れ角の少なさ:クラシカルなデザインを優先した結果、ハンドルの切れ角が現代のネイキッドバイクほど大きくありません。
これにより、Uターンのような小回りを要求される場面での最小回転半径が大きくなり、何度も切り返しが必要になることがあります。
この切り返しの際に、重い車体を腕力で支えながら押し引きする作業が、大きな負担となります。 - キャブレター車ゆえの始動性の問題:特に冬場や長期間エンジンをかけていない場合、エンジンがなかなか始動しないことがあります。
セルモーターを回し続けてバッテリーが弱ってしまった場合、最後の手段としてキックスターター(2006年モデル以降は廃止)を使うことになりますが、676ccの排気量を持つエンジンのキックは非常に重く、相応の体力とコツを要します。
エンジンをかけるだけで汗だくになってしまうことも珍しくありません。
「重くて辛い」と感じる具体的な場面
これらの要因が複合的に作用し、ライダーは以下のような日常的な場面でW650の重さと格闘することになります。
シチュエーション | 具体的な困難さ |
---|---|
駐車・駐輪場での取り回し | エンジンを切った状態での押し引きは、純粋な腕力勝負です。特に、わずかでも傾斜がついている場所や、砂利道、未舗装路など足場が悪い場所では、その困難さが倍増します。「バイクを出すのが億劫になる」という声の多くは、この取り回しの辛さに起因します。 |
渋滞路での極低速走行 | 停止と発進を繰り返す渋滞の中では、半クラッチを多用しつつ、重い車体を足で支えながらバランスを取る必要があります。この作業はライダーの集中力と体力を大きく消耗させます。 |
不意のエンスト時 | 坂道発進でのエンストや、交差点での立ちごけなど、不意に車体を支えなければならなくなった時、その重さが牙を剥きます。咄嗟の事態で200kgを超える鉄の塊を支えるのは、ベテランライダーでも容易ではありません。 |
一度走り出してしまえば、その重量は安定感に変わり、どっしりとした直進安定性をもたらします。
しかし、バイクライフは走行中だけでなく、ガレージからの出し入れや駐車といった地味な作業の積み重ねで成り立っています。
この「静的な状態」での扱いにくさが、日々のバイクライフにおいてストレスとなり、「重くて辛い」というネガティブな印象を決定づけてしまうのです。
W650に乗って疲れるのは本当か
結論から言えば、「W650に乗ると疲れる」という評判は紛れもない事実です。
これは特定のライダーの個人的な感想ではなく、W650の車両特性から導き出される論理的な帰結と言えます。
これまで個別に解説してきた「振動」「エンジン音」「重さ」といったネガティブ要素が、走行中に複合的にライダーを襲い、心身ともに疲労を蓄積させるのです。
特に、現代のバイクがどれほど快適性を追求して進化してきたかを知っているライダーほど、そのギャップに驚くことになります。
疲労を増幅させる複合的な要因の徹底分析
W650で長距離を走行した際に感じる疲労は、単一の原因ではなく、複数のストレス要因が連鎖的に作用することで増幅されます。そのメカニズムを以下に詳述します。
- ダイレクトな振動による身体的負担:
前述の通り、W650のエンジンは大きな振動を発生させます。
高速道路などを一定速度で巡航する際には、5,000rpm前後の高周波振動がハンドル、シート、ステップを通じて絶え間なく身体に伝達されます。- 筋肉の持続的緊張:人間の身体は、外部からの振動に対して姿勢を維持しようと、無意識のうちに全身の筋肉を緊張させ続けます。
この状態が長時間続くと、肩、背中、腰周りの筋肉が凝り固まり、深刻な疲労や痛みの原因となります。 - 血行障害:ハンドルを握る手や、ステップに置く足の裏は、振動によって圧迫され続け、血行が悪化します。
これが「痺れ」の直接的な原因であり、走行中の不快感を増大させるとともに、精密な操作を妨げる要因にもなります。
- 筋肉の持続的緊張:人間の身体は、外部からの振動に対して姿勢を維持しようと、無意識のうちに全身の筋肉を緊張させ続けます。
- カウルのない車体が生む「風圧」との戦い:
W650は、走行風からライダーを守るカウルやスクリーンを標準装備していません。
ネイキッドバイクの宿命ではありますが、これが疲労に与える影響は甚大です。- 上半身への直接的な風圧:時速80kmを超えると、風圧は急激に強まります。
ライダーの上半身、特に首から上は、常に前方からの強い力にさらされ続けることになります。
これに抵抗するために、首や肩の筋肉には常に大きな負担がかかり、深刻な肩こりや頭痛を引き起こすこともあります。 - 体温の低下:夏場は心地よい風も、春先や秋口のツーリングでは体温を容赦なく奪っていきます。
身体が冷えると筋肉は硬直し、疲労しやすくなるだけでなく、判断力も鈍るため非常に危険です。
- 上半身への直接的な風圧:時速80kmを超えると、風圧は急激に強まります。
- 単調なエンジン音による精神的負担:
高速道路など、周囲の景色が変わりにくい状況で単調なエンジン音を聞き続けることは、精神的な疲労、いわゆる「聴覚疲労」を引き起こします。
特にW650のエンジン音は存在感が大きいため、ライダーの集中力を削ぎ、眠気を誘発する原因にもなり得ます。
疲労要因 | W650 | 現代のツーリングバイク(例:Ninja 1000SX) |
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振動 | 大きい(特に高回転域)。バランサーはあるが限定的。 | 極めて小さい(高性能バランサー、ラバーマウント等で徹底的に抑制)。 |
風圧 | 非常に大きい(風防なし)。ライダーが全身で受け止める。 | 小さい(大型スクリーン、フルカウルで効果的に防風)。 |
エンジン音 | 大きい(メカノイズ、排気音)。長時間では精神的負担に。 | 静か(高度な静粛性設計)。クルージング時は快適。 |
ライディングポジション | アップライトで一見楽だが、風圧で上体が起き上がり腕に負担がかかる。 | 適度な前傾姿勢で風圧とバランスが取れており、長距離でも疲れにくい。 |
このように、W650は「快適に長距離を移動する」という現代のツーリングバイクが最も重視する性能を、意図的に削ぎ落としたバイクであると言えます。
もちろん、一般道を60km/h程度で流すような走り方であれば、その疲労度は大きく軽減されます。
しかし、「大型バイクだからロングツーリングも快適だろう」という安易な期待を持って購入すると、その過酷な現実に直面し、ツーリングそのものが苦行になってしまう可能性があるのです。
W650はすぐ飽きるとの声も
購入当初はクラシカルな佇まいや心地よい鼓動感に満たされていたにもかかわらず、しばらくすると熱が冷め、「乗るのが億劫になった」「刺激がなくて飽きた」と感じてしまうライダーがいるのも事実です。
この「飽き」という感情は、W650が持つ穏やかで優しいキャラクターと、ライダーがバイクに求める「刺激」との間にミスマッチが生じた結果と言えるでしょう。
「飽き」を感じやすいライダーの傾向と心理
W650の魅力が色褪せて見えてしまうのには、いくつかの典型的なパターンがあります。
自分がこれらに当てはまるかどうかを事前に見極めることが、後悔を避ける上で非常に重要です。
- 「速さ=楽しさ」という価値観を持つライダー:
バイクの楽しさを、主にスロットルを開けた時のG(加速度)や、コーナーを俊敏に駆け抜ける運動性能に求めるタイプのライダーです。
彼らにとって、W650の穏やかな加速フィールや、ゆったりとしたハンドリングは、退屈以外の何物でもありません。
購入当初は「たまにはこういうのも良い」と思えても、根底にある速さへの欲求が満たされないため、すぐに他のハイパフォーマンスなバイクに心が移ってしまいます。 - バイクに「非日常的な高揚感」を求めるライダー:
バイクに乗る目的が、日常のストレスから解放され、アドレナリンが放出されるような興奮を味わうことにある場合、W650は最適なパートナーとは言えません。
W650が提供するのは、興奮よりも「癒し」や「安らぎ」に近い感覚です。
ジェットコースターのようなスリルを求めているのに、メリーゴーラウンドに乗ってしまったような物足りなさを感じてしまうのです。 - 明確な目的なく「見た目」だけで購入したライダー:
「なんとなくカッコいいから」「雰囲気がお洒落だから」といった理由だけでW650を選ぶと、「飽き」に至る可能性が最も高くなります。
W650は、その乗り味や歴史的背景を含めて楽しむバイクです。
デザインという一面的な魅力だけで購入すると、振動や遅さ、不便さといったネガティブな側面が許容できなくなり、急速に愛情が薄れていきます。
バイクをどういう風に楽しみたいか、というビジョンが欠けていると、W650の真価を理解する前に手放してしまうことになりがちです。
「飽き」を「愛着」に変えるW650の奥深さ
一方で、W650は「飽きにくい」バイクであるという評価も存在します。
それは、このバイクが乗り手との関係性を時間をかけて築いていくタイプのモデルだからです。
- 育てる楽しみ:シンプルな構造ゆえに、メンテナンスやカスタムを自分で行う余地が多く残されています。
オイル交換一つをとっても、銘柄によってエンジンのフィーリングが変わることを実感できます。手間をかけるほどに応えてくれる機械との対話は、深い愛着へと繋がります。 - 乗りこなす楽しみ:穏やかなバイクに見えて、実は奥が深いハンドリングを持っています。
最新のバイクのようにバイク任せで曲がるのではなく、ライダーが積極的に操ってやる必要があります。
その日の体調や気分によってバイクの表情が変わるように感じられることもあり、乗りこなすプロセスそのものを長く楽しむことができます。
結論として、W650に「すぐ飽きる」かどうかは、ライダーがバイクに何を求めるかに完全に依存します。
瞬間的な刺激や分かりやすい高性能を求めるのであれば、W650は期待外れに終わるでしょう。
しかし、バイクという機械とじっくり向き合い、その不便ささえも個性として愛でることができるのであれば、W650は一生を共にできる最高の相棒となり得る、奥深い魅力を持ったバイクなのです。
W650を買って後悔した人の体験談
インターネット上の掲示板やSNS、中古バイク情報サイトのレビューなどには、「W650を買って後悔した」というオーナーたちの率直な声が数多く見られます。
これらの体験談は、これまで分析してきたW650のネガティブな側面が、実際のバイクライフにおいてどのような「苦痛」や「失望」に繋がるのかを具体的に示しています。
購入を検討している人にとって、これらの声は極めて価値のある判断材料となるでしょう。
後悔の念を生む典型的な「期待と現実のギャップ」
後悔したオーナーたちの声を集約すると、その原因はほぼ例外なく「購入前に抱いていた漠然としたイメージ」と「所有して初めて直面した厳しい現実」との間の大きなギャップにあります。
特に、初めての大型バイクとして、あるいは他メーカーの高性能なバイクからの乗り換えでW650を選んだ場合に、このギャップはより深刻なものとなります。
よくある後悔のパターンとリアルな声
- パターン1:「ツーリング性能への過度な期待」
- 「大型バイクだから、どこまでも快適に走れると思っていた。初めて高速道路で200km走った日、あまりの振動と風圧で全身がバキバキになり、帰宅後は疲労で寝込んでしまった。これではツーリングが楽しめないと感じ、売却を決意した。」
→これは、W650がロングツーリングに不向きであるという特性を理解していなかった典型例です。 - 「大型=ツーリングバイク」という安易な思い込みが、失望に繋がっています。
- パターン2:「日常の使い勝手での挫折」
- 「クラシカルな見た目に一目惚れして購入。しかし、アパートの駐輪場から出すのが毎回一苦労。少し傾斜があるだけで、200kg超の車重は本当に重い。気軽に乗る気が失せてしまい、いつしかガレージの置物になってしまった。」
→走行性能以前に、日常的な取り回しの重さに心が折れてしまうパターンです。 - 特に、バイクの保管環境が万全でない場合、この問題は深刻化します。
- パターン3:「性能面での劣等感」
- 「友人のMT-07(ヤマハのバイク)とツーリングに行ったら、直線でもコーナーでも全くついていけず、惨めな思いをした。自分のバイクがこんなに遅いとは思わなかった。エンジンの鼓動感も、最初は楽しかったが、ただ遅くてうるさいだけだと感じるようになってしまった。」
→他者との比較によって、W650の穏やかな性能が「劣っている」と感じてしまうケースです。絶対的な速さを求める気持ちが少しでもあると、このような劣等感に苛まれる可能性があります。 - パターン4:「維持・メンテナンスの手間」
- 「キャブレターのバイクは初めてだったが、冬場は本当にエンジンがかからない。チョークを引いて、アクセルを煽って、ようやくかかってもアイドリングが不安定。毎朝の通勤前にこの儀式をするのがストレスになった。インジェクションのバイクがいかに楽だったかを痛感した。」
→現代のバイクの利便性を当たり前だと思っていると、キャブレター車特有の「手間」や「気難しさ」が許容できなくなります。これは、旧車全般に言える問題です。
これらの体験談に共通しているのは、W650の「味」や「個性」として語られる部分が、彼らのバイクライフにおいては許容できない「欠点」として機能してしまったという点です。
後悔しないためには、カタログスペックやデザインといった表面的な情報だけでなく、こうしたネガティブな側面を事前に深く理解し、それを受け入れる覚悟があるかどうかを自問自答することが不可欠です。
W650は、ライダーに多くのものを要求します。振動に耐える体力、重さを受け入れる覚悟、そして手間を惜しまない愛情。
これらの要求に応えることができないのであれば、残念ながら、その関係は長続きしないでしょう。
結論:w650が不人気な理由の総括
- W650が不人気と評されるのは、その設計思想が現代の主流である「高性能・快適性」とは真逆の方向を向いているためである
- 1960年代の様式を忠実に再現したデザインは、「普遍的な美しさ」を持つ一方で、一部からは「古臭い」「地味」と評価される
- ノーマル状態の穏やかなスタイリングは「ダサい」と感じられることがあるが、カスタムベースとしての潜在能力は極めて高い
- 最高出力50馬力というスペックは絶対的に非力であり、特に高速域での加速性能は現代のバイクに大きく劣る
- 速さよりも低中速域のトルク感と鼓動感を重視したエンジン特性は、刺激を求めるライダーにとっては「退屈」に感じられる
- 空冷エンジン特有のメカニカルノイズや排気音は、「味わい」であると同時に、長時間では精神的疲労を招く「騒音」にもなり得る
- 360度クランクが生み出す強烈な振動はW650の最大の個性だが、高速走行では身体を蝕む「不快な振動」へと変化する
- 振動による手足の痺れや全身の疲労は、長距離ツーリングを困難にする大きな要因であり、多くのライダーが指摘する欠点である
- 約211kgの装備重量は数値以上に重く感じられ、特に駐車時やUターンなど、日常的な取り回しでライダーに大きな負担を強いる
- 振動、風圧、エンジン音、重さといった複合的な要因により、「W650は乗っていて疲れる」という評判は紛れもない事実である
- 穏やかで刺激の少ない乗り味は、非日常的な高揚感をバイクに求めるライダーにとっては「すぐに飽きる」原因となりやすい
- 購入後に後悔する最大の原因は、「クラシカルでお洒落」というイメージと、実際に所有して直面する厳しい現実とのギャップにある
- キャブレター車ならではの始動性の悪さやメンテナンスの手間も、現代のインジェクション車に慣れたユーザーにとっては大きなストレスとなる
- W650は、利便性や快適性を犠牲にしてでも、バイクという機械との対話や雰囲気を楽しみたいと考える、価値観の合うライダーのためのバイクである
- 不人気とされる数々の要素は、裏を返せばW650のかけがえのない「個性」であり、その本質を理解し受け入れられるかどうかが、満足度の分水嶺となる
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